ビッグコミック
2018.07.02
祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第8回】第8巻「マニトバ」
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名エピソード・名ゼリフを、毎週1冊ずつ単行本を読んでご紹介。50周年をきっかけにして、年齢も性別も関係なく人々を魅了する『ゴルゴ13』の面白さに、触れてみてくださいね! 第8回目の「ここがすごい!」ポイントは、ゴルゴのダンディズムとプロの流儀がさく裂する、第8巻「マニトバ」より、このエピソードです!
SPコミックス『ゴルゴ13』(8)マニトバ (試し読みもできます!)
今回紹介するのは、表題作「マニトバ」です。舞台はカナダ・バンクーバー。さて、ゴルゴといえば、彼の後ろに立ってはいけないということは、日本の常識としてお馴染みですよね。ましてや命を狙おうなんてもってのほか! そんなことをしたらどうなるか......。
こうなります。ただ、こちらのカナダ人の女性はゴルゴを狙ったわけではなく、とある偶然(この理由も非常にユニーク)でゴルゴにぶっ飛ばされてしまったのですが、ゴルゴの手際のよさに、地元警察はR・C・M・P(カナダ王室騎馬警察隊)へ照会をすることに。
さて、殺し屋であるゴルゴは、女から依頼の説明を受けています。現在はソ連も崩壊して久しいので、ちょっと説明が必要ですが、ゴルゴが言う「スメルシュ(スメルシ)」とは、第2次世界大戦中に作られたソ連の最高指導者・スターリン直属の諜報部隊のこと。女もCIA(米中央情報員)への寝返りを恐れているというように、ソ連とアメリカの敵対関係の狭間の任務となるわけですね。
女性をぶっ飛ばした件からめぐりめぐって、R・C・M・Pの公安諜報部に呼び出されたゴルゴ。その場で頼まれた依頼は、さきほどのスメルシュからの依頼と同じターゲット!(こちらはターゲットが身を隠していたオーケストラから、公安諜報部へ調査の依頼があったもの)
今回のターゲット2人が逃げている場所こそが、タイトルにもなっている「マニトバ」なんですね。
このダブリ依頼はゴルゴ的にも変わったケースということで、報酬は要らないと告げてマニトバの地へと向かいます。このマニトバの地で、ゴルゴはターゲットの2人の男女を追いかけていくことに!
マニトバで描かれる男女のストーリーは、1本の映画を観ているかのような重厚さ。ソ連・アメリカ・カナダ3国の狭間で、ゴルゴはどのように任務を果たすのか――! アクションあり、濃厚な人間模様ありのエピソードを、ぜひコミックでお楽しみください。
【今回のプロ&ダンディーな名言】
今回は、同じく「マニトバ」よりこのセリフ。
「ボルシチ(ロシアスープ)を食べるのは、夜にきめている...............」
まだ子どもたちが路地で遊んでいるような時間に、依頼者から送られたキーで部屋に入ったゴルゴ。裸の女が待っていても、こんな洒落た台詞で去っていくダンディーさがたまりませんね!
次回は第9巻「ラオスのけし」より、お届けします!
(文・加藤真大)
【初出:コミスン 2018.07.02】
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