トップ  >  カレー沢薫・輝きかけの人生コラム「薫の小部屋」第17回更新! ( 2015/07/27 )

2015.07.27

カレー沢薫・輝きかけの人生コラム「薫の小部屋」第17回更新!

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今回のテーマは「夏、海、水着」です。
今年の夏は、どんな水着を着ますか!?






◆ ◆ ◆








夏本番である。




といっても当方、海や花火はもちろん、休日に部屋から出る予定すらない。
海にはここ数年行ってないし、おそらくこれから先、水着になって泳ぐようなことは一生ないだろう。次に海に入ることがあるとすれば、それは入水自殺する時だと思うので、服は完全に着ていると思う。
まず、とても水着になれるような体をしていないし、たとえ体型に自信があったとしても、30歳を過ぎて水着になるのは相当勇気がいることだ。
特に、ビキニなどの露出の高いものを着ていいのは、ナイスバディの若くて美人の女のみ、という暗黙の了解があるように思える。なので、若い女でも「服か?」というような水着を着ている者が多数いる。自分は、ビキニを着ていい人間ではないと思っているだろう。




もちろん、別にブスだろうがババアだろうが、ビキニを着たら法に触れるというわけではない。私のビキニ姿を見た人間が、体中の穴から血を噴き出して死んだというなら、咎められるかもしれないし、そんな能力があるなら、担当の前で積極的にビキニになりたいと思うが、現実の効果は嘔吐下痢ぐらいで済むであろう。
しかし、日本には「似合う奴以外は着るな」という風潮が確かに存在する。水着に限らず、目立つ格好をしている女が、「ブスのくせに」「デブのくせに」「ババアのくせに」と叩かれている様はよく見かける。そして、それを見て「自分は派手な格好をしてはいけないのだ」と思いこんだブスやババアが、未亡人かというぐらい、黒や地味な服しか買わなくなり、ますます垢抜けなくなるという負の連鎖が起こるのだ。
この風潮を変え、ブスやババアでも後ろ指を指されず好きな格好をするためには、もはや文化自体を変えるしかない。現に欧米の海では、バスト、ウエスト、ヒップが全て豊満な美女や、70歳は過ぎているであろう完熟女が平気でビキニ姿だったが、それを気にとめている者はいなかった。それが当たり前だからだ。




つまり、ブスやババアこそが積極的にビキニで海に繰り出すべきなのだ。そうすれば、それが当たり前となり、新しい日本のスタンダードになるのである。
たしかに最初は笑われるかもしれない。だが、先駆者とは常にそういうものである。のちにその功績が認められ、英雄として三段腹でビキニ姿のあなたの像が海に飾られる日がくるのだ。
なので、今年の夏、「我こそは」という汚い体自慢の方は、ぜひビキニ姿で海に殴りこんでほしい。
私は、黒と灰色の服を着て部屋でそれを応援している。





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【初出:コミスン 2015.07.27】

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