2016.01.04
「ジャケ萌え!」4冊目 【ベイブリッジ・スタジオに聞いてみました!】黒木香さん編
読むだけじゃない、見て触って嬉しい単行本。なんだかカッコイイ! 可愛い、きれい、オシャレ! そんなグッとくる「マンガの装丁」の魅力をお届けする連載企画が「ジャケ萌え!」です。
4冊目(4回目)は、コミック、雑誌などで幅広く活躍し、ジャケ萌え界ではその名を知らない者はいないベイブリッジ・スタジオのデザイナー5名に、お仕事や日常のあれこれを聞いてみました。
ベイブリッジ・スタジオ
1988年設立。コミック、雑誌、書籍、CD、DVD/Blu-ray、グッズ、宣伝物など多岐に渡るデザインを、総勢25名のデザイナーが手がけている
第1回目は、黒木香さん。
黒木さんが最近デザインを手がけたマンガの一つ『終末風紀委員会』についてお話を聞きました!
背をよく見ると、定規になっています
――『終末風紀委員会』、どうでしたか?
すごく絵がうまい!キャラの造形が面白い!動きが楽しい!と思いました。
――デザインするにあたり意識したことは?
力強く!でも重すぎず。
絵の雰囲気に合うように。
――好きな文房具と、その理由を教えてください。
お仕事でいつも使うので、ノートと極細のペンが好きです。
あと紙物の文房具はとっても好きです。
――黒木さんの学生時代は、文化系、体育会系、それとも怒病鬼タイプ?
バレーボール男子の青春を見つめる怒病鬼タイプ......(嘘です!)
第二次性徴期に活発化する「グレルウィルス」によってグレル濃度が高まると
人間が怒病鬼(ドヤンキー)になって暴れまわってしまうぞ!!!
怒病鬼を退治できるのは、聖文具(ステーショナリー)をもつ風紀委員だけ!!
ロックな設定がグッとくるよ!!!
――黒木さんの手掛ける装丁を見ていると、その作品に色をピッタリと合わせてくるまるでカメレオンのような、姿をくらませる忍者のような、デザイナーの存在を忘れさせる力があると思います。
そう言っていただけるの、とっても嬉しいです!
その作品に合った装丁、その漫画を読みたい人に見つけてもらえるような装丁になりますようにと思って作っています。
それと、自分のデザインにはカッコイイ個性が無いので......><
まるでデザイナーなど存在しないかのように作品に合わせたデザインも、自分の個性を常に打ち出すデザインも、どちらも素晴らしいです。正解や不正解はなく、両方あってこそ楽しい。
黒木さんはその中でも、パーフェクトに相手に合わせたデザインを出してくる方だと思います。「これは誰が装丁したんだろう」「あっ黒木さんか~!」「こっちも黒木さんだ!!」と見つけて喜べることも、私のジャケ萌えポイントです。
突然ですがここからは、ベイブリッジ・スタジオのデザイナーのみなさまに答えていただいたアンケートをご紹介します!
「マンガのデザイナーさんは普段一体どんなことを考え、感じているのかしら...」という、ふとした思いつきに答えてくださったみなさま、本当にありがとうございます。
まずは若手の方々の回答を、2回に分けて掲載します。
[1]デザイナーになろうと思ったきっかけは?
・高校でクラスTシャツ制作を担当したときがきっかけだったと思います。
・大学で履修したゼミナールで、無料配布用の小冊子を制作したことがきっかけです。
・昔、携帯の待ち受け画像を作るのにハマっていて、そこからグラフィックデザイナーになろうと思いました。
高校や大学の活動中に何かを作ったり、漫画が好きで誰が"外側"を作っているのか気になった、ものづくりが好きだった......と「デザイン」の言葉を意識する前段階が人それぞれなのが興味深いです。もしかしたらこういうポイントが、デザイナーになってからの個性をつくるのかもしれません。
・漫画のデザインは、私が漫画の装丁だけ見て漫画を買ってしまうことがあり、興味を持っていました。
・元々漫画が好きで、「表紙のタイトルとかも作家さんがつくってるのかな?」と思い調べてデザイナーという職業があるのを知り、やってみたいな?と思ったのがきっかけです。
きたぁぁあああ!! ジャケ萌えですよ! ジャケ萌えからの、デザイナーに!
タイトルロゴや扉のデザインを漫画家が作っていると思っていたり、そもそも作っている人が存在すると意識していない人もいて、ある日ふと疑問に思ったりするんですよね!
そこから始まるジャケ萌え人生。だから私もあなたもここにいる! ジャケットにマジ感謝。
本棚には、スタッフがデザインを担当した作品がずらり。
これの何倍もの棚が、3つの部屋にわけて置いてあります
[2]最近はどんなお仕事をしていますか?
・ルビ打ちと画像の取り込み、色校のゴミチェックや版ズレの確認です。カバーのイラストで着色を行ったりするときは恐れ多くもすごく楽しい作業です!
・主に先輩の取り込み作業といった、アシスタントをしています。少しずつ、漫画雑誌の扉などといったデザインの仕事をしています。
若手中心のアンケートということもあり、アシスタント業務をしている方も多いようです。みなさんこれからそれぞれのデザイナーとして活躍していって、素敵なカバーを生み出したりするのですね......(うっとり)
・念願だった、大好きなBLのコミックスのデザインを担当させていただきました! 某編集部様の方角に足を向けて寝れません! ありがてぇ~ありがてぇ~!!(号泣)
それは嬉しい! おめでとうございます!
[3]家に帰ってからは何をしていますか?
・アイドルのブログと気になる深夜アニメをチェックして寝ます。
夕飯を作って晩酌しながら録画のアニメを消化しています。
仕事上がり、晩酌しながらのアニメ視聴は最高です。
・小腹がすいていたら冷蔵庫から食料を物色し、むさぼり食べながら録画しておいたアニメを1本見ます(時間に余裕があれば2本)。その後に、あんスタ(女性向けアイドル育成ゲームの『あんさんぶるスターズ!』というスマートフォンゲーム)で推しの「瀬名泉」くんを愛でます。可愛いなこんちくしょう!!
実はあんスタをちょっとやってみたことがありまして、瀬名くんが最初に登場した時「なんだか怖い子が出てきた」と思ったのですが、何度も登場するうち「これカワイイやつだ......」と気づきました。
・吉本新喜劇を見ています。
おお!? これは全く予想していなかった回答。若手にこのアンケートをとっていることを考えると、どんなきっかけでハマったのかも気になります。
「ジャケ萌え!」4冊目 【ベイブリッジ・スタジオに聞いてみました!】次回は「佐藤千恵さん編」&若手アンケートその2!をお送りします!!
「ジャケ萌え!」4冊目 【ベイブリッジ・スタジオに聞いてみました!】
[黒木香編][佐藤千恵編][吉村勲編][小林美樹代編][伊波光司編]
(ライター:川俣綾加)
フリーライター、福岡出身。デザイン・グラフィック/マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブ、『マンガナイト』などで活動中。著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』 http://ayamata.jugem.jp/
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関連リンク
「ゲッサン」公式サイト
『終末風紀委員会』作品紹介ページ
【初出:コミスン 2016.01.04】
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