トップ  >  スペリオール ドキュメントコミック大賞 (募集終了) ( 2024/03/07 )
ビッグスペリオール

2024.03.07

スペリオール ドキュメントコミック大賞 (募集終了)

ビッグスペリオール

 

小学館の青年コミック誌「ビッグコミックスペリオール」は、
この度、新たに「スペリオール ドキュメントコミック大賞」を、立ち上げます。
人生を変えた“オンリーワンの体験”
皆が知る“あの職業の内幕”、誰もまだ知らない“常識を覆す事実”など…
想像を超えた 現実 リアル を募集します。
これまで作品を描いたことがない方でも
「あなただけの 現実 リアル があれば、大丈夫!
漫画が描けない方でも原作形式(文章)での応募が可能です!
AIには決して真似ができない“人間の作品”を待っています!!

 

2024年1月10日(水)
大賞賞金100万円+連載確約!

こちらの募集は終了いたしました。
結果発表は、4月末頃 本誌を予定しております。
たくさんの応募ありがとうございました。

 

石井光太さんインタビュー

──様々な取材をしてきた石井さんはノンフィクション作品とは、どういうものだと考えていますか?

 新聞やテレビでニュースとして報じられた事柄を取材して深く掘り下げていくと、180度見え方が変わる瞬間があるんです。そんな自分の想像を裏切るような"現実"に触れられた時に、表面的な事実を並べたニュースから、初めてノンフィクション作品として感動するものになると僕は考えています。
 たとえば、子供を殺すほどの虐待をした親たちの取材をしていると、みんな「子供達を愛していた」と言うんです。実際、仲良く子供と写っている手作りのアルバムが家にはあるし、毎日一緒にご飯を食べてお風呂に入る。にもかかわらず、子供が騒いだり、勝手に家の物を食べたりするからと、「しつけとしてウサギのゲージに何か月か閉じ込めていたら、死んじゃった」とか平気で言うわけです。それが異常だという認識がない。
 その背景には、虐待する親たちの生育環境が悪かったために、普通の愛し方を学んでこなかったことがあります。でも、彼らも彼らなりに一生懸命、子供を"愛していた"んです。そのことに気づいた時、取材前にこちらが想像していた「子供を憎むだけの虐待親像」が壊れていくんですよね。こうした"現実が想像を裏切る瞬間"を書くことが、ノンフィクション作品の"核"になると思います。

──本賞でもそういった"核"を持った作品の応募を期待されていますか?

 そうですね。誰もが知っているような出来事でも、目線の置き場所を変えるとその作品の見え方は大きく変わってくると思います。たとえば、「トー横キッズ」のようなニュースで最近よく見る出来事でもいいし、「虐待されて苦しかった」という体験でもいい。それを僕たちが見ている光景とは、違う視点から描いてもらいたいですね。それこそが、読者の心を揺さぶるノンフィクション作品を生み出すことに繋がると思います。

──今回は漫画作品になりますが、そのことについてはどう考えていますか?

 やはり漫画でしか描けないことってありますよね。文章の場合、言語化できることしか扱えません。東日本大震災の取材時、被災者の中には興奮のあまり、「ブワーッと黒い波が来て、めちゃくちゃになった」といった表現しか出てこないことがありましたが、それをそのまま書いても、その恐怖の感情を読者に伝えることは難しい。でも漫画なら絵があるので、その時の心情をストレートに表わすことができますよね? そういった漫画ならではの強みを持った応募作をぜひ読んでみたいと思っています。

 

石井光太 PROFILE

1977年生まれ。 ノンフィクション作家。 2005年、『物乞う仏陀』でデビュー後、国内外の文化や歴史、事件、貧困・虐待、教育問題など多岐に渡るテーマで 精力的に取材・執筆を行う。 『遺体-震災、津波の果てに』『「鬼畜」の家』 『ルポ 誰が国語力を殺すのか』など著書多数。

 


 

押見修造さんインタビュー

──今回、審査員の依頼があった際、押見さんはどう思われましたか?

 僕は、物語の人間なので、いいのかなと思いましたが、面白そうだと感じました。スペリオール19号(2023年9月8日発売)で完結した『血の轍』では自分を掘って出し切った感覚がありますし、もはや「現実逃避したもの」には満足できない体になってしまったので(笑)、賞の審査を通して、これから描く作品の刺激になる何かをもらえたら嬉しいと思っています。

──押見さんの考えるドキュメントコミックとはどんなものですか?

 たとえば、世界一周旅行をした人がいて、いろんな国でいろんな人と出会ったというだけでは「生々しさ」がないんです。経験を伝えようとすると、起きたことを全部描きたくなりますが、表面的な事実を並べるだけでは、逆に作者が感じていたことから離れてしまいます。そうではなく、その経験の「本質」が読者に伝わるように表現された作品が、ドキュメントコミックと呼べるのかもしれません。

──どうすれば、そんな作品が描けるようになるのでしょうか?

 重要なのは、大事に抱えている経験を「たいしたことない」と一度、突き放して客観的に見ることです。そうすると、その経験を描こうとする"動機"が見えてくるはずです。すごく引きずったり、こだわったり、とらわれたりしている経験には、その作者にしか描けない面白さが隠れているんです。
 僕の場合は、13、14歳頃に集中して起きた経験のせいで「自分の人生が駄目になった」と思い込んでるところがあって、そのことを作品に投影してずっと描いてきています。でもデビュー当初は漫画作品は人を楽しませることに専念すべきと思っていて、自分のことを描いたところで誰にも面白がってもらえるわけないと思っていたんです。

──何か押見さんが変わるキッカケがあったんでしょうか?

 ある時、友達が個人的な事柄を話してくれたんです。そのお返しという感じで、これまで人に話したことがなかった自分の過去をさらけ出して語ったら、友達が泣いたんです。それを見て、周囲の人に言えないこと、恥ずかしいと思ってたことを吐き出すことで、こんな感動してくれる人がいる、表現していいんだって思えたんです。
 今回、応募される方も漫画として、うまくまとめようとしなくてもいいし、絵が下手でもいいから、吐き出し口には最適の賞だと思うので(笑)、そういう作品を送ってくれたら、一生懸命読みます。楽しみにしています。

 

押見修造 PROFILE

1981年生まれ。 2002年、『真夜中のパラノイアスター』でデビュー。 代表作は『惡の華』『ぼくは麻理のなか』 『漂流ネットカフェ』など。 『血の轍』は第50回アングレーム国際漫画賞連続作品賞を受賞。 著作は海外でも高い評価を得ている。

 


 

三谷三四郎さんインタビュー

──『街録ch』を三谷さんが始めたキッカケを教えてください。

 長年、テレビのディレクターをしていて、取材した人のインタビューを制作サイドの都合で切り取って編集してしまうことに対して、後味の悪さを感じることが多々ありました。そこで撮影に応じてくれた人が「満足だ」と思ってくれる番組を自由に作りたいと、YouTubeチャンネルを立ち上げたんです。

──チャンネル出演する方はどんな基準で決めているのですか?

 見たことも聞いたこともない人生と出会ったときに、僕は"面白さ"を感じるんです。たとえば『街録ch』で300万回以上再生されている人気動画に登場するゲイバーのママがいます。
 実はこの方、元嫁がホスト狂いで1700万円の借金を作ったために建設業界から足を洗って、なんと売り専の男性用風俗を始めた方なんです。それで借金を全て返済して、シングルファーザーとして娘さんも立派に育て上げたというんですから、すごいですよね? およそ自分が想像もつかない人生なので、取材をしていて、すごく"面白い"と感じましたし、多くの人もそれを分かってくれるんだなと思いました。

──今回、審査するにあたって、どのような点を重視しますか?

 なぜそんな経験をすることになったのか、なぜそんな人生を歩むことになったのか。作品の中で「その理由」をきちんと突き詰めて見つめているかどうかを審査の基準にしたいですね。
 先日、ストーカー加害者だった人に、インタビューをしました。被害者からすると迷惑でしかないし、本当にもう二度と目の前に現れてくるなっていう存在で、まったく肯定できません。でも、なぜストーカーするようになったかという「その理由」を聞いていくと、「この人だけが異常だ」という一言では片付けられないと感じる自分がいました。

──つまり「人間ってなんだろう」という問いを感じたということでしょうか。

 そうですね、そうかもしれないです。だからすごく派手な展開というより、「なるほど、こういう行動をする人は、こういう気持ちに基づいてこんな行動をしたくなるのか」という「人間の行動原理」みたいなものが描かれていると、僕は強く惹かれるのかもしれません。
 漫画はそれほど読むほうではないのですが、審査員の話をもらって面白そうだと即受けることに決めました。想像を絶するような現実が世の中にはあるんだということを改めてこの僕に感じさせてくれて、驚かせてくれるような応募作を読むことを楽しみにしています。

 

三谷三四郎 PROFILE

1987年生まれ。 フリーディレクター。 有名人から元犯罪者まで様々な人々が、これまでの人生をさらけ出して“顔出し”でインタビューに答えるYouTubeチャンネル『街録ch−あなたの人生、教えてください』を運営。開設3年半で、チャンネル登録者数120万人を超える。

 


 

編集長・寺澤より

 漫画の新しい可能性を探りたい。そんな思いで、この賞を創設いたしました。
 知られざる圧倒的な現実は人々の価値観を変えます。あるいは、例えば戦争はどちらの国の側から見るかで現実は180度異なります。今年の芥川賞受賞作『ハンチバック』(著・市川沙央)という小説を通してですが、紙の本や漫画を読むという行為も立場を変えれば健常者の特権として映っている現実を知りました。
 まだまだ私たちの知らない現実が世界のどこかにあるかもしれない。誰もが知っている(と思っている)現実の裏には知らない現実があるのではないか。
 必ずしも大きなニュースばかりではありません。他人にとって意識しないような些細なことでも本人にとって人生を左右するような決定的なことであれば、それは圧倒的な現実です。漫画は多様さが一つの武器だと思いますので、ぜひ自由な発想で作品をお寄せください。
 スペリオールは「価値観ゆさぶるオモシロさ!」をスローガンにしています。審査員の方々や編集部の常識を覆すような生々しい現実を描いた作品をお待ちしております。

 


 

賞金

大賞100万円+連載確約
入選50万円 佳作30万円

※作画部門では、優秀者に企画準備金10万円を贈呈します。

応募要項

プロアマ問いません。
本賞では、漫画と原作の形での応募を受け付けます。
いずれかの形式を選択してください。
また、作画部門は、ドキュメントコミックの作画を希望する方の応募を受け付けます。

漫画形式

①1話目のネームまたは完成原稿
※ネームの場合、完成イメージが分かるカット2~3枚も添付ください。
2話目以降を描いて頂いても構いません。
②企画書
 ・作品あらすじ(400字以内)
 ・企画意図(1000字以内)
 ・2話~最終話の展開イメージ(2000字以内)
③作者経歴
 ・A4サイズ1枚にまとめてください。形式は問いません。

原作形式

①1~3話のテキスト
②企画書
 ・作品あらすじ(400字以内)
 ・企画意図(1000字以内)
 ・最終話のイメージ (1000字以内)
③作者経歴
  ・A4サイズ1枚にまとめてください。形式は問いません。

作画部門

①これまでの作品
②志望動機(400字以上)
③作者経歴
・これまでに発表した作品や、雑誌掲載歴などを記載ください。形式は問いません。

審査スケジュール

▼2024年1月10日(水)締め切り(消印有効)
▼2~3月頃 10作品程度選出し、審査員審査
 ※必要に応じ、応募者に内容確認を行います。
▼4月末頃 本誌にて結果発表予定

問い合わせ先

電話番号:03‒3230‒5509(ビッグコミックスペリオール編集部)

応募方法

①WEB

 

②郵送
 ●必要記入事項:作品名・氏名・ペンネームのある方はペンネーム・年齢・学年もしくは職業・電話番号・メールアドレス・郵便番号・住所を記載した用紙を同封ください。
 ●あて先
 〒101‒8001
 東京都千代田区一ツ橋2‒3‒1
 小学館 スペリオール編集部 
 「ドキュメントコミック大賞」事務局

 

●応募原稿は返却しません。必ず控えのコピーをおとりください。
●雑誌発表作、ブログ、自費出版物等、書店で流通していない作品は、応募可能です。
●選考過程において、内容・表現等の確認をさせていただくことがあります。
●受賞作の出版権、映像化権等は小学館に帰属します。その権利料は賞金に含まれます。
●同時期に他社の賞に二重応募することはご遠慮ください。発覚次第、無効とします。