2014.11.01
カレー沢薫・輝きかけの人生コラム「薫の小部屋」第5回更新!
今回のテーマは「初対面で見るところ」です。
カレー沢先生が見てしまう「アソコ」とは一体...!?
◆ ◆ ◆
先日、金をかけてさらにブスになる「重課金ブス」の話をしたが、課金の果てに「いくらお金かけてキレイにしても、私のことなんか誰も見てないし」と言って、美容関係全てを放棄してしまう「悟りブス」になってしまう者もいる。
誰も見ていないのは、キレイになっていないからなのだが、他人は自分が思っているほど自分のことを見ていないというのは確かに正しい。
しかし、もっと正確に言うなら「他人は見て欲しいところは見ておらず、見て欲しくないところは見ている」のである。つまり、リボ払いで買ったブランド服は見ていなくても、その袖口についたカピカピの米粒は見ているのだ。
私も相当他人には関心がない方だが、初対面の女性と会う時は必ずと言っていいほど、指毛が生えているかどうかを見る。
指毛の有無で仕事を受けるか否かジャッジしているわけではなく、他人と目が合わせられないから自ずと視線が下にいくだけなのだが、もし生えていたら相手への印象が変わることは否めない。
しかし、さすが日夜カワイイを力づくで作ろうとしている日本女性、生えている人に会ったことはほぼない。もしや生えるのは私だけで、自分は選ばれし者なのか、と思った時もあったが、実際に生えている人に会ったことがある。
1年半前に建てた新居のインテリアデザイナーの女性が、かなり豪快に生えていらっしゃった。
別に「空手道場を営んでいる」という女性の指に、どれだけ毛が生えていても構わない。逆に貫録があり、道着から胸毛がはみ出ていてもいいぐらいだ。しかし、仮にも美観に関わる職業の女性である。しかも、これから数十年にもわたってローンを払い続ける家のインテリアを、指毛が生えている女に一任してもよいものか、私の心は乱れに乱れた。
結果として新居のインテリアは満足いく物になったし、能力に本人の美醜は関係なく、ましてや指毛の有無などどうでもいいことはわかっているのだが、指毛が生えている女に全幅の信頼が寄せられるかというと、やはり「NO」なのである。
「人は見た目じゃない、中身だ(中身が良い人はこういう主張をしない)」というが、中身は見た目に出るし、見た目で中身を疑われることも確かなのだ。
「誰も私を見ていない」といっても、「思わず振り返ってしまう美人」がいるのと同じように「二度見せずにいられないブス」になってしまったら、おしまいである。
最低限の身だしなみには気を付けるか、さらなる高み「衝撃的すぎて見た瞬間、脳が記憶を抹消するブス」を目指そう。
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【初出:コミスン 2014.11.01】
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