トップ  >  【絶賛放送中】祝「黄昏流星群」ドラマ化・この熟女(ひと)を見よ! 第4回「歴女・真野あさみ」【木曜22時よりフジテレビ系】#黄昏流星群 ( 2018/11/08 )
ビッグオリジナル

2018.11.08

【絶賛放送中】祝「黄昏流星群」ドラマ化・この熟女(ひと)を見よ! 第4回「歴女・真野あさみ」【木曜22時よりフジテレビ系】#黄昏流星群

ビッグオリジナル
「熟女」とは、単に肉体的に熟した妙齢の女性を意味するのではない。さまざまな人生経験によって、精神的に「熟した女性」を「熟女」と呼ぶ――!


comics_tasogare_1.jpg


多少いびつで、偏っていたり、悩みを抱えていたりしても、様々な苦労や経験を経て、厚みがあり、味わい深い豊穣な「熟」し方をした女性。
そんな熟した女性と、同じように人生の荒波を超えてきた男。人生の半ばを過ぎた40代以上の男女の恋愛を、リアリティをもって描いてきた弘兼憲史氏の名作『黄昏流星群』が、佐々木蔵之介さん、中山美穂さん・黒木瞳さん他、豪華なキャストでテレビドラマ化され、2018年10月11日よる22時よりフジテレビ系で放送開始になります。









TVドラマ『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』番組公式サイト




第4回の熟女は、『黄昏流星群』第15集「我が愛しの剣星」のヒロイン、真野あさみさんをご紹介します!


20181101_tasogare_1.jpg


あさみは、岡山県の「宮本武蔵駅」に降り立ちます。
宮本武蔵駅のある岡山県英田郡大原町は、文字通り、かの剣豪・宮本武蔵の生誕地として知られている土地。


20181101_tasogare_2.jpg
20181101_tasogare_3.jpg


あさみは、宮本武蔵の「聖地巡礼」の旅をしているんですね。
今でいう、いわゆる「歴女」。
歴史に詳しい女性ですが、このエピソードが描かれた頃2001年ごろには、もちろん「歴女」という概念はありません。「刀剣女子」なんていう言葉なんか影も形もない時代です。
もちろん、当時から歴史好きの女性は普通にたくさんいたわけですが、後に大ブームとなる「歴女」に注目し、主人公にする弘兼憲史氏の先見性を感じますね。


20181101_tasogare_4.jpg


あさみは妻子ある男性と不倫をしていましたが、離婚して再婚してくれるという約束は果たされませんでした。


20181101_tasogare_5.jpg


宮本武蔵の「聖地巡礼」の旅の途上、あさみは宮本武蔵を祀る神社の境内で足を滑らせて転倒してしまいます。


20181101_tasogare_6.jpg


意識を取り戻したあさみでしたが、気を失っている間に盗まれてしまったのか、
リュックや時計がありません。
警察に届けようと立ち上がったあさみが見たものは......。


20181101_tasogare_7.jpg


なんと、江戸時代の古い町並みでした!


20181101_tasogare_8.jpg


なんと! まさか!
タイムスリップ!?
江戸時代の寛永9年(1632年)であることがわかります。


20181101_tasogare_9.jpg


普通なら、「現代に帰りたい!」と絶望してしまいそうな状況ですが、さすがは「宮本武蔵・命!」の歴女・あさみ!
この時代、宮本武蔵が49歳で存命中であることに歓喜します。


20181101_tasogare_10.jpg


行き倒れの男を看病したあさみ。
残念ながら男は死んでしまいますが、死の間際に着物や持ち物をあさみに譲ると言い残します。
江戸時代の旅装を手に入れたあさみ。
当時の男性にしても大柄な165センチの身長ですから、男装も似合います。


20181101_tasogare_11.jpg


あさみの前に、宮本武蔵らしい男が現れます。


20181101_tasogare_12.jpg


自称・宮本武蔵に近づきますが、彼はあさみが女性であると知って襲いかかります。
『五輪書』には、女に興味がないと書いてあった武蔵。
彼は武蔵本人ではないのか。
あるいは、『五輪書』に書いてあったのが嘘なのか......いずれにせよ大ピンチです。


20181101_tasogare_13.jpg


通りすがりの僧形の人物に助けをもとめるあさみ。


20181101_tasogare_14.jpg


傘を取る僧形の男......この姿は......。


20181101_tasogare_15.jpg


この構え......二天一流!
宮本武蔵が編み出した二刀流の剣術の構えです......って、それを看破するあさみもなかなかの歴女っぷりですね。


20181101_tasogare_16.jpg


聖地巡礼するほど惚れ込んだ宮本武蔵が、眼の前にいる。
しかも、本で読んだよりも素朴で純情でいい男......武蔵を惚れ直すあさみ。


20181101_tasogare_17.jpg


あさみの「現代語」に違和感を感じる武蔵。
このあたりのディティールの描写も素晴らしいですね。
この他にも、現代人が江戸時代に行けば、当時の人々が感じるであろう違和感が描かれています。何気ないセリフや描写からも、作者の歴史に関する造詣の深さが溢れています。
ちなみに『我が愛しの剣星』は単行本1冊分の長さ。『黄昏流星群』というシリーズの一エピソードというだけでなく、単体のタイムスリップSF時代劇として見ても稀有な傑作だと思います。


20181101_tasogare_18.jpg
20181101_tasogare_19.jpg

一緒に旅をするうちに、打ち解けていく武蔵とあさみ。


20181101_tasogare_20.jpg


やがて......。


20181101_tasogare_21.PNG


二人の間には、愛が芽生えていきます。


20181101_tasogare_22.jpg


武蔵が、女を近づけなかった理由は......その身体にありました。
その秘密を知り、彼のコンプレックスを受け入れるあさみ。


20181101_tasogare_23.jpg


もっと、お互いを知りたい......しかし、愛し合う二人を引き裂く出来事が訪れます。


20181101_tasogare_24.jpg


あさみを江戸時代に送りこんだ時空のトンネルが、再び彼女の眼の前に開いたのです。
この中に入れば、再び21世紀へ、平成の時代に帰ることができる......。


20181101_tasogare_25.jpg


元の時代に戻るか、宮本武蔵と添い遂げるか......。迷うあさみ。
はたして、彼女はどういう決断をしたのか。
宮本武蔵と、歴史に記されることがなかったその妻「あさ」の物語の結末は、ぜひ本編をお読みください。





《熟女プロファイル④》



★「最強」だけれど不器用な男を愛で導いた歴女・真野あさみ 


20181101_tasogare_26.jpg


現代では、妻子ある男性と付き合い、騙されて捨てられてしまうあさみ。
不器用ですが、いつまでも悲嘆にくれているわけではありません。
宮本武蔵を心から愛するあまり、難解な『五輪書』を読み解く、筋金入りの「歴女」であるあさみは、「運命の男性」宮本武蔵を尋ねる旅に出かけ、そこで思いもよらない体験をすることになります。
あさみは、妻子ある男に騙されていた頃よりも、むしろ江戸時代に来てからの方が活動的になっていきます。まさに、水を得た魚のように。


20181101_tasogare_27.jpg


そして、あさみとの平安な日々の中で、武蔵は文筆の才能や、芸術の才能に目覚めさせていきます。
最強の武芸者だった宮本武蔵を、歴史上で知られるような「多芸多才な文人」にしたのは、あさみだったというのです。
「あさ」として、宮本武蔵と愛し合うようになった彼女を、再び運命のいたずらが襲いますが......。


20181101_tasogare_28.jpg

あさみは、愛の力で宮本武蔵だけでなく、歴史をも変えていくのです。


comics_tasogare_15.jpg

『黄昏流星群』第15集




現在放送中のテレビドラマでは、漫画版とは異なる新たな解釈によって、もう一つの『黄昏流星群』を楽しむことができるそうです。ぜひ漫画版をお読みになって、見比べてみてはいかがでしょうか!?


それでは、第5回でも魅力的な「熟女」をご紹介します! 


(文・山科清春)




【初出:コミスン 2018.11.08】

この熟女を見よ,ビッグコミックオリジナル,弘兼憲史,連載,黄昏流星群