2025.09.20
ビッグコミック&ビッグコミックオリジナル 第13回青年漫画賞結果発表

青年漫画の新時代はここから!新たな才能、続々現る!
ビッグコミック&ビッグコミックオリジナル第13回青年漫画賞結果発表!!
今回も数多くのご応募ありがとうございました。
髙橋ツトム先生をお招きしての白熱の決定会議を経て、審査員賞1作、編集長賞2作、入選2 作、佳作1作と、大充実の結果となりました!

髙橋ツトム賞│賞金100万円+掲載権
ビッグコミックオリジナル誌面に近日掲載!
『こじん的な話』森 重水
ストーリー
あいつの葬儀のため、新幹線で名古屋へ。旧友としみじみ話すことは…
髙橋ツトム氏評
余計な説明を避け、自然な入りで世界に入らせる構成が光る。瞬間を切り取る勇気がある。説明過多になりがちな中で、言いたいことのためにあえて説明しすぎず耐えて描く誠実さが強い。
絵はキャッチーではなく少し癖もあるが、作家性が強く印象に残る。漫画家にとって絵は声であり、周波数のようなもの。ホラーなど別ジャンルへの展開次第では商業誌でも通用する可能性を感じさせる。
編集部の声
「何気ない会話だけで読ませる力がすごい」「妙に頭に残る」「特別に何かあるわけではないのに気をそらさせないテンポのよさ、構成のうまさがある」

ビッグコミック編集長賞│賞金50万円+掲載権
ビッグコミック12月増刊号(11/17発売)に掲載予定!
『ワニの相談所』杜野小径
ストーリー
人間とヒト化動物が共存する世界。人間相手に商売をしている、世にも珍しいワニがいた…
編集部の声
「思ったよりも深いテーマ」「キャラの掘り下げがもっと欲しかった」「ワニのかわいさとかっこよさのギャップがよかった」
髙橋ツトム氏評
画面のバランスが良く、黄金律も意識されていて、読みやすさがある。動物を描く力は際立っているので特化してみるのもあり。中途半端に人間社会とリンクさせず、動物そのものの世界を描ききってみては?

ビッグコミックオリジナル編集長賞│賞金50万円+掲載権
ビッグコミックオリジナル誌面に近日掲載!
『マリア様を描く』杏梨じょう
ストーリー
焦りを抱えた22 歳の美大生・森下。フレスコ画の先生に突然、フランス行きを命じられて…!?
編集部の声
「絵の細やかさに好感が持てる」「もう一歩突き抜ける要素が欲しい」「丁寧に書いているのは良い」「読みやすくさわやか」「キャラにもう少し個性を」
髙橋ツトム氏評
漫画としての基礎力は高く、地力も十分に感じられる。絵がテーマであるにも関わらず絵に関する描写が不足しており、カタルシスに欠ける点が惜しい。大きな“ 嘘” を物語に取り込んで大胆にフィクション化できるかが勝負所。

入選│賞金20万円+掲載権
『偽装結婚』宿セイ
ストーリー
結婚式を挙げることになった若い二人には、親には言えない秘密があって…
編集部の声
「どこかに感情のクライマックスが欲しかった」「まとまってはいる」「強いセリフがあるのはよい」
髙橋ツトム氏評
全体が少し長く、情報を詰め込みすぎている。詰め込まないと理解されないという怯えを乗り越え、ワンワードで伝えることを心がけてみてほしい。
入選│賞金20万円+掲載権
『涙は拭けずとも』小渕リツ子
ストーリー
人への優しさに悩む仁に賀かは、友人の子供を自宅に“ 家出” させることになり…
編集部の声
「センスと伸びしろを感じる」「このやりきれない不器用さは武器かも」「ラストの尻切れ感が惜しい」
髙橋ツトム氏評
偶然の仕掛け=「ギフト」を重ねすぎて展開が読めてしまった。冒頭の工夫が必要だが、構成次第で読後感を高められる作品。
佳作│賞金10万円+掲載権
『HATOTSU鳩突』SOWER
ストーリー
男が公園で出会った一匹の鳩。普通の鳩とは違う眼差しの先には!?
編集部の声
「鳩の圧で笑う」「懐かしい痛快さ」「謎の迫力がある」「ラストがもっとほしい」
髙橋ツトム氏評
絵は巧みで白黒の扱いも上手く、目力のある画面を描ける。賞に値する力はあるが、商品化には課題もある。題材を選び、短ページで成立させられれば化ける可能性も。

総 評
簡潔に一瞬の時間を切り取って……‼
髙橋ツトム氏
読み切りと言う形態で描く漫画、特に漫画賞は、やはり24 ページ以下を目標にするのが一番だと思います。このページ数だとかなりの情報を削らないとならないし、やりたい事も簡潔にして一瞬の時間を切り取ったように描かないとページが足りない。ワンワード、ワンエピソード、ある程度の画力、そしてその題材を選んだ作家の視点が面白ければ必ず賞には入ると思いますんで、漫画家を目指す皆さん!描き続けてください!
ビッグコミック 村上正直編集長
今回もたくさんの応募ありがとうございます!「 これを描きたい」という“ リビドー” を強く感じた作品を評価しました。このキャラクターを見てくれ、この世界観を感じてくれ、そういった想いを届けるお手伝いが編集者の使命だと思っています。その声に耳を傾けてください。
ビッグコミックオリジナル 荻野克展編集長
今回は髙橋ツトム先生をゲスト審査員にお招きして大変熱い議論が交わされました! 応募作に向ける温かく真剣な目線がとても印象的でした。そして髙橋先生より受賞者の皆さんへ、即効で極めて役に立つアドバイスを沢山いただきました! ぜひ活かして連載を勝ち取ってください!