ビッグコミック
2019.02.11
祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第18回】第18巻「白い巨人」
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「でも、単行本180冊以上出てるんでしょ? 今から追いつけるかな......?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご心配は無用です!!
『ゴルゴ13』は、1巻からでも、100巻からでも、150巻からでも、どの巻、どのお話を読んでも楽しめる読切方式! どこから読み始めても問題ありません!
というわけで、本企画では、『ゴルゴ13』の名エピーソード、名ゼリフを毎週1巻ずつご紹介! 面白そう!と思われた方は、ぜひコミックスを手にとっていただきたいと思います!
第18回目の「ここがすごい!」は、第18巻より、ゴルゴが、インディオの少年に《神様》と間違えられてしまう名エピソード「白い巨人(ヒガンテ・ブランコ)」をお送りいたします!
SPコミックス『ゴルゴ13』(18)白い巨人(ヒガンテ・ブランコ)(試し読みもできます!)
かつては、マヤやアステカなど高い文化を誇り、栄えた中南米の地。
しかし、15世紀スペイン人の侵攻以降、度重なる略奪と虐殺によってあらゆるものを奪われた先住民インディオ。彼らに残されたものは、《貧困》だけでした。
空に虹のかかったある日、1人の旅人がグアテマラ共和国の中部サカパ州を訪れます。
インディオの少年ピッカロは、村を襲撃する悪党どもから、自分たちを守ってほしいと、モアイのような神像に祈っていました。
すると......。
ピッカロの前に虹とともに現れた現れた馬上の男。
ソンブレロをかぶり、ポンチョに夜明けの風をはらませながら現れた彼は......。
そう。ゴルゴ13その人です。
驚くピッカロ少年。
「そ、そっくりだ!!」
馬上のその男の面構えは......彼らの伝説に残る神様「白い巨人(ヒガンテ・ブランコ)」の石像に......似ているというのです。
確かに、そ、そっくりです。
ピッカロ少年は、ゴルゴを「神様」であると勘違いしてしまいます。
「.........」
困惑したかのような無言ゴルゴ。
ゴルゴが子どもに懐かれ、キラキラした目で憧れられるエピソードは傑作揃いです!
どうやら、ゴルゴを呼んだのは少年の父・ペドロのようです。
しかし......
ゴメスら「C・G社」は、農民や先住民を酷使・虐待しており、少年の父ゴメスは、それに反抗する反乱武装集団の一員だったのですが、C・G社に捕まり、ゴルゴの到着前に殺されてしまったのです。
助っ人が到着したことを察知したゴメスらは、先手を打って、助っ人の寝込みを襲う作戦を立てます。
少年の若い母親といい仲になるゴルゴ。しかし、母親の動きが不自然です......。
敵方と通じていた母親......「裏切り者には死」が原則ですが......ゴルゴは息子の前で母親を殺すのか......!?
そして......敵襲! 崖上に人影が......ゴルゴの寝首をかこうとやってきた、ゴメス一味に違いありません。
「おいら とうさんのかたきを うちたいんだ!! お願いだ!! 神様!!」
ゴルゴと一緒に、父の仇を討ちたいというピッカロ。
純真な少年の願いに一瞬、困惑するゴルゴですが、針金を使ったトラップ作りを命じます。
来た!
その敵のシルエット。まるで西部劇のようです。
少年の仕掛けたトラップに引っかかる悪党たち......
ゴルゴは、ピッカロ少年との共同戦線で見事に悪党たちを退散させます。
たった1人で手下たちを撃退した男のあまりの強さに、その助っ人の名前を確認するゴメス。
「ゴ、ゴルゴ13!?」
戦慄が走ります。
が、時はすでに遅し......
振り向けば、そこにはゴルゴ13が......!
馬の高い帰巣本能を利用して、ターゲットののアジトを突き止めたのです。
少年を救い、ゴルゴは去ったあと、インディオの少年・ピッカロは再び石の神像の前に佇みます。
少年の中で、ゴルゴは「伝説」になったのかもしれません。
ちなみに「絶海の孤島イースター島の《モアイ》に似た石像が、なぜ中南米グアテマラにあるのか?」という意見があるかもしれませんが、実は......今回の舞台となったグアテマラでも、1950年代にモアイに似た巨大な人頭の石像が見つかったことがあるそうですよ。ゴルゴに似ているかどうか気になる方は「グアテマラ 巨石人頭」や「Guatemala gigantic stone head」でググってみてはいかがでしょうか。
【今回のプロ&ダンディーな名言】
「............仕事にはいった以上 依頼者以外の者の話を聞く気はない......車をとめてくれ。」
(第18巻「動作(アクション)24分の4」より)
パターソンの街を牛耳るマフィア・ペントナが、ニューヨーク・ファミリーに拷問の末、殺されてしまいます。しかし、その死に顔は笑みを浮かべていました。
その笑みを不気味に思ったニューヨーク・ファミリーのドンは、ペントナの行動を調査。
死の直前、彼が「デューク東郷」という人物と接触していることを突き止めます。
そう。これから死ぬかもしれないと思ったペントナは、ゴルゴに相手の殺害を依頼していたのです。だからこそ、死ぬ時に笑みを浮かべたのでした。
ゴルゴに狙われていることを知ったドンは、暗殺者を呼び寄せ、自らは超強力な防弾ガラスを設置して、ゴルゴの襲撃に備えます。
死んだペントナの妻が、あまりに危険な状況に、ゴルゴに依頼の取り消しを求めますが、もちろん、ゴルゴは一度仕事に入った以上、依頼人との約束を守ります。
ゴルゴは、狙撃不可能とされる超強力な効果ガラスを、ある特殊な方法で貫通。見事にニューヨーク・ファミリーのボスの狙撃に成功、死んだペントナの依頼を完遂したのです。
一度受けた依頼は、なにがあってもやり遂げる。まさにプロの鑑(かがみ)ですね。
(文・山科清春)
【初出:コミスン 2019.02.11】
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