トップ  >  第407回スピリッツ賞 結果発表! ( 2025/06/30 )
週刊スピリッツ

2025.06.30

第407回スピリッツ賞 結果発表!

週刊スピリッツ

デビューに一番近い新人賞!!

梅雨を吹き飛ばす!熱気こもった8作の受賞大旋風!

 

【奨励賞】賞金10万円 月スピ掲載確約!

『神飛行機 〜ゴッド・エア・プレーン〜』
大森まだ 東京都・24歳

編集部より

あの誰でも知っている紙飛行機を、神の領域まで高めた「神飛行機」ーー少年たちがまさに心血を注ぎ、青春をかけて飛距離を競い合う姿はスポーツ漫画の熱量そのもの。バカバカしいコミカルさがありながら、それにとどまらずしっかり主人公や仲間とのドラマが描かれている。画面作りや効果音の入れ方も面白く、インパクトある作品でした。

 

【奨励賞】賞金10万円 月スピ掲載確約!

『なぜ人はキスをしたいのかの夏』
夕雨 碧 大阪府・38歳

編集部より

14歳の主人公、猛蔵は思春期真っ只中。同級生の美少女とキスがしたいが、素直になれない。そんな中、目の見えない老人に手紙を読んであげたことがきっかけで、少年の日常が動き出しーー味わい深い絵柄で描かれる、少年の葛藤や手紙の真実に心を動かされる作品。一皮むけたラストの叫びが爽快で、心地よい読後感でした。

 

【奨励賞】賞金10万円

『好色一代噺』
迎 ユウ 東京都・30歳

編集部より

江戸で当時勢いを増していた職業、落語家ーー有名な師匠の門下で売れっ子の主人公は、なんやかんやモテモテだった。しかし女関係で嵌められて破門になり、困窮の末とある女の元で居候することになる。好色だけどどこか憎めない主人公のキャラクターが愛おしく、素敵でした。主人公が一人の女を愛し、落語と向き合う姿が丁寧に描かれており、厚みのある物語に心動かされました。

 

【奨励賞】賞金10万円

『HURRY UP』
与那嶺小鉄 福岡県・20歳

編集部より

修学旅行中の主人公は、土産屋で木刀に目を奪われ、気づいたら帰りの出発時間ギリギリに。怪しい人物から教えられた近道を使い、集合場所を目指すがーー表情豊かな主人公や、次々現れる悪霊達のキャラクターが面白く、会話や構図にも遊びが沢山効いていて素晴らしかったです。ラストにはまさかのオチが用意されており、予想を鮮やかに裏切られました。

 

【奨励賞】賞金10万円

『鳥になった日』
立羽りんご 東京都・24歳

編集部より

「お姫様」と呼ばれる姫野は、人間社会で生きる人魚。足がヒレなので車椅子で移動し、プールで昼食を食べる。人間社会で認められない生きづらさを感じながら、友人の山本と出かけるのだがーー 一瞬不穏な空気を感じさせながら、それを裏切る開放感あるシーンに繋がる点が素晴らしかったです。絵柄も透明感があり、間の取り方にもセンスを感じました。

 

【奨励賞】賞金10万円

『見え透ける眼鏡』
諳ノ吽 大阪府・25歳

編集部より

誰でも一度は考える、服が透ける眼鏡。これを手にした主人公に待っていたのは、桃色の学園生活……ではなく、人の秘密に気づいてしまう日常だった。好きな子がアザだらけなことを知った主人公は、手を差し伸べるがーー眼鏡を使った仕掛けが面白く、色んな同級生を見ていくシーンにワクワクしました。主人公の葛藤に感情移入させられ、記号的な悪役ではなく、リアルな人間が描かれていた点も素晴らしかったです。

 

【努力賞】賞金3万円

『水平線』
安立圭佑 京都府・21歳

『和一処』
田中タクロー 東京都・32歳

 

総 評

既に鬼籍に入ってしまわれましたが、昭和~平成を駆け抜けた大先生に「どうやったらそんな奇想天外なキャラクターを思いつくんですか?」と尋ねたことがあります。その時は「思いついちゃうんだから仕方ない(笑)」とはぐらかされましたが、後日、まったく別の場面にて「この国には1億人も人間がいるんだろ? 自分の周りに存在しないだけで、もしかしたらこんなヤツもいるのかもしれない…と思わせられたらこっちのもの」という話をされた時、(これかな?)と思った経験が忘れられません。「こんな教師は存在しない」「こんな恋愛は成立しない」「こんな職場は信じられない」「こんな性癖はありえない」――なんでもいいですが、(…とまでは言い切れない…?)と思って読み進めてもらう為に、周辺の情報をどのように妄想し、散りばめてゆくべきか。今となっては確かめる術もありませんが、大変普遍的かつ重要な指摘だったのだろうと、何かにつけ思い出すことしきりです。今後も力作をお待ちしております。