トップ  >  カレー沢薫・輝きかけの人生コラム「薫の小部屋」第15回更新! ( 2015/05/24 )

2015.05.24

カレー沢薫・輝きかけの人生コラム「薫の小部屋」第15回更新!

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今回のテーマは「ブスがババアになったなら」です。
年齢を重ねるにつれて変わる、同級生との会話の内容は...?







◆ ◆ ◆








このコラムが載るころには、先日配信された読みきりの結果も出て、私はすでにこの世にいないかもしれない。と、書き出しが常に遺書のようになってしまうのは、月に1~2度必ず死にたくなることが起きるからなのである(にも関わらず実際、死にはしない)が、いつもそれでは暗くなるので、みんな大好き、ブスの話でもしよう。




先日、久しぶりに旧友と集まった。全員同級生なので、皆今年33歳になる。年をとると集まった時に必ず病気自慢が始まるというが、女の場合、加齢によるブス自慢が始まる。
体中が重力に逆らわなくなった、腹が3段を越えて5段になった、朝、鏡を見るとお母さんが映っている、等々枚挙に暇がない。
ブスにババアが倍プッシュ、という悲劇に思えるかもしれないが、美人は加齢による美貌の損失を防がなくてはいけない。一方、ブスの場合、ないものはなくならないので、ある意味気が楽だ。逆に、今まで男にちやほやされていた女が、年をとって男に相手にされなくなる様を腹を抱えて笑えるので、年をとってからが「ブスのターン」ともいえるかもしれない。
女は年をとった時、「諦めておばさんとして生きる」か「灰になるまで女を諦めない」の選択を迫られる。
おばさんになるということは、いわゆる戦線離脱で、楽にはなるだろうが、若い女や男から舐められる感は否めない。だが、銃創をたすき掛けし、死ぬまで女という最前線で戦う姿が美しいかというと、これまた物笑いの種になりがちなのである。
オリンピックの選手がメダルを獲るために、泥にまみれて練習する姿は人々に感動を与えるだろうが、アラサー・アラフォー女が「美魔女」を目指して、100種類のサプリにまみれながら、ラ○ザップに入会する様は失笑しか買わないのである。
世間は美しい女は好きだが、美しくあろうと必死の形相で努力をする姿は見苦しいと感じるのである。ナチュラルメイクが好きという男も、そのナチュラル感を出すために2時間かかっていると聞いたらドン引きするのだ。




よって年をとってからもいい女であろうとするなら、若い時以上に努力しなければいけない上に、その努力を見せてはいけない、ということになるのだ。
このように、日本は何かと女に「自然美」を求める国である。この理屈でいくと、天然物のブス「自然ブ」が、もてはやされる日が来るのもそう遠くはないだろう。私はそれをじっと待つことにした。






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【初出:コミスン 2015.05.24】

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