コミックス 作家 Webコミック・コラム 新人賞
ビッグコミック ビッグコミックオリジナル ビッグコミックスペリオール 週刊スピリッツ 月刊スピリッツ
トップ  >  【連載】モフモフモフモフ猫モフモフ!『東伍郎とまろすけ』/深読み新刊紹介「読みコミ」 ( 2014/10/07 )

【連載】モフモフモフモフ猫モフモフ!『東伍郎とまろすけ』/深読み新刊紹介「読みコミ」

2014.10.07

発売されたばかりの作品、いま注目したい作品、まだまだ押したい作品......
コミックを長く「店頭」からながめてきた視線で選ぶ、
元・まんが専門店主の深読み新刊紹介。





yomicomi_title.png






第2回 『東伍郎とまろすけ』第1・2集 長月キュー







 料理や食べ物が美味しそうに見えるマンガ、いわゆる"食モノ"はたくさんある。たくさんありすぎて、最近は食のバリエーションを拡大したり、ストーリーに工夫を凝らしたりして差別化が図られている。でもつまるところ、読者の"食欲"をより刺激できた作品の人気が高いという気もする。ネコを描いたマンガもたくさんある。古くは、ますむらひろしの『アタゴオル』シリーズとか小林まことのミリオン・ヒット『What's Michael?』などを思い出す。ネコが主人公というとファンタジーだったりギャグだったり、昔は擬人化されたものが多かったのだが、昨今はエッセイ寄りの作品が圧倒的に多い。くるねこ大和『くるねこ』、いくえみ綾『そろえてちょうだい?』、片倉真二『ペン太のこと』など、ネコ好きのハートを射貫く評判のネコマンガがいくつもある。ネコと暮らす人にしか描けない、シンプルにしてリアルな作品がたくさん楽しめる。





comics_marosuke_1.jpgcomics_marosuke_2.jpg





 そんなネコマンガの魅力は「カワイイ!」と叫びたくなる瞬間に凝縮されている。これ、脳が受ける"刺激"という点でどこか食欲に近いものがあるように思う。そんなネコマンガ・シーンに、ファンタジーでもギャグでもエッセイでもない、それらのいいとこ取りマンガが登場している。スピリッツで連載されているネコ溺愛コメディ『東伍郎とまろすけ』だ。道場で師範を務める侍・夏目東伍郎は、巷では宮本武蔵の再来と噂されるくらいの剣の達人。注がれる尊敬のまなざしや集まる人望をも意に介さない、その超然とした佇まいを貫く彼の視線の先にあるものは......。ズブズブの愛猫家暮らしとストイックな剣の達人のギャップ萌え必至、ストーリーに占める大量のコメディ成分が惑星のようにグルグルしたあげく、そのすべてがネコに向かい、ネコの可愛さが脳内ではじける瞬間を楽しむという、ネコ好きにはとても美味しい作品となっている。





20141007_yomicomi2.png





 ところで、ネコは自分をカワイイと思ったりするのだろうか? いや、そんなことはないはずで、カワイイはあくまで人間が抱く感情だ。マンガでいうと、そう見えるかどうかはネコと絡む登場人物の演技力次第。ネコがカワイイ演技をしているように見えてもそれは錯覚に違いない。でも、だからこそネコはカワイイ。観客を爆笑に導くお笑いタレントが一緒に笑ってはいないのと同じだ。ネコと人間は各々が各々の価値観を追求しながら、利害の一致する部分で触れ合っている。ネコはよくツンデレだともいわれるが、たぶんツンでもなければデレでもない。マンガにおいてもそう、"カワイイ"を突き放すほどに客観的な"カワイイ"は増量されるはずなのだ。この『東伍郎とまろすけ』はそのあたりのさじ加減によく気を配っているように見える。ネコのまろすけは擬人化されないし、過剰な演技もしない。だからホンモノのカワイイ! がキープされている、というわけだ。





「読みコミ」バックナンバーはこちら





南端利晴(元・まんが専門店主)

今すぐ無料で試し読み!
東伍郎とまろすけ 1 長月キュー
東伍郎とまろすけ 2 長月キュー


【初出:コミスン 2014.10.07】

東伍郎とまろすけ,読みコミ,連載,長月キュー
ABJ 10401002

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ
使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 6091713号)です。