ビッグコミック
2018.09.17
祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第14回】第14巻「日本人・東 研作」
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1968年に誕生以来、なんと今年で50年! 日本では知らない者がいない超有名キャラクターと言っても過言ないでしょう。とはいえ、キャラクターは知っていても、「昔から続いているし、1巻から読むのも大変そうだ」と、これまで読んだことがないという方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ご安心を! 『ゴルゴ13』は一話完結ですから、どのエピソード、どの巻から読んでも、独立した物語として楽しむことができます!
本企画では、名エピソード・名ゼリフを、毎週1冊ずつご紹介し、その面白さを知っていただき、ぜひコミックスを手にとっていただきたいと思います!
第14回目となる「ここがすごい!」ポイントは、世界的ジャーナリストがゴルゴ13の正体を追跡する第14巻の表題作「日本人・東 研作」をお送りいたします!
SPコミックス『ゴルゴ13』(14)日本人・東 研作(試し読みもできます!)
ある日、ジャーナリスト・大山英雄の元を1人の外国人が訪ねててきました。
彼の名はマンディ・ワシントン。世界的に有名なジャーナリストであり、大山の友人です。
彼の来日の目的は、なんと!
......世界を股にかけて数々の殺人を繰り返してきた世紀のプロフェッショナル・ゴルゴ13......世界中の諜報機関がその存在を知りながら、なぜか捕まえようとしない謎の狙撃手......彼のことを調べ、本に書くこと!
なぜ、彼は捕まらないのか。彼は一体何者なのか......。
しかし、驚くべきことに、マンディはゴルゴの正体を掴んだというのです。
ゴルゴ13/デューク東郷に激似の男......その名も東(あずま)研作!
ラスベガスを訪れ、交通事故死した女性が持っていたというこの写真を手がかりに、マンディ・ワシントンと大山英雄、二人のジャーナリストが「東 研作」の正体を探る旅に出るのです。
まず、アメリカで亡くなった「東 研作」写真の持ち主の女性の家を訪ねた二人。夫の話から、彼女の旧姓が「東」だったことを知りますが、親戚に東 研作という人物がいたかどうかはわからないと言います。
「東研作」の手がかりを求めて、京都の東家に向かう二人。ところが......!
突如、何者かからの銃撃を受けることに!
彼らを狙ったのは何者なのか!? ゴルゴ13本人か、それとも......!?
京都の東邸を訪ねたマンディたち。
そこで、東 研作の少年時代を知る、東家の家政婦をしていた老婦人と出会います。
老婦人は、東 研作に関わる、おそるべき事実を語り始めます。
研作の母親は、進駐軍の将校と恋仲になりますが......
幼い研作は、母親と深い仲になった進駐軍将校、そして母をも射殺してしまったのです。その後、研作は「伊藤」という家に引き取られたと老婦人は証言します。
屋敷をあとにしたマンディたちは、屋敷の前で外国人が射殺されているのを発見!
自分たちが、何者かに狙われているという確信を得ます。
恐怖を感じながらも、マンディと大山は、事件後、研作が引き取られることになった、伊藤家の調査を進めます。
伊藤とは戦後史の影で暗躍した特殊工作グループ「I機関」の創始者でした。
幼くして母と間男を射殺した研作は、施設特殊部隊「I機関」で、諜報員としての訓練を受けさせられていたのです。
じょじょに、東 研作という男の人生をたどることで、歴史の闇を目撃していくマンディと大山。
そして、マンディのゆく先々には、ゴルゴの姿が見え隠れします。
二人のジャーナリストは、調査の末「I機関」の生き証人を見つけ出します。
彼は、「I機関」は、《大佐》(=伊藤)の元で、銃、格闘術、暗号術など、テロリストに必要なあらゆる知識と技術を叩き込まれ、世界各国の内戦や紛争地域で活動したのだと証言。中でも東 研作は、裏切り者の粛清などにも躊躇しない、血も涙もない「機械」のような男だったと言います。
男の話を聞き、東 研作が「ゴルゴ13」であると確信を深めるマンディと大山。
しかし、その時、大山の体を銃弾が貫きます。
彼らを狙う襲撃者は、ゴルゴ13その人なのか......!?
ゴルゴの正体に迫ろうとした男、マンディの行く末は?
昭和の闇にうごめく巨魁・伊藤《大佐》の正体とは!?
そして......「ゴルゴ13」の正体は、本当に東 研作なのか!?
数多くの謎をはらんで、このあと物語はさらに大きく動きはじめ......やがて全ての謎が解けカタルシス満点の結末へと突入していきます。
ぜひ、お読みください。
【今回のプロ&ダンディーな名言】
「おれのルールにあった話しならばな......」(第14巻「砂漠(サハラ)の逆光」より)
ゴルゴにシュナイダーという男を狙撃するよう依頼をしてきた依頼人。その理由は、戦時中にユダヤ人の大量虐殺に関わった、というもの。
しかし、ゴルゴは彼らがルールを破っていると指摘。
なぜなら、依頼人自身が、ヒットラー・ドイツ第三帝国の再興をもくろみ、ユダヤ人を弾圧する秘密結社「ゲーレン機関」であるということをゴルゴが掴んでいたからです。
彼らはゴルゴの「真実を包み隠さず全て話す」というルールを破ったわけです。
ゴルゴの答えは、当然......
こうなります。
どれだけの大金を積まれようとも、経験則から編み出された仕事上のマイルールを貫き、成功のためにその信念を曲げることがないゴルゴ。
欲やメンツにかられて、自分の信念に合わない仕事を受けてしまい、結局失敗してしまうといったことは往々にしてあります。見習いたいものです。
次回は第15巻「モスクワ人形(ドール)」より、お届けします!
(文・山科清春)
【初出:コミスン 2018.09.17】
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