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【連載コラム】『テツぼん』原作者、高橋遠州先生のテツオタ話。第10回は前回に引き続き青森の鉄道のお話!!

ビッグオリジナル

2014.11.05

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第10回【青森の終着駅】






 前回に引き続いて青森の鉄道のお話です。青森は本州の北端にありますからターミナル駅の青森駅には何となく終着駅のイメージがあります。実際、青函トンネルができるまでは首都圏や関西圏から北上してきた長距離列車のほとんどが青森駅を終着駅としていました。そこから更に北海道へと向かう人たちは黙々と青森駅構内の連絡通路を渡って青函連絡船に乗り込んだ訳です。まさに『津軽海峡冬景色』の世界ですね。
 このように終着駅という言葉からはそこはかとない哀愁が感じられますが、それを更にかきたてるのが、いわゆる行き止まり駅です。ホームの先で線路が途切れた行き止まり駅はまさに終着駅そのものといった雰囲気を醸し出しています。
 こうした行き止まり駅は盲腸線といわれる本線からチョロっとはみ出した支線の末端駅で多く見られます。盲腸線と言っても『長崎』駅や『函館』駅、あるいは『成田空港』駅や『府中競馬正門前』駅などのように末端駅が大きな街や重要な施設の玄関駅になっている場合にはそんなに哀愁が漂っている感じはしないのですが(『府中競馬正門前』駅ではレース終了後に違う意味の哀愁が漂ってたりしますけど......)、駅を降りてそこに何もなかったりすると俄然終着駅の雰囲気が高まります。
 もっとも最初からそんな何もないところにわざわざ駅を作ったりはしない訳で、当然そうなってしまったのにはそれなりの理由、と言うか経緯があります。まず一つはその駅の先にかつて重要な施設があったものの現在はなくなってしまったというケース。足尾銅山の積み出し駅だった、わたらせ渓谷鉄道(旧国鉄足尾線)の『間藤』駅、宇高連絡船の玄関駅だったJR宇野線の『宇野』駅などがそれにあたります。
 もう一つは本当はまだその先まで線路が延びていたのに廃線になってしまったか、あるいはこれからまだ先まで延びるはずだったのに計画が中止になってしまったというようなケースです。前者の例としては九州南部のJR日南線『志布志』駅やJR指宿枕崎線『枕崎』駅などがあります。いずれも元々は中間駅だったのが、その先が廃線になってしまったために現在では行き止まりの終着駅になってしまったというケースです。
 そして後者の例として挙げられるのが青森にある津軽鉄道『津軽中里』駅とJR津軽線『三厩』駅です。




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津軽鉄道『津軽中里』駅






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JR津軽線『三厩』駅







 津軽鉄道は前回でも紹介した通り、JR五能線『五所川原』駅から別れて津軽半島中部を走る日本最北の私鉄。JR津軽線は『青森』駅から別れて陸奥湾沿いに津軽半島の東岸を走る路線です。このJR津軽線は途中の『蟹田』駅までは青函トンネルを走る津軽海峡線への連絡線として準幹線級の扱いですが、『蟹田』駅から先はいきなり超ローカル線になります。終着駅の『三厩』駅は一応、竜飛岬への連絡駅ではありますが、それもバスで30分もかかる先にあって駅前には、まばらに民家が点在するのみです。いかにも本州の果てまで来たなという雰囲気を漂わせています。一方の津軽鉄道『津軽中里』駅も駅前はひっそりと静まりかえっています。駅にはスーパーが併設されていて私が以前訪れた時にはまだ営業していましたが、今回の取材時にはもう撤退してしまっていました。
 どちらの駅も行き止まり式の終着駅でホームの先でレールは草に埋もれて途切れていて、これぞ終着駅といった雰囲気を存分に醸し出しています。しかしこのどちらの駅も最初から終着駅として作られた訳ではもちろんありません。そもそもは大正時代に津軽半島を一周する路線が計画され、それぞれその中間駅として作られたのです。残念ながら現在では鉄道によって津軽半島を一周する構想は立ち消えになってしまったようですが、一方で地元ではDMVと呼ばれる鉄道と道路の両方を走れる特殊なマイクロバスで同様の交通網を築こうという構想が模索されているようです。もしこれが実現すれば『津軽中里』駅も『三厩』駅も終着駅とは言えなくなってしまう訳ですが、そうなってもいいからぜひDMVも実現してもらいたいなと、一鉄道マニアとしては願ってやみません。





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(執筆:高橋遠州 担当:ビッグコミックオリジナル編集部)

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【初出:コミスン 2014.11.05】

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