トップ  >  祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第4回】第4巻「査察シースルー」 ( 2018/06/04 )
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2018.06.04

祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第4回】第4巻「査察シースルー」

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今年2018年は、さいとう・たかを先生の名作『ゴルゴ13』連載開始50周年のアニバーサリーイヤーです!
往年のファンにとってはお馴染みかもしれないゴルゴのカッコよさ。しかし、若い世代にとっては、名作だとは知っていても、巻数も多いし実は読んだことがない......という方も多いはず! 50周年をきっかけに、年齢も性別も関係なく人々を魅了する『ゴルゴ13』の魅力や、名エピソード・名ゼリフを、毎週1冊ずつ単行本を読んで紹介していく本企画。



第4回目の「ここがすごい!」ポイントは、ゴルゴのダンディズムとプロの流儀がさく裂する、第4巻「査察シースルー」より、このエピソードです! 





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SPコミックス『ゴルゴ13』(4)査察シースルー(試し読みもできます!)






ところで、200巻近くコミックスが出ている『ゴルゴ13』。さすがにそれだけの巻数が出ていると、今から読むには多すぎる......と思われている方も多いのではないでしょうか? 実は『ゴルゴ13』は、各巻に収録されているエピソードが基本的に1話完結なので、バラバラに読んでも楽しめます。

「えいや!」と手に取った巻から読んでもよし、この企画の記事で「カッコいいな!」と思ったエピソードから読んでもよし! というわけで、今回ご紹介するのは、第4巻に収録されている「魔笛のシュツカ」です。


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舞台は楽聖・モーツァルト出生の地である、オーストリアのザルツブルグ。モーツァルトは、彼が創り上げた音楽もさることながら、現在はゲームのキャラクターになったりして、さまざまな形でおなじみですよね。


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さりげなく会話に出てくるカラヤンの名前。クラシック好きならずともご存知でしょう。音楽史に名を残すオーストリアの名指揮者、ヘルベルト・フォン・カラヤンは平成の世を迎えた1989年に亡くなっていますが、このエピソードが描かれた1970年には、現役バリバリの指揮者だったわけです。


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さて、物語に登場するは、第2次大戦中ナチス・ドイツの急降下爆撃機と同じあだ名で呼ばれていた暗殺者・シュツカ。彼は、娘のパミーナの恋人がユダヤ人であることを理由に、別れを強要します。失意に墜ちたパミーナが出会ったのが、ゴルゴなのです! 
ベッド上でパミーナの名を聞き、「魔笛」のヒロインの名だと気づくゴルゴ。


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そして、パミーナのもとから立ち去ったゴルゴが、対峙するのは――


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その父、シュッカ!
同じターゲットを狙うもの同士、相対するゴルゴとシュツカ。その後、シュツカはターゲットを狙うも、子どもがいることで引き金を引けない。しかし、ゴルゴは「おれの目には標的だけしか写っていない」とためらいなく暗殺を遂行します。


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その翌日の早朝。再び対峙する両者。そして鳴り響く一発の銃声――。

いつの時代も、変わることなく人々を惹きつけるものがあり、そして、確実に時とともに流れていくものもある――。50年にわたって愛されてきた『ゴルゴ13』を読みながら、変わっていくもの、変わらないものに想いをはせてみるのも、いいものですね。




【今回のプロ&ダンディーな名言】



今回は、ゴルゴが神父として登場する「WHO!?」より、このセリフ。

「ミスター・パーカーは、おれのことをただのボディーガード屋だと思っている.........。」


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これまでゴルゴのプロの仕事を見てきた方なら、そのセリフとラストの意味がわかるはず......。ゴルゴは、暗殺者としてどんな状況でも任務を忠実に遂行します。「シュツカの魔笛」もそうですが、ラストの余韻が心に静かに、深く残るエピソードが収録された第4巻。ぜひコミックスでその活躍を見届けてください!



次回は第5巻「帰ってきた標的」より、お届けします!




(文・加藤真大)




【初出:コミスン 2018.06.04】

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