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週刊スピリッツ

2020.04.06

第344回スピリッツ賞 受賞作発表!

週刊スピリッツ

 

第344回スピリッツ賞 受賞作発表!

第344回スピリッツ賞に多数のご応募ありがとうございました。受賞作1作を発表いたします。

【奨励賞】賞金5万円
『五月雨』井山由紀夫(山口都県・31歳)

勉強・スポーツ・恋愛、すべてに関して双子の兄・真一への劣等感に苛まれる真司。そして、想いを寄せていた三山さんまでも真一に捕られてしまう。絶望感に打ちひしがれる真司は、「おまえさえいなければ、おまえさえいなければ…」と頭の中で反芻し…

編集部より
兄弟に対して感じる劣等感を、丁寧に画で表現しようとする姿勢に好感を持ちました。また、鬼気迫る画で見せ場を描いており、ストーリー上の抑揚が付き、最後まで飽きることなく読めました。ただ、技術的にはまだまだ発展途上です。人物の描き方もそうですが、見せ方などにも改善の余地があります。正面からだけではなく、様々な角度から人物・風景を描くなど、読者がその世界観に没入できるような描き方を意識してみてください。次回作も楽しみにしています。

担当者より
今回、受賞作1本という厳しい結果となりました。ただし唯一の受賞作『五月雨』はスピリッツ編集部をざわつかせた、奨励賞ながらも(プチ)話題作と言えます。大きく評価が分かれたこの作品ですが、高評価の理由は「リアルな感情が描けている」ことです。双子の兄弟を中心としたストーリーは、全編を通して重くヒリついています。「あいつ(双子の片割れ)がいなければ」と思いながら生きる主人公は、みじめでみっともなく悲しい人間です。しかし彼の劣等感は読む者を共感させます。ハッとさせられる場面、セリフ、画がいくつもありました。「どうしてみんな僕から離れていくの?」のセリフは圧巻でした。またラスト5pの回想には思わず涙が流れました。ここの構成、素晴らしいと思います。賛否の否の意見は「感情はビビットだが表現不足」「好きな人は好き、をいかに破るか」「怖い、救いがない」など、この作品はエンターテインメントできているかという観点のものでした。

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