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【連載コラム】『テツぼん』原作者、高橋遠州先生のテツオタ話。第7回は鉄道から楽しむ富士山=富岳〝鉄〟景!!

ビッグオリジナル

2014.08.05

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第7回【富岳〝鉄〟景】






 七月になると富士山の山開きがあります。『テツぼん』ではこのところずっと静岡県を舞台にお話を進めてきましたので、これまでにも富士山を何回も取りあげています。前回のお話でも鉄男たちが富士山に登ってます。鉄道は山梨県側では北と西、静岡県側では南と東を富士山を取り囲むようにして走っています。当然そこには数多くの富岳百景ならぬ富岳〝鉄〟景が存在します。
 静岡県側の富岳〝鉄〟景として代表的なのは『テツぼん』単行本第8集の表紙写真にも使われていますが、富士山を背景とした新幹線富士川橋梁でしょう。ここは車窓から見た富士山も格別で、まさに富岳〝鉄〟景の白眉とも言うべき絶景です。だいたいこの富士川橋梁と三島駅の間くらいが新幹線での富士山のビュースポットになります。





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『テツぼん』第8集







 在来線も負けてはいません。東海道線の上り電車に乗っていますと由比のあたりで線路が富士山に対してS字型になっているために富士山が真っ正面に立ちふさがるように見えてきます。そしてそのまま進むと今度は富士山が反対側の車窓に移ってしまいます。事情のわからない人は下り電車に乗っているような錯覚を起こすかもしれません。このように線路のカーブが原因で富士山の見える側が一時的に逆転する箇所は新幹線にもありまして、下りに乗って静岡駅を出てすぐの安倍川を渡ったあたりがそうですが、一瞬なので気づく人は少ないようです。
 富士市と甲府市を結ぶ身延(みのぶ)線はその路線の大半は山梨県側にありますが、富岳〝鉄〟景ということで言えば静岡県側の富士宮市あたりがビュースポットになります。富士山をご神体とする浅間神社の総本社もここにあります。ちなみに富士山の頂上一帯はこの神社の奥宮の境内、つまり私有地になっています。




 そして最後に在来線で忘れてならないのが富士山と箱根山の間を走る御殿場線です。以前のコラム『山北駅残照』でも触れましたが、御殿場線は現在でこそローカル線ですが元々は昭和初期に丹那トンネルが開通するまでは東海道線の一部だった路線です。中心駅の御殿場駅のあたりからおおいかぶさるように富士山が見えてきます。そしてその御殿場駅の二つ隣にあるのが富士岡駅です。その駅名の通り、ホームからはこれぞ富士山といった雄大な光景を見ることができます。




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御殿場線富士岡駅からの〝鉄〟景






 ところで静岡県内にはもう一つ富士岡という駅があります。御殿場線富士岡駅から下り電車に乗って東海道線の沼津駅まで行き更に下って吉原駅というところまで行くと、そこに岳南電車という静岡県内で一番小さなローカル私鉄があります。もう一つの富士岡駅とはこの岳南電車の途中にある岳南富士岡駅のことです。岳南電車は『テツぼん』105話にも登場したのですが、工場地帯の間を縫うようにして走っている鉄道です。ちなみに岳南とは富士山の南という意味で、その名のとおり岳南電車は富士山のすぐ南を走っていますのでほぼ全ての路線から富士山を見ることはできるのですが、如何せん工場地帯の間を縫うようにして走っているために、これまであまりビュースポットとしては注目されていませんでした。確かに工場や住宅の間にぽっかり見えている富士山では絵葉書とか観光パンフレットには向かないかもしれません。





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岳南電車の岳南富士岡駅






 私は以前、岳南富士岡駅に降りてみたことがあります。構内に古い機関車が何台か置かれていて、その間に富士山が見えていました。いかにも昭和の香りがする無人のさびれた駅舎は私のような昭和育ちの世代には懐かしい限りでした。そしてそんな駅舎の脇にポツンと富士山が見えていました。おそらくこの駅を毎日利用されている方はそんな何の変哲もない富士山を日常の光景として見ているんでしょう。




 富士山は観光客だけが見ている訳ではありません。富士山の周辺には多くの住民が住んでいて、そうした人たちは日々生活の一部として富士山を見ているはずです。そんな生活の臭いがする富岳〝鉄〟景をここで見ることができました。私はこれはこれで富岳〝鉄〟景としては「あり」だなとしみじみ思いました。





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(執筆:高橋遠州 担当:ビッグコミックオリジナル編集部)

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【初出:コミスン 2014.08.05】

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