ビッグコミック
2014.06.11
望月理恵さん「自分が思っていることを肯定してほしい、共感を求める感覚ってあると思います」◆屋根の上のマンガ読み
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第53回 望月理恵
《プロフィール》1972年生まれ、フリーアナウンサー。日本テレビ「ズームイン!!サタデー」のMC、TOKYO FM「NOEVIR Color of Life」パーソナリティなどを務めている。フードコーディネーターの資格を持つ料理上手としても知られる。
《プロフィール》1972年生まれ、フリーアナウンサー。日本テレビ「ズームイン!!サタデー」のMC、TOKYO FM「NOEVIR Color of Life」パーソナリティなどを務めている。フードコーディネーターの資格を持つ料理上手としても知られる。
「何十回も読むのは、自分の感情を肯定してほしいからかもしれません」
子供のころ、マンガのセリフを朗読してカセットに録ってたんです。ラジオが大好きだったので真似をして。今はラジオパーソナリティになれたので、子供のころからの夢をかなえたように見えますけど、実はマンガの仕事や声優さんに憧れていたんです。
私にとって、全マンガのなかのトップが[寄生獣]です。マンガのことを改まってお話しするのは初めてなんですけど、このインタビューが決まったとき、[寄生獣]を最初から読み直そうと思った瞬間がとても幸せでした(笑)。
[寄生獣]はSFというより、すごくリアルなお話だと感じています。人間とは何かっていう観点で、今の私たちが気づかなきゃいけないことが描かれてる気がして。寄生生物のミギーは本をいっぱい読むんですけど、「僕は別に受験のために勉強してるわけじゃない、生きる知識を得るためなんだ」って言うんです。何かのためにじゃなくて、生きるためなんだっていうところで、たくさんの気づきがあって。ラストもすごく印象的です。「寄り添う生き物」という落としどころがもうパーフェクトだなぁと。[寄生獣]には、命の尊さがギュッと詰まってると思ってます。
お寺に嫁いでから、さらに[寄生獣]や[ブッダ]がより心のバイブルになってきたような気もします。[ブッダ]も仏教のことをちょっと学んでから読むと、「お経って、死んだ人に捧げる歌のようなものじゃなくて、生きてる人に必要なことが書かれているんだな」って実感できるんです。それをわかりやすく説明してくれていて。私は、「何のために生きてるんだろう」ってちょっと悩むタイプなので、[寄生獣]と[ブッダ]は何回読んでも気づきがあります。
[寄生獣] ©岩明均/講談社
[のだめ]が黄金比
今いちばん共感できるのは、会社に勤めていてがんばっている女性の恋愛です。[いつかティファニーで朝食を]がすごく好きなんですけど、やっぱり働いてる、がんばってるがベースにあって、そこにちょっとラブがあるという。食べ物が主体の話ですが、食べる姿が生き生きしていて、ちょっとほろっとさせるんです。[にがくてあまい]も、たくさん働いててやさぐれていた主人公に、オーガニックな野菜男子が現れて、それに救われるというような話です。私は食べ物も料理も好きなので、どちらも何か作ろうとか、どこかへ食べに行こうって、動かされるマンガでもありますね。
要素のバランスは、[のだめカンタービレ]が私の黄金比です。クラシック音楽の要素もありつつ、ギャグな部分もありつつ、ちょっと恋愛もある。でも、がんばってる「のだめ」がメイン。周りの人が彼女をほめるシーンがあると、同じように思っている自分がうれしくなるんです。セリフを覚えるくらい読んでます。
共感を求める感覚
[寄生獣]とかもそうなんですけど、私のマンガの読み方として、どこか自分が思っていることを肯定してほしい、共感を求める感覚ってあるんじゃないかなと思います。何十回も読んで、もう内容もわかってるし、読んだら自分がこんな感情になるっていうのがわかってるんですけど、なりたかった感情になれる安心感を求めてる。きゅんとするところもそうです。「この感覚が欲しかった!!」とか、こういうの好きだったよなーなんて思い出したくて。だから何度でも繰り返し読むんですね。
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ラジオパーソナリティとしてコメントするときの指針になっているというマンガたち。
人と人との距離感が絶妙な、川原泉作品を中心に語る!!
<6/25(水)更新予定>
【「屋根の上のマンガ読み」バックナンバーはこちら!】
(取材構成:ビッグコミック編集部・根本和佳(DAN)、撮影:松原康之)
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【初出:コミスン 2014.06.11】
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