トップ  >  第6回 ヤングスペリオール新人賞結果発表!! ( 2021/01/22 )
ビッグスペリオール

2021.01.22

第6回 ヤングスペリオール新人賞結果発表!!

ビッグスペリオール

「マンガはもっと自由だ!」を標榜するネオ青年誌の登竜門! 今回も将来有望な新人が集まった! 結果発表&審査員インタビュー!

大賞 賞金100万円+掲載権

大賞
『電気家政婦の純情』

岩渕杏香│19歳│長野県

■ストーリー

主人公・桐山に母から贈られたのは最新式の電気家政婦。とても精巧で人間そっくりだが、四六時中付きまとってくるのが不気味だし、何故か学校では怪我人が続出。そして暴かれる、彼女の秘密とは…

●森高夕次氏 評

今回の中では一番絵に魅力があった。多分もっと上手くなっていくと思う。小学館の青年誌を意識したらどうなるのか? 非常に楽しみ。化ける可能性を一番感じた。

 

審査員賞 賞金30万円+掲載権

審査員賞 『白石さんの秘密』

川井十三│50歳│滋賀県

■ストーリー

白石さんは特殊能力者。物を消したりできるが、実用性には乏しい。ある日監視役の公安・山田から、特殊能力犯罪の捜査協力を依頼され?

●森高夕次氏 評

私の中では文句のつけようもなく面白かった。50歳という年齢だがこれ以外の作品も描けそうで、将来性も感じてしまう。

 

佳作 賞金20万円

佳作 『関係トランスレーション』

氷河│32歳│千葉県

■ストーリー

主人公のマコはある日突然女体化。男をおちょくって遊ぶが、親友のササキにはキュンキュンしてしまい?

●森高夕次氏 評

面白かった。この人は大人の漫画作りができる。この世界観の中では完成されているが、ここから一歩でも出たらどうなるのか?

 

佳作 『喫煙所行って来ます!』

Σ│20歳│東京都

■ストーリー

和田(20歳女)は喫煙者だが、偏見が多い職場では秘密にしていてストレスフルな日々。新人バイトの鮫沢が気に入り、ますますタバコのことは言いづらくなるが?

●森高夕次氏 評

絵も話もいい。マンガ偏差値高し!…だが、流行りのテーマだからこそ、テーマ自体にひねりができる度量があったら…

 

佳作 『溺れろ、林檎。』

雪魚│大阪府

■ストーリー

紅と倫示は子供の頃、3年間だけの義理の兄妹。成長して再会後は男女の仲に。日々のストレスから倫示は暴力がちになり…

●森高夕次氏 評

実力者だが、前半の構成がわかりづらかったり、小さなストレスを読み手に与えるので全体として粗っぽく見えてしまう。スッキリとした演出をしてみては。

 

奨励賞 賞金5万円
『第3の目』

野火けーたろ│24歳│広島県

 

努力賞 賞金1万円
『ふくわらい』

伊藤 弘│38歳│神奈川県

 

努力賞
『ないモノがある』

万太夫│51歳│奈良県

編集部総評

 第6回ヤングスペリオール新人賞にたくさんのご応募ありがとうございました。今回はコロナ禍のためか、残念ながら応募総数はこれまでよりも若干少なめでしたが、にもかかわらず面白い原稿が多く、審査の結果、岩渕杏香さんの『電気家政婦の純情』が大賞受賞、川井十三さんの『白石さんの秘密』が審査員賞を受賞と、豊作な回となりました。

 当たり前の話ですが、漫画は「面白ければ何でもいい」のだと思います。でも、だからこそ難しい。学校の試験のように「正解」が存在するのであれば、どれだけ楽だろうと思います。

 ストーリーが練れていて、構成も非常に巧みでセリフ回しも上手く、絵もすごく洗練されている…なのに、全く面白くない漫画があります。一方で、絵も下手、ストーリーも滅茶苦茶…なのに、凄く面白い漫画があったりもします。たぶん、オモシロというのは最終的には合理性を超越していくのだろうな、と思います。

 例えば『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する「ジョジョ立ち」、あのポーズは何なのでしょう? 意味が分かりません。でも、なぜか惹かれるし面白いですよね。

 つまりセオリーとか因果関係とか意味といった合理性の外側に、オモシロは存在する。噛み砕いて言えば「理屈じゃない」のだと思います。オモシロは理屈を超えたところにある。

 想像してみてください、セオリー通りに展開される物語、セオリー通りに作られたキャラクター…そんなものが面白いはずがありませんよね。そういったセオリーや理屈からはみ出した部分こそが面白いはずです。

 ですから、皆さんが生きていく中で「理屈抜きで心が動いた瞬間」を大切にして欲しいと思います。「なぜだか知らないけど、悲しくて涙が出た」とか「理由は分からないけど、アイツが気になって仕方がない」とか。そういった「理屈抜きに心が動く瞬間」にこそ、あなたのオモシロの、あなたにしか表現できない感動の、ヒントがあるのではないかと思います(“感動”とはまさに“心が動くこと”だと思います)。

 是非、自分にしか描けないオモシロを探し出して、それを漫画にして欲しいと思います。次回も沢山のご応募をお待ちしています。(編集長・菊池一)