週刊スピリッツ
2025.03.24
第404回スピリッツ賞 結果発表!
週刊スピリッツ

デビューに一番近い新人賞!!
奨励賞×1本、努力賞×2本!春風薫る才能の息吹き!!!

【奨励賞】賞金10万円
『団地文豪』丸森(まるもり)ちか(埼玉県)
編集部より
猫が主人公でお馴染みのあの文豪が、明治から現代にタイムスリップ! そこで住むことになったのは、とある団地だったーー 偏屈な売れっ子作家が現代で翻弄されていく様子が可笑しく、ストーリーも丁寧に描かれており素晴らしかったです。次はこの文豪の小ネタや、ならではの展開が、もう一歩踏み込んで読みたく感じました。

【努力賞】賞金3万円
『言葉が石になった時』ハイター(中国・21歳)
編集部より
「口を出せばウソになる」そう信じる女子高生 鈴は、その無口さからクラスで浮いていた。しかし同級生にバーに連れ出され、嘘をついたことで、日常が一変していきーー言葉を「石」に例えた演出がとても印象的で、ロッカーから石が溢れ出したり、巨大な石が降ってきたりと、絵的にも迫力がありました。空想と現実の境目を整理して、分かりやすさをあげる工夫を心がけてみてください。

総評
マンガとは、必ずしも「自身の体験」が必要な媒体ではありません。競技経験がないとスポーツマンガが描けないわけではないし、料理経験がないとグルメマンガが描けないわけでもない。当たり前の話です。もちろん取材や経験は大きなアドバンテージとなりますが、それを「体験談のまま終わらせてしまう」作品が多いな…と感じることもしばしばです。「興味を持って触れてみた上で、なお疑問に思う点はどこか?」「あの時、体験とは異なる分岐を選んでいたら?」と考えてみる習慣こそが、共感を得やすい物語の出発点になるのではないでしょうか。(現場を知ってれば普通は断る仕事だけど…引き受けたらどうなる?)(結局言い出せなかったけど…もしも告白していたら?) そこで初めて、「物語」へと昇華する可能性が生まれるのだと思います。今後も力作をお待ちしております。