週刊スピリッツ
2014.03.12
話題爆騒!! 動員数100万人突破!! 映画『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』 三池崇史監督・男魂スペシャルインタビュー大公開!!
週刊スピリッツ
映画『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』監督
三池崇史 TAKASHI MIIKE
現在大ヒット上映中の映画『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』。
メガホンを取った三池崇史監督に、漫画"玲二"が誌面から飛び出し突撃取材!!!
映画『土竜の唄』が100万倍楽しくなること間違いなし!
三池監督が隠し抱くまっすぐな男魂に......レッツ・体当たりだ!
「菊川玲二っス!!!!!!」
玲二みたいな先輩、一個上とか二個上にいましたね、中学ぐらいの時に。
玲二 監督、正直言って、オレのこと、どう思ってます?
三池 何か先輩でいたよなって感じですよ。僕らが中学ぐらいの時、一個上とか二個上ぐらいに。だから、先輩を見てる感じの視点で撮ってました。
玲二 先輩ッスか、オレが!!
三池 いたぞ、こんなヤツって。ホントは自分もそうなりたかったのかもしれない、でもなかなかそうなれない、憧れの先輩。
玲二 もしかして、オレのこと好きッスか?
三池 好き、好き。
玲二 うれしー!
三池 でも遅漏だったらムカつくね(笑)。
玲二 あ、オレ、早漏!
三池 そこでより許せるみたいな。おめえ、俺より早えなみたいな。肉体的な部分だけじゃなく、精神的にもかなり敏感な男でしょ。そこもまた好きだね。ほら、パピヨンみたいなヤツだったら嫉妬にかられるでしょう。
玲二 じゃあオレ、男として......何点?
三池 65点ぐらい。
玲二 65点!
三池 その辺の男が一番魅力的でしょ。65点ぐらいのヤツがフルスピードで走ったら、すんげえ面白いんじゃないですか。で、愛されるだろうし、何か見守っちゃうというか。
玲二 ありがとうございます!
三池 で、突っ走って、頑張ってピンチを切り抜けたら、きっちり63点ぐらいで。2点落ちてる(笑)。2点落ちてるけど、バッと立ってる姿がカッコいい。
玲二 でへっ。
無意識の中に、本当の自分というのが出てくるんだと思います。
玲二 ところで映画監督って、何する人なんスか?
三池 うーん、映画を作る伝統的習慣的ノウハウはあるけれど、全員が一つの形に当てはまるかは別で。監督それぞれスタイルは違っていて。それ実は監督の個性とつながってると思うんですよね。生き方。
玲二 生き方ですか! じゃ、三池監督のやり方は?
三池 僕の場合、全ての目線が一度こっちにぐっと集中して、で、これはこうだとジャッジして、みんな散っていく、芝居もする。
玲二 スタッフや俳優さんとかが?
三池 うん、彼らの感覚自体が集まってくるというか。例えば、靴はどういうものだとか、周りの世界全部に道筋とかつけて、オッケーなのかNGなのかを客観的に決めていくのが僕の仕事。なので、できるだけいろんな感覚を生かせるようにと思ってる。
玲二 むむむむー。
三池 だから俺には、そもそも"自分"ていうものがちょっと邪魔なんです。単に器であれば、そこにみんないっぱい入ってきてもらえるんで。
玲二 器がでかい......ドンみたいな感じ?
三池 いや、器が大きいというより、器だけです。
玲二 器だけ?
三池 だけ。だからその分、高橋のぼる先生の漫画がポッと入ってくると、それを受け止めて、自分のできる範囲で物を作れて、不純物があんまり混ざらないというか。
玲二 三池監督は「器監督」!?
三池 俺はこうだからこうだ! みたいな主張がないわけではないんだけれども、俺自身がテーマではないというか。ほら、逆に言うと、ホラーだったらホラー、社会派の人は社会派って。得意なジャンルばかり作り続けていると、イタリア人みたいにイタリア料理ばかり三食食ってるみたいなもんでしょう。
玲二 オレ的にはたまには牛丼も食べたいですね。
三池 自分が映画の中に絶対表現したいもの、自分の欲というか自我みたいなものは時に必要なんですけど、ただ、自我とかっていうのは意識した瞬間、ニセモノになっちゃうよね。監督としてこう見られたいとか、俺はこれぐらいになりたいとか。でもそれ、わりとちっちゃいことじゃないですか、個人的な。
玲二 爪の先みたいな。
三池 映画って、そういう個人的な事情というのを登場人物一人一人が抱えているわけですよ。だから、それを精いっぱいに受け止めて撮ってるだけ、無我夢中で。でもね、そういう無我夢中状態になって初めて、無意識のうちに本当の自分というのは出てくると思います、絶対に。
玲二 無我夢中になること、それが「三池崇史の掟」!
監督って、洗車機に吸い込まれていく玲二に対して
心の中で「死ぬなよ」って言うぐらいしかできないんですよ。
三池 ただ、やり過ぎだよとかいう人もいるし、そんなに多く撮っていると枯れるぞとかいう人もいるけど......何かを出し過ぎて枯渇するというのは、本当はあり得ないと思うんで。人間として疲れちゃったり、慣れ過ぎてしまうことはあっても。でも、映画監督が得なのは、慣れることってまずないんですよ。
玲二 ダラダラズルズルにならない?
三池 毎回違う題材だし、ジャンルも違うし、俳優も違うし、現場の空気とか、気温も何もかも違うし。同じカットっていうのはもう一生撮ることはできない。
玲二 そっかー。
三池 だからといって妙に緊張する必要もないし。精いっぱいやっているだけ、テキトーにやってるわけじゃない(笑)。あ、でも、テキトーにやったシーンが結構面白かったりすることもある。
玲二 へ?
三池 例えば『土竜の唄』で言うと、テキトーっていうか、完全に他力本願で、僕はカメラを置いて回すだけっていうのがあって。監督って、頑張ろうったって頑張れない局面っていくらでも出てくるんですよ。
玲二 どういう時?
三池 洗車機のシーン。誰が撮ってもあれは、ガーッと中に吸い込まれていく玲二に対して、心の中で「死ぬなよ」って言うぐらいしかできない。無力。頑張れることがないし、ブラシが痛くないように毛先切ったらガソリンスタンドのおじちゃんに怒られるし、何もできず。
玲二 うははははは。
三池 で、ホントに普通にシンプルに撮っただけっていう。それでとても面白い。
玲二 洗車機シーン、早く観てえ!
三池 あと、<土竜の唄>をマトリ(麻薬取締部)の皆さんと署長たちが歌うシーンがあるんですけど、あれも絵コンテでは50カットぐらいに割れてたんですよ。それを現場で、一回ちょっと合わせてみた瞬間に、初めてみんな歌うからてんでバラバラなんだけど、でも一本、線が通ってたんですよね。それを歌おうとしている魂みたいな。
玲二 お、男魂の結晶ッスね!
三池 なんじゃこりゃって。だから一回リハーサル見ただけで、あった絵コンテ全部捨てて、ワンカットにする。そうなると、もうオレ、何もできないんです。観客の一人として見て笑ってる以外。
玲二 お客さん状態だ。
三池 その雰囲気、スタッフみんなが楽しんでるっていう空気というのは、演じる側に勇気を与えるし、演じる側も楽しめる舞台空間みたいなものを作るんです。そういうのがテキトーと言えばテキトー。
玲二 テキトーって言うか、覚悟決めたって感じッスね!
――三池氏の"監督魂"に触れたところで、まだまだ続くスペシャルインタビュー!
9ページに渡るロングインタビュー完全版収録「YSCS『土竜の唄』映画公開記念スペシャル版」にてご覧ください!!
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(撮影・小塚毅之/文・柳沢智夫+スピリッツ編集部)
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監督 三池崇史×脚本 宮藤官九郎×主演 生田斗真
生田斗真 仲 里依紗 山田孝之 上地雄輔 / 岡村隆史 / 堤 真一
吹越 満 遠藤憲一 皆川猿時 大杉 漣 岩城滉一
映画『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』Twitter公式アカウントはコチラ!↓
@eiga_mogura
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土竜の唄 39 高橋のぼる
土竜の唄外伝 狂蝶の舞 1 高橋のぼる
関連リンク
スピリッツ公式
『土竜の唄』
【初出:コミスン 2014.03.12】
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