ビッグコミック
2018.06.25
祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第7回】第7巻「AT PIN-HOLE!(アット ピン ホール)」
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でも、ご心配は無用です!
『ゴルゴ13』は、それぞれが独立した作品となっていますので、どの巻から読み始めていただいても楽しめるようになっています!
というわけで、長きにわたって愛されている『ゴルゴ13』の魅力、「ここがすごい!」という名エピソード・名ゼリフを通じてご紹介していくこの企画!
第7回目は『ゴルゴ13』第7巻「AT PIN-HOLE!(アット ピン ホール)」よりお送りします!
SPコミックス『ゴルゴ13』第7巻「AT PIN-HOLE!(アット ピン ホール)」
この巻では、返還直前の沖縄を舞台に、レーダー妨害システムをめぐる米ソの諜報合戦を描く「Dr.V・ワルター」や、謎のダイヤモンド密輸団体が雇った凄腕の暗殺者・クリューガー3兄弟との戦いを描く「ダイヤモンド保安機構」、すべてに飽きた大富豪が命をかけたゲームにゴルゴを利用する「番号預金口座」と、バラエティに富んだ大作が揃っています。
その中から、今回ご紹介したいエピソードは表題作「AT PIN-HOLE!(アット ピン ホール)」!
ハイジャック事件が勃発し、文字通り「針の穴」を通すような狙撃を依頼されるゴルゴ。しかし、ゴルゴはなかなかやってこない。ゴルゴはまだか! まだ来ないのか! ......という「焦らされ型」エピソードの傑作です!
まるで、ポスターのような扉ページですが、ここに描かれた旅客機が示すように、事件の舞台は空港、そして旅客機の中!
エル・パソ空港に向かう航空機が、拳銃を持った男にハイジャックされます!
男の要求は「キューバへの亡命」!
CIAでは、乗客・乗組員を危険にさらす犯人を狙撃できる人物はいないかと、協議が始まります。
針の穴を通すような完璧な狙撃者......ゴルゴ13なら可能かもしれない......。
CIAは折よく、現在FBIに捕まり、尋問を受けていたゴルゴを釈放させ、ハイジャック犯人の射殺を依頼します。
FBIから解放されるゴルゴ。終始、黙秘を通したゴルゴに
「ひとことくらい何か、しゃべっていったらどうだ?」と言うFBIの捜査官。
ここでゴルゴが放った「ひとこと」がふるっています。
「犬も歩けば......棒にあたる......」
なぜか、日本のことわざを残して去るゴルゴ。これは、深い!
一方、機内では、ダイナマイトを体に巻き付けたハイジャック犯が、15分以内の離陸を要求!
現場では、あの手この手でゴルゴ到着まで時間を稼ごうと必至です。
しかし、肝心のゴルゴは、現場に急行したりはしません。
なぜか、「ビリーの店」という酒場へ。
そこでウイラードという男を訪ねますが、用心棒たちのアメリカン・ジョークにつきあわされてしまいます。
「ゴルゴ13!?」「バットマンと撃ち合いでもしそうな名前だな」
こんな無駄口を叩いている暇はありませんが......ゴルゴvsバットマン! ......ぜひ、見たい対決です!
「それをいうならキンボール・キニスンだろう。あいつなら宇宙をとびまわっている! そのうちゴルゴサウルスに出くわすに違いないぜ」
キンボール・キニスンは「レンズマン」......SFファンならご存知のE・Eスミスの名作日本でもアニメ化されたスペースオペラの主人公の名前です。ちなみに「ゴルゴサウルス」は1914年に発見・命名された実在した肉食恐竜。
この用心棒、意外とSFオタクで、恐竜博士です。
それにしても、ゴルゴVSvsバットマンに、レンズマンにゴルゴサウルスという「夢の対決」、ちょっと、想像力が逞しすぎやしないでしょうか。
と、そんなことをしている間にも、機内では負傷者が出て大変なことになっています。
ゴルゴ、早く!
ウィラードに地下室に案内されたゴルゴは、1人の技術者と会います。
以後も登場する武器職人デイブ・マッカートニーです。
今回の依頼用の銃の制作に3日くれというデイブに対して、「3時間以内につくるんだ!」という無茶ぶりをするゴルゴ。でも、それでも3時間......
FBIは時間稼ぎに旅客機のタイヤをパンクさせますが、それがハイジャック犯の怒りに油を注ぎます。ゴルゴはまだでしょうか?
そう......武器が出来るまでに、3時間かかるのでした
3時間後、デイブによってカスタマイズされた銃を持って、ハイジャック現場に向かうゴルゴ。果たして間に合うのか! そして、ピンポイントの狙撃は成功するのか!?
ぜひお読みください!
【今回のプロ&ダンディーな名言】
「ナマリ玉をぶちこまれた時のショックは品物によって、それぞれちがうものだが......思いもよらないものに.........撃ちこまされた時は......いやなものだ......」
(『番号預金口座(コント・ヌメロテ)』より)
退屈を持て余し、人生に飽きた大富豪、トルヒーヨII世は、スリルを求めて自分の命をかけた「ゲーム」を企てる。
世界最高の殺し屋に自分を狙わせ、生き残れるか、狙撃されるか......。そして、その狙撃を依頼されたのが殺しのプロフェッショナル、ゴルゴだった。
自分の精巧な人形をゴルゴに狙撃させ、「勝った」と喜ぶトルヒーヨII世ですが......それが人形であることは、ゴルゴにはもちろんお見通......。
甘っちょろいボンボンのつまらない遊びに、自らのプロフェッショナルとしての仕事を利用されたゴルゴ。嫌悪感や怒りがにじむセリフです。
もちろん、ゴルゴの銃口は、敵が逃げ去るヘリに向かうことになります......。
次回は、第8巻「マニトバ」より、お届けします!
(文・山科清春)
【初出:コミスン 2018.06.25】
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