週刊スピリッツ
2024.09.02
第397回スピリッツ賞 結果発表!
週刊スピリッツ
デビューに一番近い新人賞!!
スピ賞6月期!実力派の奨励賞×1本、努力賞×1本選出!
【奨励賞】賞金10万円
『最後のバードウォッチング』照屋太郎(神奈川県・38歳)
編集部より
怨霊になる前に友に成仏してほしいという切な気持ちが、「カンムリカッコウ」の登場によって、“まだ一緒にいたい”に急変するシーンが鮮やかでした。纏う鳥が増えるにつれて、友が消える不安、焦燥感が増長していく場面は臨場感があり、この友人が消えないでほしいと強く思わされます。さらに、鳥や緑地の表現は素晴らしく、二人の過ごした時間が深く感じられたところも魅力的でした。
【努力賞】賞金3万円
『宇宙の物語』石橋勇太朗(福岡県・32歳)
編集部より
キャラクターの表情、言葉の強さが、物語の勢いの良さにつながっており、気持ち良く読み進められます。「宇宙」に関する壮大な情報を含んだシナリオも読みやすくまとめられており、知識としての楽しさも感じる作品でした。人物の葛藤に、より深い動機付けを行うことで、作品の没入感が増しそうです。
総評
多くの人の心に届く漫画を作りたい。そう願った時、(最優先事項ではないかもしれませんが)作り手自身が知っておかなければいけないこと。それは「自分はどんな瞬間に熱くなれるのか」「どんな瞬間に立ち会うと冷めるのか」「どんな瞬間に出会うと欲が刺激されるのか」などなど、自身の感情のスイッチを把握することではないかと思います。まだ引き出しの多くない新人さんにとって、ご自身の噓のない感情とその変化――それは崇高なものでも、ズルいものでも、みっともないものでも構いません――を、他者の目や評価を気にせずキャラクターにどこまでブチ込むことができるか。その純度が高ければ高いほど、見も知らない人々の心を打つ物語が生まれる可能性は高くなるように感じます。今後も力作をお待ちしています。