トップ  >  ジュンスカ宮田和弥さん「マンガも音楽も、以前のお客さんが戻ってきたり、親から子へ受け継がれていくことってありますよね」◆屋根の上のマンガ読み ( 2014/08/25 )
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2014.08.25

ジュンスカ宮田和弥さん「マンガも音楽も、以前のお客さんが戻ってきたり、親から子へ受け継がれていくことってありますよね」◆屋根の上のマンガ読み

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第58回 宮田和弥
《プロフィール》1966年生まれ、ミュージシャン。JUN SKY WALKER(S)のメンバーとして知られる。この夏に、4年ぶりのソロアルバム「Naughty」をリリース。9月21日より、渋谷・梅田・名古屋でソロツアー開催。








「再読すると、自分のルーツを探る旅の時間にもなりますね」






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  僕にとって、マンガには人生の哲学があるんです。たとえば[釣りキチ三平]だったら「釣りっていうのは竿じゃなくて腕で釣るもんだ」っていう一平じいさんのフレーズがあったりする。音楽でも、もちろん高いギターはいい音するんですけど、やっぱりその前に技術だったり熱意だったりが大事ですよね。そういう哲学を教えてくれたと思ってます。[釣りキチ三平]は山奥を探検するような冒険的な要素もあるし、一平じいさんに心構えを教わったり、毛バリをつくる職人に会いに行って学ぶシーンも印象的です。
 ちょうど僕たちが子供のころスーパーカーブームがあって、ロータス・ヨーロッパとかデ・トマソ・パンテーラに憧れたり、ポルシェやフェラーリはどこの国だとか、[サーキットの狼]で覚えたんです。それで最終的に大人になってメジャーデビューして有名になってから、コルベットを買うんですけど。でも、ただの車の話というよりも、いろんな世界を知ったりとか、主人公の風吹裕矢の人間くささとか、車というものを通して哲学や美学を伝えてくれた作品だと思ってます。
 [俺の空]はちょっとエッチな感じなんですよね。高校を去るときに先生と最初に...とか、僕もこういう初体験をしたいなと思ったりして。まあ結局そういうことにはならなかったんですけど(笑)。主人公の一平は、すごい金持ちの家に生まれたんだけど、妾の子というコンプレックスも背負いながら、人に優しく生きていく。面白いのは政財界の大物の孫娘を嫁にとるっていうときに、みんなが争っていろいろ高い物をプレゼントするんですよ。だけど一平は剣道の大会で優勝して、自分の汗をプレゼントすることで彼女の心をつかむわけです。なんかそういう、ちゃんと勉強もして人望もあって結果も出して完璧なんだけど、でも大切なのは心だろ、お金では買えないものだろ、と言える一平の生き様が、その後の僕がロックンロールミュージックをやるにあたって影響を与えてますね。武道館のコンサートなんて必要ないんだよ、音楽はライブハウスだよって口だけで言うんじゃなくて、武道館で一度でもやったからこそ「やっぱりライブハウスが最高だ」って言えるし、そのほうがかっこいいと思った。マンガの力もあって、その夢もかなえられたり、そんなセリフも当時のインタビューで言えたりしたのかなと。




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[俺の空] ©本宮ひろ志/集英社







再発見の可能性






 最近の面白いマンガは息子に聞いて、[暗殺教室]を読んだりしてます。かなりぶっ飛んでますけど、逆説的というか、「殺す」という極端なものを持ってきて愛を説くみたいな、今の時代ならではの表現で面白いなと思います。ストレートなようで変化球のような説き方ですよね。
 大人になって、30代後半か40歳すぎてから[ブッダ]を読んだんですけど、昔はよく理解できなかったりピンとこなかったりした作品でも、年を取ってから読むとまた見え方も違うっていうのはありますね。自分が親になってみてわかる部分もあって。子供のころ読んでたマンガでも、電子書籍なんかで新たに読み直してみると、俺ってこういうのに影響されて生きてきたんだなって、自分のルーツを探る旅の時間にもなりますよね。
 JUN SKY WALKER(S)を再結成したとき、解散する前のお客さんがたくさん戻ってきてくれたんです。最近はライブハウス行かなくなっていたのに、また行き始めたんです、とか。いま高校生の子供に当時のジュンスカを聴かせるとハマるみたいなこともあるらしくて、親子でライブに来てくれる人もいて。マンガもそういうことありますよね。僕がこうして久しぶりに電子書籍で読み直したように、以前の読者が戻ってきたり、受け継がれていくことってあると思います。音楽もマンガも、なくてはならない心の栄養として、人の支えになっているんですよね。





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《宮田和弥さんのおすすめ作品》

 [釣りキチ三平]矢口高雄

 [サーキットの狼]池沢さとし

 [俺の空 本宮ひろ志傑作選]本宮ひろ志

 [ブッダ]手塚治虫

 [暗殺教室]松井優征





《こんな作品もおすすめしていました!》
 [バクマン。]大場つぐみ、小畑健
 [進撃の巨人]諫山創
 [ONE PIECE]尾田栄一郎
 [トリコ]島袋光年
 [ブラック・ジャック]手塚治虫




■次回予告:第59回 渡辺いっけい(俳優)

[がんばれ元気]の衝撃、萩尾望都・大島弓子作品との出会い...

小学生のころ、マンガのセリフを音読して

友達に聞かせるのが好きだったという渡辺いっけいさんは、

マンガ読みから「演じる」「見せる」という芝居の世界へ...!

<9/10(水)更新予定>






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(取材構成:ビッグコミック編集部、根本和佳 撮影:松原康之)

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【初出:コミスン 2014.08.25】

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