トップ  >  第408回スピリッツ賞 結果発表! ( 2025/07/18 )
週刊スピリッツ

2025.07.18

第408回スピリッツ賞 結果発表!

週刊スピリッツ

デビューに一番近い新人賞!!

夏の暑さも吹き飛ばす、最高にクールな受賞作8本!

 

【奨励賞】W受賞! 賞金10万円 月スピ掲載確約!

『純白姫』
佐藤 心 東京都・22歳

編集部より

とある国では政の頂点に、巫女である少女が君臨していた。しかし策略により、巫女は追われる身となる。世話役のトヨは、巫女を担いで敷地の外に飛び出すがーー作り込まれた世界観とスピード感溢れるコマ割り、緊迫感の中で滞空できる間のとり方、素晴らしかったです。トヨの「死んでもお供します」という、重めの巫女への愛、関係性に引き込まれました。

【奨励賞】W受賞! 賞金10万円

『夢で逢えたら』
佐藤 心 東京都・22歳

編集部より

塔に閉じ込められた少年の元に現れたのは、小銭稼ぎで盗みにきた男。母を信じて探そうとする少年に呆れる男だったが、彼の母もまた敵国の襲来で命を落としてしまいーーこちらの作品も世界観が作り込まれており、絵で魅せようという執念を感じ、いい意味で気圧されました。漫画力は既に高いので、次作でなにを描くのか、楽しみにしています。

 

【奨励賞】賞金10万円

『横の彼女の』
シシカバ 長野県

編集部より

不慮の事故でなくなった友人が、奇妙なロボットとして戻ってきた。生前の記憶や思考をデータとして反映させたというが、主人公のマイは、不気味さを感じており……主人公の後悔や葛藤が丁寧に描かれており、ロボットをイチカだと認識してしまうシーンに説得力がありました。口からチェキが出てきたり、細やかな工夫が効いていて面白かったです。

 

【奨励賞】賞金10万円

『母性』
伏見茂樹 大阪府・37歳

編集部より

母親と少年の愛と恐れ、歪な関係を描いた本作品。セリフは少ないものの、母のねっとりと重い愛情が、巧みな描写で伝わってきました。指や舌、胸など身体のパーツのアップに凄みがあり、圧倒されます。演出や表現力は既にあるので、ここからどう物語として昇華させていくのか、じっくり向き合っていただけたらと思います。

 

【奨励賞】賞金10万円

『走れ走れ走れ』
雨屋りんき 東京都・25歳

編集部より

セリフは「ああああああ!」という叫びのみ、意味は分からないけど、なぜか笑いと勇気がもらえると、編集部の中でも特に話題になった作品でした。主人公の坊主が叫びながら走っていき、いじめの被害者、感染病の患者、戦闘機の乗組員など、どんどん引き連れて孤独から救っていく描写に、アツい気持ちにさせられました。この勢い、衝動こそ、漫画の醍醐味なので、大事にしていただきたいです。

 

【奨励賞】賞金10万円

『ジミーズ』
柳木ノゾム 埼玉県・21歳

編集部より

非モテ男子4人組のうちの一人が、女の子とデートすることに。グループ唯一のイケメンだからなと納得する、その他の三人は、野次馬精神でつい尾行してしまうが……容姿や部活、華やかさでは語れない、「ジミーズ」の友情があたたかく、ドラマがありました。いい表情が沢山入っているので、もう少しセリフを減らしてお芝居で読ませても、映えるように感じました。

 

【奨励賞】賞金10万円

『昼の国、夜の王。』
伊井タロヲ 東京都・38歳

編集部より

昼の国と夜の国があるこの世界。夜の生活に国民を追いやった引け目から、昼の国の王は常に報復に怯え、疑心暗鬼になっている。そんな王の親衛隊預かりである主人公は、こっそり夜の国に忍び込むのだがーー絵が可愛くて、各々のキャラクターもつくりこまれており、世界観に引き込まれました。設定を整理して、読み切りの中でどこを1番見せるのか、削ぎ落すとさらに良くなると感じました。

 

【努力賞】賞金3万円

『君と僕の正体』
かきもとU 東京都・36歳

 

総 評

おそらくマンガ作品の投稿に限った話ではないのでしょうが、審査をさせていただく側の評価基準のひとつに「この方の他の作品も是非拝見してみたい」というものがあります。そう感じさせてくれる作品には、もれなく「オンリーワンに思える着眼点」、そして「まだ知らぬ人たちへ訴えたい情熱」が強烈に宿っているものです。(これを描いた人物は、一体どんな引き出しを持っているのだろう…?) 読み手にそんな感想を抱かせることができたら、たとえ技術的に未熟であったとしても、強烈な爪跡を残せたと胸を張ってよいのだと思います。今回の選考は、惜しくも選外となってしまった作品も含めて「他の作品も読んでみたい」という感想が多く寄せられた回でした。そのことをとても喜ばしく思いますし、同時に編集一同、新人さんの志に負けないよう精進せねば…とあらためて背筋の伸びる回となりました。今後も皆様の力作をお待ちしております。