ビッグオリジナル
2014.09.30
【連載コラム】オリジナル40周年記念『オレとオリジナル』。第5回はやまさき十三が登場!!
ビッグオリジナル
今年、ビッグコミックオリジナルは創刊40周年。その40年を支えてきた作家の方々はもちろん、著名人読者の方々にビッグコミックオリジナルを語っていただく特別コラム! 第5回は『釣りバカ日誌』の原作担当・やまさき十三氏が登場!
第5回【やまさき十三氏】
《プロフィール》1941年6月19日宮崎県都城市生まれ。宮崎県立宮崎大宮高等学校野球部ではピッチャー。後、映画監督を志望し早稲田大学第一文学部演劇科卒。東映東京製作所に助監督として10年間勤務し『キイハンター』など脚本も執筆、退社後マンガ原作者に。代表作の『釣りバカ日誌』(画・北見けんいち)は1979年から現在も連載中。1988年に映画化され、以後22年に渡る人気シリーズに。2013年公開の映画『あさひるばん』では72歳の新人監督として初メガホンをとり、コミック版(画・テリー山本)も本誌に連載、単行本が発売中。
原作を編集部全員が回し読み、言いたい事を言われて頭にきた(笑)
当ページに前回登場した北見けんいち氏と創刊5年目のオリジナルで始めた『釣りバカ日誌』は、連載開始から35年。
今も続く超長期連載の初回は読み切りだった。
その原作を書いたやまさき十三氏が、79年当時の編集部に見た「熱意」とは。
――北見さんから伺った連載開始の経緯は、当時副編集長だった林洋一郎氏と野球の試合で対戦して、試合後に「仕事やる?」という話だったそうですが、やまさきさんが事前に推薦してくれていたらしい、というお話も。
やまさき まあ、そういうことにしておいてもいいんですが(笑)、最初の読み切り用の原作は既に書いていて、絵は誰にしようか、という話し合いはしていました。それで、林さんが「赤塚さんのところに、一塁へ腹から滑り込む奴がいる」と言ってね。フジオプロで長くやっているから喜劇は描けるし、ガッツのあるヤツだからいいんじゃないか、と。ボクも野球の試合で何回か対戦してるから、北見さんのことは既に知ってましたしね。
――では、原作を書くに至った経緯は?
やまさき その前年だから78年かな、浦安に引っ越したら、近所の境川でみんなハゼ釣りをしている。じゃあボクもやってみようと思って、30年ぶりぐらいの釣りだったけど面白くてね。吉野家の遊漁船で江戸川の五目釣り、木更津のキス釣りと、のめりこんだ。それを聞いた熊谷(玄典)という当時のデスクが、釣りマンガをやらないかと。『釣りキチ三平』の矢口高雄みたいに詳しくはないけど、釣りにのめりこむ人の気持ちならわかる、と返したら、それでいいと言う。それで、いつでも釣りのできる自由人ではなく、いろいろ制約のあるサラリーマンを主役にして書いたんです。だから最初は、釣りありき。それでね、書き上げて編集部に行ったら校了直後か何かで、これからみんなで食事に行くから一緒にどうぞと。それで近所の中華料理店に行ったら、原作を全員で回し読みして言いたい事言われて(笑)、こっちは恥ずかしいし、頭にきた。それを林さんが「済まなかった」といってとりなしてくれました。でも、そういう、現場で作り上げようという熱気があったということなんですよ。そういう熱気と、高度成長育ちの読者の「モーレツ社員だけじゃないぞ」という空気が現れ始めたタイミングが奇跡的に合った、と思っています。
――オリジナルの印象は変わりましたか。
やまさき それこそ今に続く強烈な連載陣が次々と起こっていた時代ですから、そこに書くとなれば不安と嬉しさがありましたが、昔も今も雑誌の中のバランスがよくて、絶えず窓が開いている印象ですね。確かに雑誌が全体に辛い時代に入ったけど「面白いものを作る」っていうソフト部門として貴重でしょう。以前電車で、仕事に疲れたような人がオリジナルの巻頭だった『釣りバカ』を読んでクスっと笑ったのを見たことがあって、このクスっこそがボクらの役割だ、と思ったんですよ。
『釣りバカ日誌』の主人公・浜崎(ハマ)ちゃんと鈴(スー)さん。
『釣りバカ日誌番外編 新入社員 浜崎伝助』がビッグコミックオリジナル増刊号にて連載中!!
■次号予告:第6回 高橋留美子氏
(担当:ビッグコミックオリジナル編集部)
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釣りバカ日誌 89 やまさき十三/北見けんいち
関連リンク
ビッグコミックオリジナル公式
【初出:コミスン 2014.09.30】
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