2015.03.29
カレー沢薫・輝きかけの人生コラム「薫の小部屋」第13回更新!
今回のテーマは「リア充と非リア充の実体」です。
カレー沢先生が、リア充と遭遇...?
一触即発の非常事態か!!?
◆ ◆ ◆
先日、リア充と話す機会があった。
もちろん、リア充と友人になったわけではない。仕事中に短時間だが、行動を共にすることがあったのだ。
日々、リア充を巨悪のように言っているが、残念なことに、人間性でいうと圧倒的に非リア充よりもリア充の方が、「イイ奴率」が高い。だから周りに人がいるのである。
なので、このリア充も、私のように気を使っても一銭の得にすらならないような人種に対しても、間が持つように(当然私には話題がない)あれこれ話をしてくれるのである。
そのリア充によると、最近友人に女子を紹介したのだが、その女子があまりタイプではなかったらしく、特に連絡先を交換することもなく、お開きとなったそうだ。しかし、その女子の方が「今まで私の連絡先を聞かなかった男なんていなかったのに!」と、逆にその友人に興味を持ってしまった、ということである。
びっくりした。いや、そういう女の話はネットの中で嫌というほど見てきたし、見るたびに会ったこともないのに怒りを爆発させてきたのだが、実在するとは思わなかった。
リア充の話というのは、おとぎ話であり「絶対に男から連絡先を聞かれる女」というのは「川から流れてくる桃」と同じ類だと思っていた。
しかも、そのリア充の話しぶりからして、別段めずらしい出来事でもないようなのである。
同じ国で、同じ時を生きていても、リア充と非リア充では起こる出来事、常識が全く違うようである。万が一、私が合コンで(合コンに出席している時点で、万が一)連絡先を聞かれようものなら、真っ先に、宗教やイルカの絵を想像するが、リア充界隈の女にとっては聞かれない方が異常事態なのである。
その話を、非リア充特有の薄いリアクションで聞いていた私だが、内心は「ラピュタは本当にあったんだ」という心境であった。
しかし逆に考えると、リア充は非リア充の存在をフィクションと思っているかもしれない。まさか本当に休日を誰とも話さずに終える奴や、共学高校に3年通いながら異性と2回ぐらいしかしゃべったことがない奴が実在するわけがない、と思っているかもしれないのだ。
だが、そういう奴は本当にいる。少なくとも、ここにいる(むしろ2回も男子と話せたことは奇跡と思っている)。
だが、非リア充にとってリア充はラピュタかもしれないが、リア充にとって非リア充は、妖怪みたいなものであろう。
たまたまリア充と話せたことを、わざわざコラムに書いてしまうのも、非リア充の妖怪じみたところである。
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【初出:コミスン 2015.03.29】
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