週刊スピリッツ
2016.06.18
【単行本第1集発売中】いま話題! 米代 恭『あげくの果てのカノン』に著名人からも共感&絶賛の声多数!!【作品レビュー/帯コメント全文】
週刊スピリッツ
弱冠24歳の気鋭の作者が描く、ちょっと普通じゃない恋愛譚には、各方面からも共感と賞賛の声が寄せられています。雑誌『週刊SPA!』やWebメディアで活躍するライター/編集者の福田フクスケ氏によるレビューとあわせて、著名人からの推薦コメントをコミスンでご紹介します!!
『あげくの果てのカノン』レビュー/福田フクスケ
最近の相次ぐ不倫バッシングを見ていると、人は前提として恋を「良いもの」だと信じていて、不倫がさも例外的に「悪い恋」だと思っているかのようだ。だが、小説『消滅世界』で話題の村田沙耶香が、「『恋』ほど無垢な異常はない」とこの漫画を評した通り、そもそも恋とは異常なものである。
自尊心は低いのに自意識過剰で、相手に理想を投影して粘着&崇拝ばかりしている高月カノンは、超絶面倒くさいメンヘラ女子だが、困ったことにだからこそカワイイ。軽薄であざとく、思わせぶりで何を考えているかわからない境宗介は、きっと女心を振り回しては食い荒らすヤリチンメンタル男子だが、皮肉なことにだからこそカッコイイ。
異星生物の襲来という理不尽に左右される状況。人々が地上民と地下民に分けられている階層差。負傷から回復するたびに、趣味嗜好など人格の一部が変わってしまう宗介の"入れ替え可能性"。本作を彩る現実離れしたSF設定は、しかしすべて現実の恋の困難の象徴でもある。
既婚者である宗介との恋は「不倫」に他ならないが、カノンにとってそれは他の異常と同程度に壮大な「SF」なのかもしれない。そんな恋愛の本質を弱冠24歳で描いてみせる作者の非凡な才能から目が離せない。
各界の著名人も共感&賞賛!!
単行本の帯にも掲載されている、著名人からの推薦コメントを全文紹介! 思い思いの言葉で、いかに本作に引き込まれたかが表現されています。
押見修造(漫画家)
かのんは確実に僕の中にいる。
男として生きてきたけれど、心のなかでは 僕はかのんのような女の子だったのではないかと思う。
かのんのように、好きな人を神様に仕立て上げた。
かのんのように、世界の破滅を願った。
人に背を向けて、自分を卑下する振りをしながら 神様を信じ続けた。
でも本当はわかっていた、神様の正体を。
この漫画は、その「私のはらわた」が グロテスクかつ甘美に描かれようとしていると思う。
村田沙耶香(作家)
『恋』ほど無垢な異常はない。
一瞬先に何が起きるかわからない世界に圧倒されながら、「恋」というものの根源に何があるのか、絶えず問われている気持ちになる。
痛くて、醜くて、純粋で、その異常こそが「恋」だと思っている私に、彼女の想いがたまらなく突き刺さってくる。この世界だからこそ湧きあがってくる、未知の感情の数々に夢中になる。早く先を読みたい、この揺さぶりの先が知りたいと強烈に思わされるのだ。
志村貴子(漫画家)
1話目からずっと怖かった。
得体の知れない世界もかのんも先輩も。
頬を赤らめたり大粒の涙をだばだばとこぼしたり、かのんの中で爆発する感情がひたすら怖かった。
怖いと先が気になってしまうのでページを繰る手が止められない。
自分がこの世界の住人だったらどんな立場にいるんだろうと考えてまた怖くなった。
隠しておきたい感情を丸裸にされてしまった感じ...やめてやめてかのんやめてー!
かのんの行く末を指の隙間から覗く気持ちで読んでいます。
◆
自分の恋愛を振り返ってしまう人、先が気になってソワソワしてしまう人、とにかく誰かに勧めたくなる人......単行本を手にとった人の反応も様々ですが、発売1週間で重版決定と話題の『あげくの果てのカノン』第1集、まだ読んだことがないという方はぜひ書店にてお求めください!!
コミスンでも、第1話から第3話の途中までをまるごと試し読み公開しています!!
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(スピリッツ編集部)
関連リンク
米代 恭 twitter
『あげくの果てのカノン』作品詳細ページ
スピリッツ公式「スピネット」
【初出:コミスン 2016.06.18】
あげくの果てのカノン,月刊!スピリッツ,米代恭