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【連載コラム】『テツぼん』原作者、高橋遠州先生のテツオタ話。第12回は〝とどろき〟についてのお話!!

ビッグオリジナル

2015.03.09

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第12回【轟、驫木、等々力、動木】






 鉄男の地元は轟市という地方都市です。ここは世界的自動車メーカーであるトドロキ自動車の企業城下町で、一ツ橋電鉄という鉄道が走っていて轟(とどろき)駅がその玄関駅となります......と言っても、もちろんこれらは全てフィクションな訳ですが、轟(とどろき)駅というのは何か実際にありそうな駅名のような感じがしませんか。結論から言いますと轟駅や〝とどろき〟駅はありますが、轟(とどろき)駅というのはありません。どういうことなのか一つずつ説明していきましょう。


 まずは〝とどろき〟駅ですが、これは要するに〝とどろき〟とは読むけれど〝轟〟という字は使わない駅のことです。東京の世田谷に等々力渓谷というところがありまして都心とは思えないほどの豊かな自然が保たれています。この等々力渓谷への最寄り駅が東急大井町線の等々力(とどろき)駅です。この駅の下を多摩川へとそそぐ渓流が流れていて渓谷を形作っているという訳です。難読とはいえ知名度のある地名なのでかなりの人が読めるみたいですが、知らないとなかなか等々力を〝とどろき〟とは読めないでしょうね。


 難読ということで言えば青森県の津軽と秋田を結ぶJR五能線の驫木駅はその更に上を行きます。〝驫木〟という字を見てすぐに〝とどろき〟と読める人はまずいないでしょう。そもそもほとんどの人は〝驫〟という字さえ見たことはないと思います。驫木というのはこの駅のある地名ですが、どうもこの地名以外には〝驫〟という字は使われていないようですし。もっともこの驫木駅は単なる難読駅ではなくて、鉄道マニアにとってはぜひ一度は訪れてみたい魅力的な駅でもあります。五能線は日本海に沿って海岸ギリギリに走ることで有名ですが、中でもこの驫木駅は海に近いことで知られています。写真を見てもらえればわかりますが、線路のすぐ先はもう荒波打ち寄せる日本海です。ちょっと海が荒れたらたちまちホームにまで波しぶきが飛んできそうなくらい目の前に海があります。『テツぼん』青森篇でも鉄男たちがこの駅に降りてしみじみと海を眺めていましたよね。私も鉄男みたいにこの駅に降りてしみじみと海を眺めてみたいとずっと思っていたのですが、何しろ五能線は便数が少ないのでなかなか下車する機会がなくて、前回の取材で初めてこの駅に降り立つことができました。





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JR五能線の驫木駅







 それともう一つ、〝動木〟と書いて〝とどろき〟と読む駅もありました。ありました、と過去形なのは現在は存在しないからです。和歌山市の南、JR紀勢本線の海南駅からかつて野上電気鉄道というローカル私鉄が出ていましたが、二十年ほど前に廃線になっています。動木駅もその時に廃駅になってしまっています。


 最後に〝とどろき〟駅ではない轟駅について説明しておきます。これは福井県にあるえちぜん鉄道というローカル私鉄の一駅なんですが、轟駅は普通に読めば〝とどろき〟駅なんですが、この駅の場合はこれで〝どめき〟と読みます。これまた知らなければ読めない難読駅名ということになります。


 ともかくそんなこんなで轟と書いて〝とどろき〟と読む駅は実際には存在しない訳でして、『テツぼん』の中だけのバーチャル駅ということになります。ちなみにこの一ツ橋電鉄・轟駅にも一応、駅スタンプがあることをご存じでしょうか。単行本をお持ちの方はカバーを外して表紙を見てください。そこに自動車の街らしくハンドルを模した轟駅の駅スタンプが押されています。ちなみに原案をデザインしたのは私です(ちょっと自慢)。私は駅スタンプを押すのが好きでして、一つくらい自分のデザインした駅スタンプがあればいいのになとずっと思ってましたが、思わぬ形で夢が実現したという次第であります。





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(執筆:高橋遠州 担当:ビッグコミックオリジナル編集部)

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【初出:コミスン 2015.03.09】

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