週刊スピリッツ
2017.09.26
【映画公開中!】『あさひなぐ』こざき亜衣インタビュー! 乃木坂46メンバーに書いた手紙で伝えた言葉とは......!?
週刊スピリッツ
好評の内に幕を閉じた舞台版に続き、映画『あさひなぐ』が9月22日(金)より絶賛公開中です!!
9月25日(月)頃発売のスピリッツ本誌では、映画公開を記念して乃木坂46から西野七瀬(as東島 旭)、白石麻衣(as宮路真春)が表紙を飾るのに加えて、二ツ坂高校薙刀部メンバー(西野七瀬、桜井玲香、松村沙友理、白石麻衣、伊藤万理華、富田望生)が勢ぞろいのグラビアを掲載!! さらに2号連続対談シリーズ第2弾として「こざき亜衣×ケンドーコバヤシ対談」を掲載!! 連載初期から『あさひなぐ』を絶賛してきた読者代表のケンドーコバヤシ氏と、作者・こざき亜衣氏がそれぞれの立場から本音で映画『あさひなぐ』を語っています。
コミスンでも、映画のヒットを後押しすべく、こざき亜衣氏にインタビューを慣行しました!! 映画化に際しての作者の想いとは――本誌と併せてお読みください!!
映画『あさひなぐ』公開記念・こざき亜衣氏インタビュー
――完成した映画を初めて観た感想はいかがでしたか。
後味が爽やかでいいなと思いました。泣けるところもありましたし、全体を通してキャストが凄く頑張ってくれました。
――映画化はいつ頃から動き始めていたのですか?
映画化のお話自体は2年半くらい前からあって、具体的に動き始めたのが1年前で、そこからは急ピッチだった印象です。撮影に入ってからは現場の皆さんにお任せでしたが、プロットや脚本制作の段階では色々と提案させていただきました。
――乃木坂46のメンバーがメインキャストというお話は、いつ頃から?
最初からです。あまりアイドルに詳しくなくて、いろいろなグループの区別もついていなかったくらいなので、乃木坂46メンバーのこともぼんやりと認識していた感じでしたが、今は映画や舞台に出ていないメンバーの名前も知っているくらい詳しくなってしまいました(笑)。
――映画で東島 旭を演じた西野七瀬さんがすごく役にはまっているなと感じました。作者から見て、キャストの皆さんの印象はいかがですか。
旭は、映画の西野さん、舞台の斎藤飛鳥さんが2人とも自然体だなという共通点があって、そういうところが旭にすごくあっていたんじゃないかと思います。
さくら役の松村沙友理さんは普段からアイドルっぽい空気を出していて、それが役にぴったり合っているのが面白かったです。撮影中に「さゆりんごって呼ばれるよりさくらちゃんといわれると嬉しい」と言ってくれていました。
将子は、清楚で可愛いイメージの乃木坂46とは正反対のキャラクターなので、どうなるのかと思っていましたが、桜井玲香さんがすごく役にあわせてくれていて、シャープな顔立ちもよかったです。宮路真春役の白石麻衣さんもすごく綺麗でしたね。お美しい...と思いました。
西野七瀬さん(旭役)
松村沙友理さん(さくら役)
桜井玲香さん(将子役)
白石麻衣さん(真春役)
――夏合宿が中盤の見どころでしたが、江口のりこさんの寿慶も素晴らしかったです。
江口さんは何人かキャスト候補を頂いた中から、こちらの希望でお願いしたのですが、凛とした空気があって、すごく尼僧映えする感じで。尼寺に行ったことがあるんですけれど、雰囲気があんな感じなんですよね。
江口のりこさん(寿慶役)
――中村倫也さんの演じる小林先生も、ギャグのノリで物語の展開をうまく繋ぐキャラクターになっていた気がします。
下手したらすごく寒いことになりそうなのですが、中村さんは上手いですよね。小林先生は、高校生達が悩んで一生懸命やっていることを、深入りせずに少し遠くから眺めている大人という立ち位置なんですよ。高校生の狭い世界を表現する中で、世界はここだけじゃないんだということを表すスパイス的な存在なので、映画でもシリアスになりすぎるところで原作と同じ役割を果たしてくれました。
中村倫也さん(小林先生役)
――原作読者としても、どのキャストが演じるキャラクターにも違和感がないのが驚きでした。
野上えり役の伊藤万理華さんが本当にすごかったなと。えりが実際にいたらこんな感じなんだろうって思いました。真春をまくしたてるシーンで、すごく興奮して半泣きになっているのに空気を読まずに小林先生が現れた瞬間の混乱とか、生っぽかったですね。
一堂寧々役の生田絵梨花さんも、原作より少しまろやかなキャラクターになっているんですけれど、発散できないものを抱えつつも最終的には一礼して去っていく感じに、すごく原作に通じる心が出ているなと思って。
伊藤万理華さん(野上えり役)
生田絵梨花さん(一堂寧々役)
――どのキャストも、ちゃんと『あさひなぐ』のキャラクターになっていました。
舞台と映画で、同じ役につき2人のキャストがいるので、それぞれ比べて観るのが面白くて。同じ役でも演じる人によって拾ってくる部分が違っていたので、乃木坂46のメンバーもみんな役のことを考えて演じてくれているんだなと。いままで意識したことが無かったのですが、同じ脚本でも役者によって全く違う話になるんだなというのが面白かったです。
――原作のキャラクターの描き方に影響があったりしましたか?
映画ではないのですが、舞台を観たのがちょうど今描いている二度目の夏合宿編に入る前だったので、寿慶さんと郁林は、完全に舞台で真琴つばささんと白勢未生さん演じるそれぞれの声のイメージになっていました(笑)。
――映像的に印象に残っているシーンはありますか?
薙刀のシーンが本当にかっこよくて。キャストがみんな本当に真剣に取り組んでくれているというのが伝わってきました。
――薙刀のシーンは吹き替え無しでキャストが演じられていたそうですが。
すごく一生懸命やってくれていましたね。撮影と並行しながら少しでも空き時間があれば練習していて。1日だけ撮影を見学させてもらったのですが、本当に想像以上に薙刀をしっかりやってくれていて。6年以上も薙刀を描いている私より、もうこの子たちの方が上手いんだろうなって(笑)。
――映画を観ると薙刀をやってみたくなるような作品になっていると思いました。
本当に、私がいつも取材で見ている薙刀がちゃんと生で伝わってくれるというのが嬉しかったですね。中高生の人たちが薙刀をやってみたいと思ってくれたらいいな、というのが、今回の実写化プロジェクトをお受けした理由のひとつでもあったので。
――原作読者に向けて、映画のここが見どころというポイントがあれば教えてください。
読者の中には乃木坂46のことをそれほど知らない人もいると思います。私がそうだったように、なんとなく同じ制服を着ている可愛い女の子達という、ぼんやりとした集団の印象でいるかもしれませんが、それは街で見かける部活動の女の子達と同じだと思うんです。個々のキャストに強いイメージがないぶん、フラットに観られるんじゃないかと思いますが、これはグループアイドルでなければできなかったことじゃないかなと。そしてその世界の中を覗いてみれば、なんとなく同じように見えていた女の子達が、こんなにも個性的だったのかということが伝わるかと思います。
――乃木坂46メンバーだからできた映画『あさひなぐ』になっていると。
舞台化・映画化が決まって、最初に乃木坂46のメンバーに「アイドルにしかできない映画を作ってください」という手紙を書いたんです。
一人一人のキャラクターの説明をした上で、みんなが同じ立場で部活の中にいて、ひとつの集団を築いている。作品として主人公はいるけれど、一人一人が自分の人生を生きている女の子で、その気持ちは乃木坂46の皆さんならわかるんじゃないかと思うから、自分を脇役だと思わずに演じて欲しい、ということをお伝えしました。
それで本当に一生懸命やってくれたら、「ただのアイドル映画」ではなく「アイドルでないと作れない映画」になると思いますということを書いたのですが、実際そういう作品になってくれたと思います。
――『あさひなぐ』読者のみなさんと、映画ではじめて『あさひなぐ』を知った皆さんにむけて一言お願いします。
映画や舞台の中で夏合宿編をやったことは、いま連載で描いている夏合宿にも影響していると思います。やっぱり寿慶さんや郁林を出したいよね、同じことをやっていたら駄目だよねということを担当と話し合ったりしました。
もともと読んでくさっている読者の方には、映画を観ていただくと、いま描かれている夏合宿の1年前を振り返ってもらうきっかけになるかと思います。逆に、今回初めて『あさひなぐ』に触れてくれた方には、映画で描かれたちょうど1年後をいま漫画で描いているので、成長した旭達の姿を見て欲しいと思います。
こざき亜衣『あさひなぐ』は「週刊ビッグコミックスピリッツ」で絶賛連載中!!
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(インタビュー・構成:平岩真輔)
©2017 映画「あさひなぐ」製作委員会
©2011 こざき亜衣/小学館
関連リンク
スピリッツ公式
【初出:コミスン 2017.09.26】
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