トップ  >  【連載インタビュー】プロ野球選手・里崎智也さん/新連載のスタートから読めるのが雑誌の魅力!! でも野球のマンガはあんまり読まない!? その理由とは......!?◇屋根の上のマンガ読み ( 2014/02/25 )
ビッグコミック

2014.02.25

【連載インタビュー】プロ野球選手・里崎智也さん/新連載のスタートから読めるのが雑誌の魅力!! でも野球のマンガはあんまり読まない!? その理由とは......!?◇屋根の上のマンガ読み

ビッグコミック

ビッグコミック連載の人気コラム「屋根の上のマンガ読み」をコミスンでもお届け!






yanenoueno1-920x719.jpg


第46回 里崎智也
《プロフィール》1976年生まれ、プロ野球選手。千葉ロッテマリーンズの生え抜き捕手として、チームの強化や日本一に大きく貢献した。WBC日本代表でも活躍した強打者である。






「野球以外の世界を、マンガから学んでいるんです」






 小学校2年生のときから野球やってますけど、一番最初に買った野球マンガは[名門!第三野球部]です。タイトルが不思議で読み始めました。名門野球部の落ちこぼれ(三軍)が結束して、のし上がっていくストーリーなんですけど、ひとりのヒーローだけが活躍するんじゃなくて、チームの結束を描いてるところが好きですね。
 水島新司さんの作品だと、僕は[おはようKジロー]が好きなんです。高校内の各スポーツ部からトップ選手を引き抜いてくるという、どういう展開になるかわからないストーリーが面白かったですね。でも、まわりで誰も読んでないから話ができないんですよ(笑)。[ドカベン]とか[大甲子園]は読んだことある人いますけど、[おはようKジロー]の面白さを知って欲しいですね。
 どちらの作品も、主人公以外のキャラクターに魅力があるんです。主人公だけが活躍するマンガって、そいつの背景しか見えないじゃないですか。でも、チームのみんなを描くものだと、いろいろ枝分かれして、他のキャラクターの背景を掘り下げていくことで厚みが出るんですよ。個人的には、主人公を裏切りそうで裏切らないタイプのキャラクターが好きですね。なんだかんだ言って最終的に協力してくれるような。





20140225_yane1.jpg

講談社漫画文庫[名門! 第三野球部](著・むつ利之)第1集P.155より







新連載が楽しみ






 今はほとんど雑誌で読んでいるんですけど、新連載をスタートした瞬間から読めるのが、一番の楽しみじゃないですかね。遠征先やキャンプ地でマンガ雑誌を買って、ホテルで読むことが多いです。野球のことを何も考えず、まるっきり頭をからっぽにすることも僕らには必要だと思うんですよね。『マガジン』と『サンデー』と『ゴラク』を毎週買ってるんですが、地域によって発売日が違うのでので、遠征中に何回も書店に行ってますよ。
 マンガって、ときどきいいセリフが出てきたりしますよね。それを参考にして、イベントやインタビューで使わせてもらったりしてます。まるまる使ったら良くないですけど、うまく、しれっと(笑)。[AKB49~恋愛禁止条例~]には、いいこと書いてありますよ。秋元さんのセリフとか。
 ジャンプ世代の続編ものって多いですけど、[銀牙-流れ星 銀-]のシリーズは、3作目の[銀牙伝説WEEDオリオン]まで続いてるんですよ。子供のころからずっと読んでるんで、歴史の流れや背景を感じられて面白いですね。
 料理ものもよく読みます。食べるのは好きですし、自分で作るときの参考にもなるし。もともと魚が好きなんで、[江戸前の旬]がお気に入りです。各地の食べ物を紹介してくれるのもいいですね。パ・リーグだと北海道から福岡まで移動ばっかりですけど、遠征先でしか食べられないものもありますし、知っているものや食べたことのあるものが作品に出てくるとうれしくなります。





他の世界を勉強したい






 実は、僕が読んできたもののなかでは、野球のマンガって比較的少ないんです。バスケットとかボクシングとか、野球以外のマンガを読むことのほうが多いですね。競馬とか、競艇とか。なんでかというと、他のことを勉強したいからなんです。漫画家さんも、その世界を勉強したり取材したりして、自分で掘り下げて描いてるわけじゃないですか。だから中途半端なことは絶対描いていないと思うんですよ。たとえば競馬や競艇のマンガでも、業界にはどんなルールがあったり、どんな問題が起きたり、どんなふうにして成り立っているのかという知識を得られるじゃないですか。選手を育成する学校では何が行われていて、どういう苦悩があるとか。もちろん100%はわかんないですけど、普通に人と話ができる程度には知識が入ると思うんですよね。歴史を覚えるにしても、マンガだと頭の中で絵が動くので、イメージしやすいじゃないですか。
 マンガって低く見られがちですけど、すごくいい言葉を書いてる人もいるし、想像力を養うための土台にもなると思うんですね。いろんな世界を見て、知らないことを勉強して、刺激を受けたくて僕は読んでます。そういえば野球でも、ツーシームの握り方はマンガから知りましたよ(笑)。





20140225_yane2.jpg





《里崎智也さんのおすすめ作品》

[名門!第三野球部]むつ利之

[おはようKジロー]水島新司

[銀牙伝説WEEDオリオン]高橋よしひろ

[AKB49~恋愛禁止条例~]宮島礼吏、元麻布ファクトリー、高橋ヒサシ

[江戸前の旬]九十九森、さとう輝





《こんな作品もおすすめしていました!》
医龍-Team Medical Dragon-乃木坂太郎永井明
[HELLO!!]宮田大輔
[花の慶次]原哲夫
B・B石渡治
やったろうじゃん!!原秀則






■次回予告:第47回 杉井ギサブロー(アニメーション監督)

『タッチ』『ナイン』『ルパン三世』など、数々のアニメ作品を手がけてきた杉井ギサブローさん。
あだち充作品の底力を、アニメ監督としての目線で語る!

<3/10(月)更新予定>






【「屋根の上のマンガ読み」バックナンバーはこちら!】





(取材構成:ビッグコミック編集部・根本和佳(DAN)、撮影:松原康之)



【初出:コミスン 2014.02.25】

ビッグコミック,屋根の上のマンガ読み,水島新司,涙目