トップ  >  第422回スピリッツ賞 結果発表! ( 2026/10/05 )
週刊スピリッツ

2026.10.05

第422回スピリッツ賞 結果発表!

週刊スピリッツ

デビューに一番近い新人賞!!

佳作1本&奨励賞1本&努力賞2本! 魂の叫びを聴け!

 

【佳作】賞金30万円

『終末の午後』
ほしうめするめ┃東京都・28歳

あらすじ
風俗嬢のれいりは、他人の寂しさを慰めることが生きがいの「女神」。ある日、出勤中にアラームが鳴る。3時間後に巨大隕石が地球を破壊するらしい。人々が大切な人の元へと走る中、「優しい女」れいりは、寂しい誰かを救うべく走り出す。すると道端で童貞(と思しき男)が泣いていて――!?

賞担当より
主人公は「女神」を自称して憚らず、「中島みゆき」を名乗る自己紹介や時折見せる謎のポーズなど端々に覗くセンスも独特。本作からは、作者がそうしたおかしみを描きつつも、愛情深い眼差しを主人公に向けていることが伝わります。読者の「共感」のナナメ上をいく個性的な主人公に、「感情移入」できる普遍的な寂しさを託したバランス感覚は見事。タバコを片手に大人の世界を渡ってきた主人公が、ラストは子どものようにシャボン玉を吹くという小道具の変化も爽やかでした。

 

【奨励賞】賞金10万円

『僕らの黒歴史』
小林(こばやし)寿樹弥(じゅきや)┃神奈川県・19歳

あらすじ
不良ぶることで陰キャな自分を隠す主人公・凌哉。風紀委員のミアとは幼なじみである。母親を亡くしたミアは厨二病の鎧をまとうことで自らを支えていたが、アクの強いキャラが災いし、校内の不良グループに絡まれてしまう。その光景を目撃した凌哉は――!?

賞担当より
「イタい」行動の中にも一生懸命な生き様とお互いへのまっすぐな思いがあり、誰しもが好きにならざるを得ないような2人でした。キャラを演じているときと素の瞬間、それぞれに魅力的な表情が描かれ、短いページで読み応え抜群。19歳と若い作者の今後に期待します。

 

【努力賞】賞金3万円

『LOVERLA-ラバラ-』
小林拓未┃京都府・22歳

『死神の仕事』
シダノユ┃埼玉県・32歳

 

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総 評

 以前、ある新人作家さんから「自分が描くべきテーマが何か考えようとしても取っ掛かりが見つからず、途方に暮れてしまいます。どうすればよいでしょうか」と相談されて、答えに窮したことがあります。

 どのようにお伝えすればよいかわからず悩む中で、『鉄道員(ぽっぽや)』などで知られる小説家の浅田次郎氏の言葉に出会い、目から鱗が落ちた、ということがありました。少し長くなりますが、以下に引用します。

 「僕が生まれたとき、戦争が終わってから6年しか経っていませんでした。だから周りは軍隊経験者だらけだったんです。でも親父も叔父も学校の先生も、ほとんどその経験を口にしなかった。(中略)だから僕らの世代が戦争を忘れるか否かというのは一つのポイントであって、自分なりに小説にしていくのは大きな使命の一つだろうと思って戦争小説を書きつないでいます」。

 この「使命」という考え方に私は大変感銘を受けました。「自分の描き手としての使命は何かーー」そういうふうに考えれば、描くべきテーマはおのずと見えてくるものなのかもしれません。

 そうやってテーマを見つけ出したら、ぜひそれを皆さんの作り上げた「キャラクター」によって表現してみてください。描くべきテーマを内在した主人公は、きっと魅力溢れるものになるはずです。今後も力作をお待ちしております。 

(スピリッツ賞講評担当A)