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ビッグスペリオール

2026.08.12

第3回 スペリオール 新人作家大賞結果発表!!

ビッグスペリオール

第3回スペリオール新人作家大賞 結果発表

今回は大賞なし。
審査員賞1本
編集長賞1本
佳作3本
奨励賞3本
の計8作品となりました。

「スペリオールらしい作品ばかり」審査員が唸った期待の8作品、お披露目!!!

審査員┃奥浩哉氏

 

審査員賞 賞金50万円+本誌17号掲載予定!(8月12日)

『コミックイズペーパー!』

笛木(ふえき)鹿(しか)

■ストーリー

女子高生の千洋(ちひろ)は漫画が大好き。ある日、勉強そっちのけな娘に業を煮やした父親が「漫画全部売ってやる」と宣言。千洋は家出を決意するが、何処へ行くアテもなくとりあえず山手線を一周していると、突然「漫画、描いて!!」と女性に話しかけられ……

⚫︎奥浩哉氏講評

絵についてはまだまだこれからだと思いますが、作品自体は面白く読めました。特にアイデアが良かったです。面白い!と素直に思える発想でした。まったく見たことのないアイデアというわけではないんですが、ありきたりでもない。そのバランスがちょうど良くて、読み切りとして楽しめました。

 

編集長賞 賞金30万円+本誌電子版掲載

『南極の日』

追野(おいの)由宇(ゆう) 29歳

■ストーリー

1990年代末、日本を騒がせたカルト宗教『アンタークティカ』。きたる「南極の日」のため、ミヤコと谷津は狂信者たちに“器”として祭り上げられた。しかし、教団は瓦解。“狂気の郭”から放り出された2人はどう生きていくのか。正しく生きるとは――

⚫︎奥浩哉氏講評

絵は上手でしたし、背景もしっかり描かれていて読みやすかったです。演出にも映画的な雰囲気があり、絵柄や表現からオリジナリティを感じました。また、宗教という題材への強い関心も伝わってきます。ただ、テーマ性に比べると作品の核となるアイデアはもう少し強くできる気がします。「面白そう」と誰もが興味を持てるエンターテインメント性を意識すると、さらに多くの人に届く作品になるのではないでしょうか。

 

佳作 賞金20万円+本誌電子版掲載

『祝福』

白旗 20歳

■ストーリー

妊娠がわかった千春は、生まれてくる子どもの名付けに悩んでいる。まだ声も顔も、何が好きなのかもわからない。まだ何も知らない子の名前を勝手に付けていいのか? 思い悩みつつも、着実に出産の時は近づき……

⚫︎奥浩哉氏講評

読みやすかったですが、絵についてはまだ伸びしろが大きいと感じました。特にキャラクターの描き分けはもう少し工夫できると思います。主人公も最初は性別が分かりづらく、中性的に描く意図があるなら、それが伝わる表現がほしいです。また、妊娠という題材は共感できる読者が限られるため、より多くの人が感情移入できる要素を加えられると、さらに間口の広い作品になると思います。

 

佳作 賞金20万円+本誌電子版掲載

『火星の妖精』

スガノヨシカ 24歳

■ストーリー

“基地”に住む異形の女性たち。彼女たちは、日々“虫”の脅威に晒されていた。仲間内でも図抜けた強さを持つため、ひとり見張り番を任されているスイは、ある日基地の外で謎の機械を見つけるが……

⚫︎奥浩哉氏講評

背景も描き込まれていて、絵柄にもオリジナリティがある。自分の描きたい世界観をしっかり持っている方なのだと感じました。ただ、少し読みづらさを感じた部分もあります。特にスイの初登場シーンです。作者の中ではキャラクター像が固まっていると思うのですが、読者はまだ何も知らない状態です。最初は後ろ姿ではなく、顔やデザインが分かる形で見せたほうが、人物像を把握しやすく、物語にも入りやすくなると思いました。

 

佳作 賞金20万円+本誌電子版掲載

『走って、笑って。』

平野ジュウイチ

■ストーリー

育児に奮闘中のレナ。子供を寝かしつけた後、ようやく取れる自分の時間を使って、夜の街をランニングするのが彼女の癒やしの時間だった。ある日、ひょんなことから同じランナーの女性と知り合い……

⚫︎奥浩哉氏講評

絵はすでにプロレベルですし、身近なテーマを扱っていることもあって、とても読みやすかったです。日常に根差した物語なので感情移入もしやすい。一方で、良い意味でインディペンデント系邦画のような空気感もありました。僕自身そういう作品は好きですが、プロとして長く活動していくなら、その魅力だけでなく、多くの人に届くスケール感や強さも意識してほしいと思いました。

 

奨励賞 賞金5万円

『逆鱗大怪獣パラゴン』

赤城 31歳

⚫︎奥浩哉氏講評

絵柄にはやや懐かしさを感じましたが、読みやすくスムーズに読める作品でした。物語の流れもわかりやすく、男性キャラクターが特別な力で変身する展開もある程度予想できました。ただ、最後の展開は良かったですね。主人公の女性が力を受け継ぎ、怪獣へ変身する流れについては予想していなかったので、そこは素直に面白いと思いました。

 

奨励賞 賞金5万円

『改造人間キララちゃん』

鷹橋(たかはし)義歌(ぎが)

⚫︎奥浩哉氏講評

背景がしっかり描かれていて読みやすかったです。メカのデザインにも面白さがあります。ただ、物語の展開やキャラクターの登場が少し唐突に感じられました。特にメイドが登場する場面は説明が少なく、「この人は何者なんだろう」と戸惑ってしまった部分があります。メイドがここに来るまでの経緯や状況がもう少し示されていると、読者も自然に物語へ入り込めると思います。

 

奨励賞 賞金5万円

『あの人がくれた父からの手紙』

永伊ゆう 25歳

⚫︎奥浩哉氏講評

絵はプロレベルだと思いました。シャープで完成度の高い絵柄が印象的で、しっかり描けていると思います。ただ、「手紙を届ける」というモチーフについては、そこまで新鮮味は感じませんでした。とはいえ、アイデアの広げ方次第だと思います。作品ならではの切り口や発想が加わると、さらに魅力的な作品になるのではないでしょうか。

 

編集長総評

今回大賞は出なかったものの笛木鹿さん「コミックイズペーパー!」が審査員賞となりました。主人公の女子高生に冒頭から絵の存在感がありましたし、ワンアイデアが光った作品でした。特別賞として追野由宇さん「南極の日」が編集長賞となりました。静かな筆致ながら作品世界の奥行きや作家のポテンシャルを強く感じ、これからが楽しみです。 今回の審査にあたって奥浩哉さんが特にエンタテインメントという視点を大切にされていましたが、ハリウッド映画を観倒す、自分の描きたいものがはっきりしないのは観倒しが足りないからだ、と仰っていたのが印象的でした。活躍中の漫画家さんには小さいころTVアニメをカセットテープに録音しまくってセリフを諳んじるまで聴いたとか、学生のころ図書室の虫だったといった話をよく聞きますし、露文豪トルストイは「戦争と平和」を書く前、数年間にわたって仏文豪デュマの小説だけを読み続けたそうです。ある一定期間、小説でも映画でもアニメでも「物語」を集中的に吸収した時期がある。これは自分の中に物語に対する「物差し」を作るということではないかと思います。物語以外のエンタメや娯楽、SNS…私たちは日々さまざまに時間を使っていますが、ある時期どっぷりと物語に浸かる時間を今は特に意識しないと作れないのではないか、必要なのではないかと特に新人作家さんに感じているところがあります。作品作りは世のトレンドではなく、まず作者が真剣に考え、問うていることを出発点にして頂きたいと思っていますが、「物差し」を持つまで観倒した(吸収し倒した)上で、描きたいものとして生まれるもの、残るものもあるのではないでしょうか。もし作品作りに迷っていたら参考にして頂けたらと思います。スペリオールのキャッチフレーズ「価値観ゆさぶるオモシロさ!」の鍵もそこにあるかもしれません。本誌編集部は作家と丁寧に付き合い、デビューを後押ししたい編集者が一番いる編集部だと思います。第4回も沢山のご応募をお待ちしております。(寺澤)

 


>>第3回 スペリオール 新人作家 大賞 審査後インタビュー 奥浩哉氏