ビッグコミック
2018.07.17
祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第10回】第10巻「ラ・カルナバル」
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往年のファンにはお馴染みとなっているゴルゴのカッコよさを、実はまだ読んだことがない......という方に向けて、名エピソード・名ゼリフを毎週1冊ずつ単行本からご紹介する本企画も、第10回目となりました!
50周年をきっかけにして、年齢も性別も関係なく人々を魅了する『ゴルゴ13』の面白さに、ぜひ触れてみてください! 第10回目の「ここがすごい!」ポイントは、ゴルゴのダンディズムとプロの流儀がさく裂する、第10巻「ラ・カルナバル」より、一連の超大作エピソードです!
SPコミックス『ゴルゴ13』(10)ラ・カルナバル (試し読みもできます!)
『ゴルゴ13』は、各巻に収録されているエピソードが、基本的には1話完結のエピソードとして描かれており、200巻近いコミックスも、どこから読んでも楽しめるのが特徴です。そんな中、今回ご紹介する第10巻は、収録されている全6エピソードのうち、5つのエピソードが連なって描かれる骨太な物語が楽しめます!
エピソード「アラスカ工作員」にて、敵の暗殺者・隼のイエスと吹雪のアラスカという極地で、一騎打ちすることになるゴルゴ。基地に篭るゴルゴに対し、シベリアで育った隼のイエスは重油パイプを壊し、外へあぶり出す作戦に出ます。防寒服のため動きが鈍るゴルゴでしたが、一瞬の油断をついて見事狙撃に成功。
隼のイエスの持っていた通信機を傍受したゴルゴは、敵勢力が彼の来ることを知っていたことに疑問を持ちます。そして次のエピソード「鎮魂歌(レクイエム)に牙を」にて、依頼をしてきたCIAに二重工作員がいるのでは? と仮定。
まさしくゴルゴの読み通り、CIAにはKGBの二重工作員が! その後、ハイジャックの危機を乗り越え、モスクワの地で二重工作員に成りすまし、脱出をはかろうとします。
しかしKGBに囚われてしまうも、その正体を知ったKGBからご馳走をふるまわれる急展開。二重工作員が実はさらなる組織と手を組んでおり、その報復から身を守るべく、美女と一緒にリオ・デジャネイロへ飛び立つことに。目まぐるしく舞台と敵味方が入り乱れ、読者も一体どうなるのかと、グイグイと引き込まれていきます!
KGBがただ身を守るためにモスクワから脱出させたわけではない、とゴルゴは気付いており、行きついたロンドンでテレビ会談をすることになったのは、KGBをはじめCIA、イギリスのMI6、フランス情報部、そして日本内閣秘密調査室の5名。この五か国から提示された今回の連作エピソードの真のターゲットは、ナチスの残党であるワルター・フォン・オーベルト! 毒ガスミサイルの魔の手から世界を救うべく、ゴルゴは依頼を引き受けることになるのです。一気に壮大なスケールになりました!
アマゾンの奥地にあるミサイル発射基地。そこに翻るハーケン・クロイツ――。世界各地をめぐり、ナチス残党にたった1人で挑んでいくゴルゴの戦いの行方は、1本の映画のような重厚な結末を迎えます。そして、この世界にゴルゴ13という男がいる意味を我々は知ることに......! 初めて『ゴルゴ13』を読むという方にもオススメのエピソードを、ぜひコミックスでお楽しみください!
【今回のプロ&ダンディーな名言】
今回ご紹介する名言は、エピソードの終盤「ナチス鉤十字章(ハーケン・クロイツ)は錆びず」にて、大ボス・オーベルトを追い詰めた際のひと言。
「気の遠くなるような大アマゾンだ.........ひとりの人間が行動するには、たいして逃げかくれすることも、なかったよ......」
怪物・大アリクイと恐れられるオーベルトもビビる、ゴルゴの圧倒的戦闘力。アマゾンの地では取り逃してしまうも、サンバのカーニバルが行われているリオの地で再び相見えることに。ゴルゴに狙われたら、アラスカの極寒の地であろうが、大自然のアマゾンに潜んでもこうして追い詰められるので、絶対に狙われないようにしましょうね!
次回は第11巻「そして死が残った」より、お届けします!
(文・加藤真大)
【初出:コミスン 2018.07.17】
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