ビッグコミック
2018.06.18
祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第6回】第6巻「喪服の似合うとき」
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往年のファンにとってはお馴染みとなっているゴルゴのカッコよさや、シビれるエピソードの数々――。しかし、若い世代の中では、巻数も多いしちゃんと読んだことがない......という方も多いはず。そんなアナタのために、50周年を記念して、年齢も性別も関係なく人々を魅了する『ゴルゴ13』の魅力や、名エピソード・名ゼリフを、毎週1冊ずつ単行本を読んで紹介していく本企画。残り半年の2018年、『ゴルゴ13』を読んで有意義に過ごしましょう!
第6回目の「ここがすごい!」ポイントは、ゴルゴのダンディズムとプロの流儀がさく裂する、第6巻「喪服が似合うとき」より、このエピソードです!
SPコミックス『ゴルゴ13』(6)喪服の似合うとき (試し読みもできます!)
今回ご紹介するのは第6巻ですが、『ゴルゴ13』って巻数が多いうえに途中から読んでも......と思われるかもしれません。しかし、大丈夫です。『ゴルゴ13』は、各巻に収録されているエピソードが、基本的に1話完結なのでバラバラに読んでも楽しめるんですね!
さて、というわけで、まずはこちらの見開きをご覧ください!
雄大に描かれた海原、海岸線、そして豪華なヨット。こんなヨットでゆっくりと旅をしてみたいものですが、書かれたタイトルは物騒な「17人の渇き」というもの。客船の中で描かれるだろうゴルゴと、ターゲットとの戦いを予感させる導入部分です。
物語に登場するのは、ディック・ケスラーとラルフ・ヒューストンの2名。ディックは仲間のマイケルを殺した謎の相手・キューピッドが、豪華ヨットであるネルソン・2世号に逃げたと相方に伝え、2人は乗り込んでいきます。ヨットには乗客とクルーが合わせて15名。つまり、謎の存在であるキューピッドを追う2人を加えて、17名になるんですね!
乗客は船長を務める伯爵とその友人たち。みんな中々のセレブぶりです。ヨットに乗り込んだディックたちは、自分たちがMI6であることを伝え、敵側のスパイであるキューピッドが、乗客乗員の中に紛れ込んでいることを伯爵に伝えます。
いかにも怪しげな動きを見せるクルーたち。そして、ヨットの中でちょっとしたトラブルが起きたのち、何者かにラルフが殺されてしまいます......!
ラルフの仇を打つべく決意を固めるディック。しかし、このあとさらなる殺人が起こり......。ヨットの中にいる誰がキューピッドなのか。ミステリーのようなドキドキ感と謎が提示されるストーリー展開に引き込まれていくこのエピソード。
......さすがにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここまで主人公であるゴルゴが一切登場していません。もしかしてゴルゴがキューピッド?! 謎の人物の正体は、果たして......! 『ゴルゴ13』を読んだことがない人でも、このエピソードを読めば、ゴルゴが何のプロフェッショナルだったのか、改めて実感できるはず。
【今回のプロ&ダンディーな名言】
手のしびれを感じてしまい病院へ行くゴルゴ。医師たちは原因不明の症状に苦戦しますが、女医・マリーは精神的な要因があるのではと、ゴルゴを家に連れ込みます。今回紹介する明言は、表題作「喪服の似合うとき」より、そんな状況下で言い放たれたこのセリフ。
「薬品を使って......おれの心をのぞこうとするのは............力づくで女を犯すこととかわりがない!」
ゴルゴの後ろに立ってはいけない、ということは多くの方がご存知でしょうが、ゴルゴ......いや、彼ならずとも、コーヒーに薬を入れて心を覗きこもうとしてはいけません。このセリフのとおり、しっかりやり返したゴルゴと、ラストカットの余韻――。手のしびれに珍しく動揺するゴルゴと、それを乗り越える冷徹なまでのプロフェッショナルさ、その両方が味わえるエピソードです。ぜひコミックスで見届けてくださいね!
次回は第7巻「AT PIN-HOLE」より、お届けします!
(文・加藤真大)
【初出:コミスン 2018.06.18】
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