実直な公務員だった夫が、なぜ自ら命を絶たねばならなかったのか?
平凡な夫婦の幸せは、なぜ壊されなければならなかったのか?
国有地が不当な価格で売却された事件の渦中で、関係者の名を隠蔽するために公文書の改ざんを命じられた近畿財務局職員・赤木トシオ。その妻、マサコが「夫の死の真実を知る」ために国と闘うことを決意するまで、そして現在の迷い、怒り、葛藤とは――!?
愛する人の喪失に向き合う、すべての人に贈るヒューマンドラマ。
登場人物紹介
赤木マサコ
神戸在住の普通の主婦。
トシオと結婚し、幸せな生活を送っている。
赤木トシオ
財務省近畿財務局に勤める
生真面目で実直な公務員。
■『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』の成り立ち
この漫画作品はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありませんが、実在する人々の切なる想い、祈りには大きく関係しています。赤木雅子氏と相澤冬樹氏の共著『私は真実が知りたい』(文藝春秋刊)も参考にしています。
本作の制作に際して、主人公のモデルであり、取材協力者でもある赤木雅子氏の望みは「夫、俊夫さんの真実が描かれること」でした。森友学園への国有地の大幅な値引き価格による払い下げに始まった財務省の公文書改ざん事件。この事件が政治問題化されるほどに、そこに巻き込まれた普通の夫婦の「平凡な日々が突然壊されてしまった悲しみ」について、我々は見落としてしまっていなかったでしょうか。
真面目で実直な人間が、組織の圧力で不正を命じられ、その不正に反対すると組織に切り捨てられてしまった。この残酷な事実は、組織の中で誰にでも起こりうることです。だからこそ一人でも多くの方に、未だ事件の渦中にいるご夫婦のことを知ってほしい。そうした思いで漫画の制作がスタートしました。
取材協力をいただいている赤木雅子氏は「笑える漫画にしてください」とおっしゃっていました。漫画のタイトルである『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』の「がんばりょんかぁ」は、雅子氏の地元である岡山県の方言で「がんばっているかい?」という意味です。夫・俊夫氏が雅子氏に、こう呼びかけてくれているのではないだろうか、と想像し、タイトルにしました。深刻さの中にも、確かに存在した夫婦のささやかな幸せや笑い、そして涙を読者の皆さんに感じていただきたい、という願いがこめられています。
「私は真実が知りたい」という雅子さんの現実の闘いと並走して、連載は進みます。大切な人のことを思い浮かべながら、読んでいただけると幸いです。
<スピリッツ編集部>