ビッグコミック
2018.06.11
祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第5回】第5巻「帰って来た標的」
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「でもそんなに長く続いているんじゃ、今から読み始めるのは大変なのでは?」とお思いの方がいらっしゃるかもしれませんが、ご心配は無用!
『ゴルゴ13』は、どの巻から読み始めていただいても楽しめるようにそれぞれが独立した短編になっているのです。
というわけで、この企画は50年に渡って愛され続けてきたスーパーキャラクター『ゴルゴ13』の名エピソードを振り返り、「ここがすごい!」という名ゼリフや名シーンを、毎週紹介していきます!
第5回目の「ここがすごい!」ポイントは『ゴルゴ13』第5巻「帰って来た標的」より!
SPコミックス『ゴルゴ13』(5)帰って来た標的(試し読みもできます!)
一度殺したはずの男が、再びゴルゴの前に姿を現す表題作の「帰って来た標的」をはじめ、ゴルゴが知らないもう一つの事件が同時進行していた「殺意の交差」、ゴルゴが雪山で遭難してしまう「白の死線」、オリンピックの射撃・金メダリストとの対決「スタジアムに血を流して」と、奇想・トリック・サスペンスに富んだ名エピソードが盛りだくさんの5巻!
その中でも、今回ご紹介するのは「飢餓共和国」!
ゴルゴがアフリカ大陸のナイジェリアで起こった「ビアフラ戦争」と呼ばれる内戦に巻き込まれるエピソードです。
1967年、ナイジェリアでは、イボ族がナイジェリアからの独立を宣言し、「ビアフラ共和国」樹立を目指しますが、それを認めないナイジェリア政府はこれを武力で抑え込み、内戦が勃発。
この戦いで、ビアフラを逃れて難民となったイボ族は、経済封鎖を受け、餓死者200万人ともいわれる飢餓に苦しめられながらも、反乱軍としてナイジェリア軍に反撃を続けていました。
物語はゴルゴがアフリカの内戦地帯で、嵐によって足止めを食うところから始まります。
ゴルゴは1人の女性と出会い、彼女とともに荒天の中、唯一出発するエアタクシー(小型プロペラ機)に乗り込みますが、4人の現地の男たちと相乗りになります。
嵐の中、この飛行機は無事に飛び立ちますが、突然、現地人の客の1人がパイロットに刃物を向けます。
「オウエリに着陸しろ!」
彼らはイボ族、ビアフラ共和国の成立のために戦う反政府軍のメンバーだったのです。
ところが、彼らのハイジャックは成功しません。
飛行機はナイジェリア政府軍の対空攻撃を受けてしまうのです。
パイロットが命を落とし、あわや墜落!
とっさに、ゴルゴが操縦桿を握ります!
見事、軟着陸に成功したゴルゴ。
イボ族の3人は、処刑寸前だった反乱軍の指導者オハイヒ将軍を救出に向かいます。
ゴルゴと女性は、1人残された銃を持ったイボ族の少年と同行し、ジャングルをさまよいます。ゴルゴ一行は、政府軍に襲われますが、ゴルゴの見事な狙撃で女性と少年を救います。
しだいにゴルゴを憧れの眼差しで見るようになる少年。
なんともいえない、ゴルゴの顔です。
救出された反乱軍のオハイヒ将軍と合流したゴルゴたち。
オハイヒ将軍は、政府軍を鮮やかに仕留めたゴルゴに、ある仕事を依頼します。
依頼金は、紙幣が数枚に、硬貨が少し。ゴルゴからすると「はした金」ですが、ゴルゴはその仕事を請け負います。
依頼内容は油田に仕掛けたダイナマイトを狙撃し、爆発させること。ゴルゴにしてみれば造作もないことですが......
その作戦中に少年が負傷! 狙撃対象のダイナマイトの近くから動けなくなります。
しかし、将軍は、子どもの近くにあるダイナマイトを狙撃するよう、ゴルゴに頼みます。
果たしてゴルゴは少年を犠牲にして依頼を実行するのか?
そして、少年と将軍の意外な関係とは!?
民族の独立と誇りをかけて、強大な政府軍と戦う、イボ族の戦士たちの行く末は?
感涙必至の名エピソード「飢餓共和国」!
ぜひお読みください!
【今回のプロ&ダンディーな名言】
「おれに仕事をされたくなかったら、ねらうのは今だぞメランギ!
でないと......狼の牙はすぐ癒える......
そして狼の牙が癒えた時......おまえの最後だ」
(『スタジアムに血を流して』より)
シンジケートのボス、メランギは愛人のアンジェラを使ってゴルゴを殺させようとします。将来ある彼女の弟に汚れ仕事をさせたくなければ、自分がやれというのです。
ゴルゴを毒殺しようとするアンジェラですが、無残にゴルゴに返り討ちにあいます。
続いて、復讐に燃えるアンジェラの弟・デイブを差し向けるメランギ。
オリンピックの射撃の金メダリストで、並外れた命中率を誇るデイブは、スタジアムでゴルゴと正々堂々と勝負し、ゴルゴの右腕を傷つけたものの、絶命してしまいます。
プロフェッショナルであるがゆえに表には出しませんが、アンジェラの弟への想い、デイブの姉への想いを利用して、ゴルゴの命を狙おうとした姑息なメランギに、静かな怒りを燃やすゴルゴ。カッコいいです!
次回は、第6巻「喪服の似合うとき」より、お届けします!
(文・山科清春)
【初出:コミスン 2018.06.11】
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