2026.07.27
第420回スピリッツ賞 結果発表!

デビューに一番近い新人賞!!
奨励賞3本&努力賞1本! 〝ワールド全開〟の意欲作集結!

【奨励賞】賞金10万円
『8ミリと熱中症』
笠井みつき┃東京都・22歳
編集部より
あらすじ ボクシング映画マニアの小川に思いを寄せる荻野は、映画部との勝負をかけた『ロッキー』のリメイクに駆り出される。「文化祭までに完成しなければ荻野の告白動画を流す」という脅迫と、「小川とのキスシーン」という餌に屈して主演を務めるが……!?
賞担当より 小川の挑発的なセリフとエゴイスティックな目つき、それを引き立てる演出。フェチが作品全体をパワフルに牽引しています。小川だけでなく『ロッキー』のDVDを観る荻野の表情なども素晴らしく、各コマの構図にも確かな意図と美意識を感じました。

【奨励賞】賞金10万円
『33歳のあれとそれ』
かめのあゆみ┃東京都・35歳
編集部より
あらすじ クリスマスイブ。隣のカップルの睦み合う声を聞きながら、一人33歳の誕生日を迎えた永井。翌日のクリスマスはリア充たちに仕事を押しつけられ残業。夜も更けたオフィスに、昔プレイボーイだったと噂の36歳・千賀が戻ってきて……なぜか……密着!?
賞担当より 永井のかわいさと千賀のセクシーさがすごい。人間臭いままで魅力溢れるキャラデザのセンスと表情の描写に脱帽です。デフォルメのきいた画風ながら、人体や服の質感、自然な動作など随所に画力の高さが光り、読みやすさの点でも目立っていました。

【奨励賞】賞金10万円
『働く生き物』
佐藤 凛┃宮崎県・29歳
編集部より
あらすじ 働かず食べてばかりの主人公は、寝ている間に群れに捨てられてしまう。お尻から顔を出した寄生蟲の叱咤激励を受け、太った体に鞭打って群れを追いかけるが、家の外は危険だらけ。生きたい気持ちと「生き物に向いてない」自分への諦めの狭間で……!?
賞担当より ファンタジー世界の架空の生き物の話ですが、主人公の生きづらさと寄生蟲の思い、それぞれに入れ込んで面白く拝読しました。メインキャラ2人(匹)は愛嬌満点。群れに寄生していた主人公を寄生蟲が導くというマッチングも必然性があり見事です。

【努力賞】賞金3万円
『釣り人よ』
古川敬伸┃広島県・24歳
たくさんのご投稿ありがとうございます!

総 評
第420回スピリッツ賞にご応募いただきありがとうございました。「漫画で最も大事なものはキャラクター」とよく言われますが、キャラクターを描くとは、つまるところ「人間を描くこと」だと自分は思います。では、人間を描くとはどういうことなのか、どうすればそれができるのか。それに関連して、ある漫画家さんの言葉を紹介させてください。「利き手の手の平の上に100円ライターを乗っけて、宙に30センチほど放り、利き手でキャッチする…それを5回連続でできるかやってみてください。もしそれを自分の部屋でやるとしたら、おそらくそこまで難しくないでしょう。しかしそれを、高層マンションの20階にある部屋のベランダでやってみたらどうなるか。とたんに成功率は下がるでしょう。自分は毎日こういうふうに、“人間とはどういう生き物なのか”を考えています」。この言葉を聞いた時、自分は大変感動しました。思いもよらない話でしたが、これまでにない視座が手に入った感覚がありました。優れた作家はこのように日々 世界を観察し、人間について考え続けることによってキャラクターを生み出しているのだと思わされました。スピリッツ賞では、皆様の「人間観」=「自分は人間をこういうふうに考えている」が現れた作品をお待ちしております。それが一般的に正しいとされていないことでも構いません。目を背けたくなるようなものでも構いません。皆様自身の思う「人間はこういう生き物だろう」を作品にぶつけてもらえたらと思います。今回の受賞作からはいずれもその意志が強く感じられ、非常に心を動かされました。今後も力作をお待ちしております。 (スピリッツ賞講評担当A)
