トップ  >  【連載インタビュー】タレント・清水ミチコさん/「にじむような努力を感じてしまうと、人って笑わなくなるのかも」......土田よしこ『つる姫じゃ~っ!』に始まり、いがらしみきお、おおひなたごう作品まで!! ( 2014/02/10 )
ビッグコミック

2014.02.10

【連載インタビュー】タレント・清水ミチコさん/「にじむような努力を感じてしまうと、人って笑わなくなるのかも」......土田よしこ『つる姫じゃ~っ!』に始まり、いがらしみきお、おおひなたごう作品まで!!

ビッグコミック
ビッグコミック連載の人気コラムをコミスンでもお届け!


yanenoueno1-920x719.jpg





第45回 清水ミチコ
《プロフィール》
タレント・歌手。ラジオ番組の構成作家を経て、テレビCMの声のキャラクターやバラエティ番組から人気タレントに。ものまねレパートリーは圧巻の幅広さ。





「にじむような努力を感じてしまうと、人って笑わなくなるのかも」




 子供のころは土田よしこさんの[つる姫じゃ~っ!]が特に好きで、ファンレターを書いたりしてました。女性漫画家のギャグマンガってちょっと珍しかったんですよね。なので際立って面白かったし、シモネタとか入ってるのも逆にかっこよく感じたりして、私にとって大きい存在でした。土田さんの画風もものすごく好きだったんです。気持ちのいいシンプルな線で面白いことができるんだなあと思って、ますますファンになりました。雑誌の付録か何かで土田よしこさんのトークが入っているソノシートがあって、それ聴いたら土田さんの声が自分の声に似てて、ものすごくうれしかったですね。


 画風が面白いといえば、おおひなたごうさんです。以前、私が『バッタもん』というCDを出したときに、ライブをやったんですね。そのときバッタもんのイラストや他のパロディイラストを描いてもらったんですけど、おおひなたさん、そういうことすごくお上手なんですよね、センスがいいというか。それから[コアソビー]という育児エッセイマンガの帯を書かせてもらいました。笑えるマンガっていうのは、線がシンプルでサッと描けそうなほうが面白いんだなと思いました。





koasoby.jpg



(C)おおひなたごう/集英社クリエイティブ





芝居の世界が好き




 ずっと読んでいるのは[ガラスの仮面]。ヒロインが頑張っていて、いじわるにも負けないってのはいいですね。私はやっぱり、演技の、芝居の世界が好きなので。[ガラスの仮面]名台詞カルタにはCDがついてるんですが、いろんな人の声で読み手として私が読ませてもらったのはうれしかったですね。


 最近めずらしくハマって全部読んだのが、映画化もされた[潔く柔く]。友人の野沢直子ちゃんがものすごいファンなんですよ。サンフランシスコではすごく高いんだけど、無理して買ってるなんて言いながら、天才だ、天才だって言ってて。それで全巻揃えて読みました。やっぱり昔の少女マンガとは全然テイストが違うっていうか、今のほうが現実的っていうかね。昔は女優になるようなありえもしない話が好きでしたけど、今は隣にあるような恋愛の話のほうがリアリティがあっていいんだなと思いましたし、やっぱり上手だなーと思いましたね。1巻ごとにエピソードが終わっているようで、実は繋がっていたって構成で、私みたいなせっかちな人間でも読み やすい形でよかったです。


 それから好きなのは、いがらしみきおさんの[ぼのぼの]とか吉田戦車さんの[伝染るんです。]。振り返ってみると印象的なのはそういう世界です。難しいですよね、笑いのマンガって。




シンプルな線に共感




 私はもともとピアノが好きで、中学高校のころはヒットソングの伴奏とか、ユーミンさんや矢野顕子さんのマネとかやってましたね。ほかにも4コママンガ描いたり、先生のあだ名をずらっと書いてみたりとか、そういうノートを授業中に回して。まわりの友達の反応が楽しかったんですね。何かを書いてウケるということがすごい喜びだったので、こんな仕事があったらいいのになと思っていました。だから放送作家の仕事に就けたのはうれしかったですね。今でもネタを書く時に、どういうことを言ったらみんなが喜ぶか考えてます。そういうことはやっぱり文字から始まるので、4コママンガから始まった私の面白ノートでしたけど、自分の今のネタづくりにも繋がっているような気がします。ライブなんかでも、ひとつのストーリーを、山田洋次監督が撮ったらとか、筒井康隆さんが書いたらとか、そういう遊びもすごく好きでよくやってましたけど、もし自分がマンガを描けたら、いくえみ綾さんが描いたら、里中満智子さんだったら、一条ゆかりさんだったらとか、やってみたかったですね。


 顔マネ写真もちょこちょこ連載してますけど、あんまりごてごてとそっくりにやってくのって、意外に面白くなくて。ちょっと雑だけどバッとやってみたってほうが面白かったりしますもんね。作り込みすぎると笑えなくなるというか、似てるんだけどおかしくないっていうのは不思議とありますね。にじむような努力を感じてしまうと、人って笑わなくなるのかなって感じがします。だからシンプルな線のマンガに共感できるのかもしれませんね。






shimizu_s.jpgのサムネイル画像







《清水ミチコさんのおすすめ作品》
[つる姫じゃ~っ!]土田よしこ
[コアソビー]おおひなたごう
[ガラスの仮面]美内すずえ
[潔く柔く]いくえみ綾
[ぼのぼの]いがらしみきお




《こんな作品もおすすめしていました!》


[あしたのジョー]高森朝雄/ちばてつや


[巨人の星]梶原一騎川崎のぼる


[ホモホモ7]みなもと太郎



■次回予告: 第46回 里崎智也(プロ野球選手)
野球界きってのマンガ通・千葉ロッテの里崎選手。
でも野球のマンガはあんまり読まない!? その理由とは...!?
<2/25(火)更新予定>




【「屋根の上のマンガ読み」バックナンバーはこちら!】




(取材構成:ビッグコミック編集部・根本和佳(DAN)、撮影:松原康之)






【初出:コミスン 2014.02.10】

いがらしみきお,ビッグコミック,吉田戦車,屋根の上のマンガ読み,涙目