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原案者・夏原武氏による 連載コラム 【『正直不動産』取材こぼれ話】

夏原武
原案者・夏原武氏による 連載コラム 【『正直不動産』取材こぼれ話】

【『正直不動産』取材こぼれ話 第10回】


 

宇宙×不動産

 2025年12月2日に、JAXAベンチャーである「株式会社WHERE」が主催し、JAXAやスカパー社等が後援する「宇宙×不動産カンファレンス(Space and Realty Conference 2025)」が開かれた。僭越ながら登壇を要請され、『地面師たち』で知られる新庄先生とお話しした。宇宙と不動産などと聞くと、それこそ70年万博の頃に「月の土地を買える」といった詐欺紛いの商法が横行したことを思い出す。もっとも、いまだに月の土地権利証というのは存在する。同イベント主宰者と話していると「私も持ってますよ」と笑っていたほどだ。
 そもそも、月の土地というのは現状では誰の物でもない。月に着陸した国に権利があるわけでもない。ただ、ということは、「あの部分は我が国の領土だ」と言ったとしても、それを否定する材料もまたないのである。現状、有人で着陸したのはアメリカのみ。より詳しく言うならばアメリカ(有人・無人)、ソビエト連邦(ロシア)(無人)、中国(無人)、インド(無人)、そして日本(無人)の5か国が着陸しているのである。
 それはさておき。
 当日は、宇宙から見た地球、そして衛星画像やAIを利用した不動産の有効活用あたりがテーマで、内容はしごく真っ当なものだった。新庄先生は「じゃあ、月面師たち、でも書こうかな」と笑っていたけれど、『正直不動産』の人間としてはやはり、増大する空き家・空地(遊休地含む)問題に適応できないのかといった期待や、そもそも俯瞰で見ることの大切さに感づいて話をさせてもらった。
 不動産業は、特に地場産業として考えた場合、街作りや街の構造を一番把握・理解している業態である。だが、我々は空を飛べるわけではなく、かつては航空地図に頼らないと全体像を摑みにくかった。しかし、今ではGoogleマップなどを利用することでよりリアルに街を知ることができるようになっている。

 

 それを利用しない手はないわけで、であるならば、こうした最新テクノロジーを利用して街作りを考えるのは、とても大切なことである。交通インフラはどうなっているか、再開発が必要なのはどこか、また、魅力的な街作りはどうすればいいのか。大きなヒントがここに隠されているのではないかと思う。
 AIもまた同様で、すでに多くの不動産業で利用されている。一番の効果は不動産営業が雑務を減らすことができる点だろう。日報や月報、契約報告などの書類仕事をAIベースで作成することで、相当な時間短縮になる。また、お客さんに与える情報としては、地域の治安状況や居住者の属性などを資料として(しかも図解やチャートで)渡すこともできる。
 DX化が必須とされる不動産業界にとってAIもまた必須なのである。最終的な部分はアナログ(人対人)であるが、その課程を省くための利用はとてもいいと思う。『正直不動産』にも協力いただいている誠不動産の鈴木誠さんは「途中過程も対応もAIを利用してもいい。ただ、内覧や契約は人間同士ですべきだと思う。人のつながりを大切にしなければいけない職種だからだ」と言っていた(大意)。
 筆者もまたそう思っている。なんでもかんでもオンライン、内見はビデオチャットで、それは悪くないが、それでは人のつながりは生まれない。デジタル化が進んでいるからこそ、アナログを大切にすべきだと強く感じている。
 宇宙と不動産、という壮大なテーマの集まりに出ながらも、結局のところ、そんな思いを改めて感じたのであった。

 

物流の変化と未来

 

 物流倉庫というと、かつては高く積まれた荷物棚の間をフォークリフトが動き回るといったイメージだった。大勢の人が働き、トラックに積み込んでいく。人が働く現場の1つだ。
 だがしかし、今ではその多くがロボットを利用したものに変わっている。量販大手Yのナンバースリーと会食したときにも、「倉庫内はロボットが運搬を行い、それを人間が運ぶ」のが今の業態だと聞いて、軽くショックを受けた。倉庫内は人間よりもロボットのほうが迅速かつ正確だというのだ。現状はまだ監督を人間が行っているようだが、いずれそれもAIが行うようになるだろう。昨今のAI進歩は驚くべき状態になっており、単なる交代ではなく高度のリプレイスといったイメージになっているから。
 これまた業界大手のTで話を聞いた時にも、倉庫設計自体もどんどん変わっているという。トラックの発着場への移動を極力減らす設計にしておき、なるべく無駄を省くようになっているというのだ。
 どんな業界でも競争が起きており、特にコロナで増加した物流は、「より早く、より正確に」がテーマになっている。単に大きな箱を作ればいいというわけには行かない。効率と安全、迅速さが要求されているのだ。 一方、東南アジアでは倉庫は平屋造りが多く、また照明もついていないところがあるという。理由は簡単で「昼間しか稼働しないから」だそうだ。物流量が違うということもあるだろうが、稼働時間についてのこだわりもあるのかもしれない。
 働き方改革などもあり、物流、特にトラックによる物流は大きく変わろうとしている。そのために倉庫を使いやすくするのは当然の流れである。運転手に荷役作業をサービスでさせるといった悪しき風習が消えるのは良いことだが、コストを下げて仕事を取ってくる(出してやる)という意識まではそう簡単には変わらないだろう。
 であるならばYが言っていたように、ロボットを使用するなどして人間の負担を下げることも大切になるだろう。
 現状、AI利用によって危機感を抱いているのはホワイトカラーである。事務職、特に秘書などは不要論が言われているし、経理なども危機感があるだろう。そこにブルーカラーの仕事を奪うようなロボットが登場してきたらいったい人間は何をすればいいのだろうか。

 話がそれた。

 物流拠点には広い土地が必要で、また行政の許可も必要である。本編でも取り上げた大規模開発などはまさにそれにあたる。そこにちょっとした異変が起きている。
「今までのパイプが使えなくなった」「前より時間がかかるようになった」、こんな話を聞く。
 それは自民党と公明党が「離婚」したからである。長年国交大臣を続けてきた公明党の存在は大きく、地方での開発でも「まずは公明党議員に話をして」はある意味常識だったというのだ。
 「突然、自民党にと言われても困るんだよね。もちろん、大手はちゃんと対処してただろうから関係ないが、弱小の我々はそんなにあちこちケアできない」(不動産ブローカー)
 これから政治的にどんな変化が起きるのかは筆者にも予測できないが、少なくとも今までのやり方「だけ」ではダメなのはわかる。
 物流拠点や倉庫はますます必要になるわけで、こうした開発業者のこれからには注視していきたいと思う。

 

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