トップ  >  カレー沢薫・輝きかけの人生コラム「薫の小部屋」第18回更新! ( 2015/08/10 )

2015.08.10

カレー沢薫・輝きかけの人生コラム「薫の小部屋」第18回更新!

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今回のテーマは「夏の薫り」です!
五感を研ぎ澄ませながら、お読みください!






◆ ◆ ◆








皆さん夏を謳歌しているだろうか。




私は春夏秋冬ひきこもりなので、照りつける太陽ではなく、部屋の臭さで夏を感じている真っ最中だ。
私の部屋は、狭い上にエアコンがない。しかも、中年女が一日篭って漫画を描いているため、とてつもなく部屋が臭くなる。しかし、実はその臭さが嫌いではない。
なので、たまに作業を止めて、高原で深呼吸するが如く、部屋の空気を胸いっぱい吸い込み「臭いな」と再確認してから作業に戻るという、夏限定の爽やかな気分転換をしている。こんな具合で私の夏はいつも終わってゆくのである。




今でこそ、このように自分の臭いを楽しむというエコでロハスな生活だが、二十代前半くらいの時は香水を使っていたし、種類もやたら持っていた。「何故か小物に凝る」というのもブスの生態のひとつだからだ。
服や化粧、アクセサリーなどにまんべんなく力を入れるのではなく、何故か一点キメ打ちなのである。おそらく「最近〇〇に凝ってるんだよね」と言いたかったのであろう。
しかし、他の部分が全く疎かになっているため、香水の匂いは日替わりなのに、毎日同じユニクロを着ているとか、顔はすっぴんで口髭も生えてるのに、耳だけリングフォルダかよ、というくらいピアスをつけていたりという、アンバランスな生き物が爆誕してしまい、もちろんモテからは遠ざかるのである。
私も両耳にやたらピアスを開けたことがあったが、穴のケアが悪かったのか、起きたら耳汁で枕がカピカピになっていたので、全部塞いだ。




このように、周りに差をつけたい系ブスは往々にして極端なオシャレをしたがるのだが、そのすべてがスタイリッシュにキマらないのである。
今では香水は全く使わないが、せめて人に「臭い」と思われたくないとは思っている。しかし、密室に篭っていればさすがに自分に臭いに気づくが、外に出ると多くの人間が自分で自分の臭いには気づかないものである。気づかせるにも、人様に「君、臭いよ」などと言うのはドラクエの主人公になれるクラスの勇者にしかできない行為だ。
よって臭い人間は永遠に自分が臭いと気づかず、臭いままという負の連鎖が起きるのである。
そういう私も気づいていないだけで、強烈なワキガかもしれない。しかし、それに気づきたいか、と言われると気づきたくない。臨終の際にでも「お前、実はワキガだよ」と告げてくれれば十分だ。
ちなみに「ワキガ」特有の臭いを出すアクポリン腺は股間にもあるらしく、股間が臭い女は「オメガ」と呼ばれるらしい。これはカッコいいので少し名乗りたい気もする。





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【初出:コミスン 2015.08.10】

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