2019.02.26
やわスピ・その他

【報告②】デジタルマンガというフィールドに「サンデー」の基地を作る――Webとアプリで展開する「サンデーうぇぶり」の戦い方

貸本マンガの時代から、月刊誌・週刊誌の時代を経て、そしてネットで読まれる現代――マンガは時代にあわせて変化を繰り返してきました。日々、新しいマンガを世に送り出している小学館の各編集部でも、様々なチャレンジが続いています。
コミスンでは、ジャーナリストのまつもとあつし氏と共に、社内外でデジタルマンガに関わる人々を訪ね、最前線ならではのダイナミズムを伺っていきます! いざ進め、マンガの未来に向かって!!

【報告②】デジタルマンガというフィールドに「サンデー」の基地を作る――Webとアプリで展開する「サンデーうぇぶり」の戦い方

アプリの総ダウンロード数は約150万、DAU(1日当たりアクセスユーザー数)約25万人、MAU(月間アクティブユーザー)約100万人(DAUとMAUはウェブ版も含めた10月末時点の集計)という数字を挙げている電子マンガアプリが「サンデーうぇぶり」です。「マンガワン」のような人気マンガアプリもある中、なぜ「サンデー」として独自アプリを展開しているのか、どんな人に支持されているのかなど「サンデーうぇぶり」を統括する大嶋一範さんに気になるポイントをじっくり伺いました。

20190225_matsumoto_1.jpg大嶋一範
「週刊少年サンデー」副編集長、「サンデーうぇぶり」統括。
入社時に「コロコロコミック」編集部に配属となり、その後、「週刊少年サンデー」
編集部に異動、『名探偵コナン』などの担当を経て現在に至る。

――前回の「やわスピ」に続き、今回は「サンデーうぇぶり」について詳しくお話しを伺っていきたいと思います。
ウェブだけで展開する「やわスピ」と異なり「サンデーうぇぶり」にはウェブ版もアプリ版もあります。コイン課金制も取り入れられていて、色々違いもあるかなと思うのですが、これはどのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

大嶋 僕は入社から2014年までコロコロコミック編集部に在籍していたのですが、その間、「クラブサンデー」「裏サンデー」「マンガワン」と、週刊少年サンデー編集部周りでデジタルシフトが急速に進んでいました。僕自身はちょうど、「裏サンデー」が編集部として独立するのと入れ替わりにサンデーに異動してきたのですが、その翌年に就任した市原編集長に「『サンデー』というブランドに沢山の新人さんが集まってきて、新作が生まれるという仕組みを、デジタル上で実現する基地を作るように」という指示を下されて「サンデーうぇぶり」が生まれました。

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「サンデーうぇぶり」Web版

したがってウェブ上に作品を揃え、それを広く読んでもらうというブラウザサイトを築くのが基本なのですが、事業(ビジネス)としてはマンガアプリ優勢の時代です。現状、アプリであれば実装が容易な、定期購読などのビジネスモデルもあるので、ベースとなるウェブサイトがあって、そこから携帯アプリが飛び立つ、といったイメージですね。

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「サンデーうぇぶり」アプリ

――「ベースを」という部分についてもう少し掘り下げたお話しが伺えればと思います。ウェブは紙の雑誌とちがって、作品単体で読まれることが多く、複数の作品や記事コンテンツなどをパッケージにしづらいという声もある中、デジタルの領域にベースを築くとはどういうことでしょうか? ウェブ上に「サンデーうぇぶり」という雑誌を作るという理解で良いですか?

大嶋 はい、大掴みではそういうことかと思います。そもそも「紙の雑誌」の本質も、あくまで構築したいのはブランドであって…、ブランドとは「お客様に信用してもらう」ということだと僕は理解しています。「サンデー」というブランドを冠しているところから世に出るものは、面白さが担保され、チームサンデー好きな人にとって好きなものを出版してくれるはずだ、という信頼感を読者さんとの間に築くことが重要なのかなと。その姿勢は紙の雑誌もデジタルも同様かなと思います。

――なるほど、「裏サンデー」がその名のとおり、「サンデー」のオルタナティブな存在を企図していたとすれば、「サンデーうぇぶり」はサンデーブランドそのものの確立をウェブ上で目指す、ということですね。

大嶋 「裏サンデー」の企図については、立ち上げられた石橋さんにまたお話しを聞いて頂くとして、実際、「裏サンデー」も成果を挙げていて、独自のブランド構築に成功していると思います。でも、今度はデジタル世代の、「サンデー」の各賞に応募してくれる新人さんや、これまでの「サンデー」が好きな読者さんが集まって、作品が世の中に飛び立つ基地が必要である、ということで「サンデーうぇぶり」を作っています。

――とはいえ、すでに社内に「マンガワン」がある中で新たなアプリを立ち上げることには様々な意見があったかと思うのですが?

大嶋 先ほども申し上げたとおり、僕は「コロコロコミック」出身なのですが、そこでは玩具やゲームの流行り廃り、ブームの波が毎号のように訪れていました。同じように総合出版社としての小学館も、コミック全盛の時代もあれば、学年別学習雑誌や、ファッション雑誌が大ブレイクした時期もあり、形を変えながら各部署が波打ってブームを起こすことで、それぞれがお互いを補完しながらここまでやってきたという面があります。

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マンガのデジタルシフトに関しては、社内では「マンガワン」がアプリビジネスの風穴を開けてくれて、僕自身も「名探偵コナン公式アプリ」という作品単体のアプリを立ち上げて運営に関わる中で、いままでの自分の感覚との違いに日々驚くのと同時に、デジタル部門が今せっかく調子が良いのだから、それを阻害しないように様々な取り組みをやったほうが良いのではと思ったんですね。長い目でみれば、時代に応じて最適化していけば良いのではないかと。
例えば「マンガワン」がチケット制で決まった時間に「回復」をするという形でサービスを提供しているので、「サンデーうぇぶり」では違う方法でやろうと。ゲームアプリのように経過時間でスタミナが回復する仕組み、そしてゲームプレイによってレベルを上げていくような面白さが、マンガを読むアプリでも取り入れられないかと考え、運営会社の方ともその実現方法を探りました。現在は15分に1ポイントずつ青いコインが回復してゆき、たくさんマンガを読むとコインの保有量が上がって行く、という仕組みになっています。たくさんマンガを読めば読むほど、無料で読める形になったわけです。

――ウェブ発なのか、新人賞からなのかといったマンガそのものの出自だけでなく、課金を始めとした仕組みの上でも多様性を持った方がよいのではと考えた、ということですね。

大嶋 そうですね。様々なマンガアプリをたくさんインストールしてくれるユーザーはさほど多くありませんから、今だけをみれば一番強いところにコンテンツも仕組みも集約した方が良いかも知れません。けれども物事には必ず流行り廃りがありますし、例えばマンガ雑誌も電話帳や辞典のように分厚くなって、様々な方向性の作品の集約が進んでしまうと、ヒット作って生まれにくいのではと思います。それよりも「俺はこういうマンガが好きだ」という具合に適度に細分化されている方が、作品を作っている方もそれぞれの色が出たり、読者/ユーザーもより作品を楽しめるのではないか、というのが今の僕の考え方でもあります。

――そんな中、「サンデーうぇぶり」の掲載作品はどのような傾向になっていますか?

大嶋 掲載作品には3つの区分けがあります。1つは「H2」や「犬夜叉」「名探偵コナン」のような「レジェンド連載」と呼んでいるものです。知名度も高く、多くの人が楽しんできてくださった実績のある作品ですね。もう1つは「並行連載」と呼んでいるものです。サンデー・サンデーGX・ゲッサンの3誌の現行連載作が中心で、雑誌掲載から少し遅れて連載しているもので、「うぇぶりで気に入ったら本誌を読んでね」というスタンスです。そして大事な3本目の柱が「オリジナル連載」で、完全に「サンデーうぇぶり」発の新作作品です。
「サンデーうぇぶり」としては、ここからオリジナル作のヒット作が羽ばたいて欲しいと願っています。いま、しっかりと読者を掴んでいる作品だけでも『ジンメン』『死神坊ちゃんと黒メイド』『はなにあらし』『ハダカメラ』『ヌけない聖剣ちゃん』…などがあり、そして2019年に最大に注目しているのが、第1巻が発売されたばかりの『ないしょの京子姉さん』ですね。

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『ジンメン』第1話より

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『ないしょの京子姉さん』第1話より

「サンデーうぇぶり」オリジナル作品にもいくつかの傾向があります。『ジンメン』は人面動物が人を襲い始めるというグロ系のホラーで、そもそもネットで漫画を読む方々に人気のあるジャンルですね。『死神坊ちゃん』と『京子姉さん』は、サンデーのお家芸であるラブコメで、全ての読者の方に安心して読んで頂けるブランド作品だと考えています。オリジナル作品で、ネットからのミリオンヒットが出ることが、ブランドにとってとても重要だと考えていますので、必ずここから話題作を生み出すという意気込みでやってますね。

――いま大嶋さんは週刊少年サンデーの副編集長もされながら、マンガアプリの統括もされています。編集部では紙の雑誌と、アプリを、どのような体制で運営していますか?

大嶋 「サンデー」は契約社員を含め24人の編集部。そのうち僕を含め4人が「うぇぶり」のチームを兼任していて、外部の運営会社さんと共に運営を行っています。ただ、作品の担当はサンデー系3誌の編集部員は、運営しているかどうかにかかわらず、誰でも作品を掲載してOKということになっています。

――「やわスピ」は掲載は容易だけれど、単行本の増刷がなければ連載が終わってしまうと言う厳しいルールも設けられていました。

大嶋 「サンデーうぇぶり」への作品掲載は各誌責任者の判断です。運営チームが各編集部と数字を共有して、掲載を続けるか否かを判断しているという形ですね。ただ、「サイトでの課金無し」で運営している「やわスピ」とはちょっと判断基準が違うところもあって、うぇぶりは課金システムがありますので、ロングテールで見ることで成功を収めるケースもあるんです。
話数・巻数を重ねていくと、サンプルとして出せる試し読みの分量も増やせる→各電子書店さんで特集や広告が組まれて新しい読者が生まれる・売れる→うぇぶりでも波が来て収益を上げる、というコミックス初動だけでは計れない作品が生まれる。それも「多様性」の一環だなと。売り方で言うと、電子版だけでも何巻か「溜め」ないと単巻では「1巻無料」キャンペーンも打てませんから。

――では、例えば電子版のみの巻も役割があるということですね。

大嶋 はい。うぇぶり内でも模索していますが、これまでのやり方は例えば紙で1巻を出して、紙の市場で増刷しそうだったら、続刊も検討するのが通例です。一方で(紙の続刊がなくても)電子版の方だけでも巻を重ねれば、「1巻無料」といった施策が行なえますので。作家さんへの還元(印税)という意味ではどこかのタイミングで逆転するかも知れません。

――ロングテール型で読まれている作品を挙げるとすると。

大嶋 完結した作品ではありますが、「サンデーうぇぶり」オリジナルのラブコメ「ひとつばな」ですね。

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『ひとつばな』第1巻

男女の頭脳戦を描いた作品で、紙の単行本は堅調で、けしてめざましく売れたわけではありません。しかし作家さんが物語をまとめきる7巻まで刊行することができた作品です。これが、完結から時間がたってから、電子書店さんで恋愛マンガ特集などで取り上げられて注目をあつめたりすると、月に電子版が何万冊という数が売れて、またうぇぶりでも話レンタルで読者さんが盛り上がると言うことが起こります。紙のコミックスの初動成否だけではヒットを測れない一例だと思いますね。

――ただ電子書店が特集を組み、そこで取り上げられるかどうかはこちらからはコントロールできるものではないですよね?

大嶋 編集部からではなく、デジタル事業局の電子書籍販売チーム(紙でいうところの営業チーム)と書店さんで密に連絡を交わして施策を打ってもらっています。
あとは、電子書店さんのWEB広告から話題になったり…。それとは別にうぇぶりとしても広告を出していますが、これは特定のコミックスを売るための広告ではなく、いわゆる獲得広告(アプリのユーザーを獲得するための広告)ですね。これは雑誌を売るのと同じ意味合いで、メディア力をつけるための施策なのですが、ただ必然、その際、広告には「このマンガを読めるのはサンデーうぇぶりだけ」といった具合に、マンガのキャラクターが乗ることになります。『死神坊ちゃん~』では顕著だったのですが、アプリの獲得広告によって作品が知られ、アプリ上で読まれ、ファンになった方が紙の本も買って下さって増刷がかかるといった良い影響が出たりもしています。

――「ここだけで読める」と謳うためにもオリジナル作品は重要ですね。

大嶋 そうですね。「ここから何かが生まれる」という感覚は我々にもあって、版元・非版元問わずキーマンといわれる方と話す機会があると「やはりオリジナル作は必要」と言われることが多いですね。そして、編集者であれ誰であれ、その作品を「絶対に面白い!」と思う人が必要なんです。作者以外でそういう人がいれば、潜在的に世の中に何人かはその作品を絶対に支持する人が居るはず。そこが起点になります。そして、編集者の感覚が時代性とあっていればレバレッジ(てこ)は効くはずなんです。雑誌アンケートやコミックスの売れ行きで時代性をはかる経験もしてきたのですが、マンガアプリではほぼ全ての読者さんの動向が数字として見えるし、情報が集まる速度も速い。

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ただ、数字も大事なんだけど、個人が盲信的に何かを信じたり、周りの空気に流されずにギャンブルをするところからヒットって生まれるのではないかと思います。なので、時々あるのですが、編集担当さえ実はその面白さを信じ切れてない企画を提案してきたら、「お前が面白いと思えないなら、止めてくれ」とストップもかけます。これは僕自身が、どちらかというと自省型というか、失敗したときに「どこがマズかったんだろう」ってくよくよ反省しがちなので、どうせなら物事を始める前に作者も編集者も考えきって、周りがなんと言おうと信じて賭けると思って欲しくてそう言うようにしている部分はありますが。

――数字だけではない、という考え方もなんとなくわかります。しかし数字の上でもアプリのDL数が150万、MAUも100万と大きな成果をあげています。

大嶋 社内のマンガワンと比較すると規模はまだまだという感じなのですが、社内にノウハウがあるわけなので、裏サンデーからマンガワンへと至ったひとつの成長のプロセスを、なるべく圧縮して追いかけたいと思っています。ウェブ版の立ち上げから1年間で、オリジナル作の『ジンメン』や、カメントツ先生の並行連載が話題を集めて、アクセス数として社内の合格点をもらい、アプリ版にGOが出たのも、その姿勢が今のところ思惑通りに言っているからかと思います。アプリ化してからも現在まで、スピード感をもって成長できていますし、2019年は更に成長を加速させる複数の施策を準備しています。

――ポイントの購入や消費状況など売上という面からはいかがでしょうか?

大嶋 いまのところ類似の版元系のサービスでは、広告収入を除けば「雑誌の定期購読」「話単位のレンタル」と「コミックスの巻売り」というのが売上の柱になり得るかと思うのですが、「サンデーうぇぶり」の場合、現在は巻売りが4割、定期購読が3割、話単位のレンタルが3割くらいという構成です。

――定期購読が想像以上に多いのに驚きました。デジタルの課金額としては比較的大きい方ですし、割引率をアピールしているわけでもないですね。

オンラインサービスはサブスクリプション(定額購読)モデルに移行していくと言われてますが、「雑誌」というのはもともと定期購読とは相性が良かったのだと思います。特にインパクトが大きかったのは2018年4月に公開された『名探偵コナン』の映画です。安室くん人気で女性の読者が増えたのですが、新規参入の読者さんに「サンデーうぇぶり」で定期購読をしようと思って頂けた方が多くいらっしゃいました。

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価格に関しては、他のマンガアプリでは読み放題という形で、かなり定期購読価格を下げたところもありますが、いずれにしても安ければ読むってものでもないだろうと。マンガの価値を下げないためにはどうすればよいのか? デジタルって安売りに向かいがちだけどそれで良いのか? という思いもあってこうなっています。
コロコロコミック在籍時に、残酷なまでの流行り廃りを味わったものからすれば、仕組みの面白さって飽きられるのも早いし、安売り競争にもどこかで限界が来る。最後は結局コンテンツの面白さと、お客さんの信頼に回帰するんです。作品を安くするよりも、これだけのお金を払ってくれたお客さんにしっかり満足してもらい、漫画家さんに還元する仕組みを追っかけた方が、結果事業としても良いだろうと考えています。

――お客さんの年齢層はどうなっていますか?

「マンガワン」は比較的若い層――10代~20代の客層が中心と僕たちは認識していますが、「サンデーうぇぶり」を立ち上げるときには、年齢層としてはもうちょっと上――「タッチ」とか「犬夜叉」が好きな方々、30~40代男性、20~30代女性という具合に想定をしました。実際サービスがはじまると、アプリ全体としては20代~30代の男性が6割~7割、それに続く形で「コナン」ファンの女性層が多くいらっしゃる形になっています。

――先ほど「数字の分析」というお話しが出ましたが、データを元に作品の企画を立てたり、物語の方向性を決めたり、といったことは行われていますか?

大嶋 将来的にそれが出来ていくのが理想形ですね。雑誌の場合は、掲載作品に対する人気アンケートを見ながら数字を読み、単行本が出ればその売り上げでまた分析を行い、作品を継続するや否やを判断するわけですが、デジタルの場合はより細かく・沢山数字を取ることができます。何人が何ページまで読んだとか、この作品を読んだ人の中で特定の作品と併読している方は何パーセントなど、様々な数字があるのですが、急にそういったデータが増えたため、まだ各人が共有・分析し切れておらず、にらめっこしながら読み方を考えている段階です。本当はサマリー(要約)にまとまっていて「次は○○がヒットしそう」というところまで「予報」できるのが理想ですが、今のところは、生の数字を各編集部に渡しているに留まっています。ただ、それだけでも数字を見るのが得意だったり好きだったりする編集者達は、独自のアンテナを立て始めているなと感じます。

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――アプリのチームでは数字は精密にみている?

大嶋 そうですね。開発会社さんとは週2回、長時間のミーティングをもって、数字を分析したり、使い勝手を良くするにはどうしたら良いか話し合っています。今年はまず、改良の土台として、見えないところでの動作を良くするという方針で進めまして、夏以降は明確にお客さんのリアクションが数字として良くなっているな、と。でも、非版元アプリさんに比べると運営の精密さではまだまだ敵わないですね。どういう風に運営されているかのお話聞くと「すごいなー」と(笑)。

――雑誌を作りながら、アプリも週2回のミーティングというのは私が聞いた中でもかなり頻度が高いですね。元々編集部に備わっている作品を生み出す力に加えて、開発会社さんとの取り組みで分析や運営のノウハウが蓄積されると、マンガアプリ業界で力強さを発揮する存在にはなっていきそうですね。

大嶋 そのはずだと思います。いまはまさにその蓄積の段階です。そして現在はアプリ全盛の時代ですが、出版社が「その次」に備えるためにも前線に拠点、ベースがないと変化への対応に一手も二手も遅れてしまうと思うんです。なので「サンデー」という旗印=ブランドを維持し、「サンデーうぇぶり」という拠点=ベースを確立する、という手段をとっているチームもある、と。小学館全体としても、様々な「デジタル時代のマンガ事業」のパターンがあることで、何かあったときにも「この方法でしか勝てない」という事態を避けることができるのだと思います。

――本日はありがとうございました。

「サンデーうぇぶり」はこちらから!

(取材・文::まつもとあつし)

IT系スタートアップ・出版社・広告代理店、アニメ事業会社などを経て、フリージャーナリスト・コンテンツプロデューサー。記事執筆や書籍刊行を行いながら、ITやアニメなどのコンテンツの制作・開発手法の変化、ビジネスのトレンドや社会への影響について研究を進めている。デジタルハリウッド大学院DCM修士(専門職)・東京大学大学院社会情報学修士(社会情報学)。著書に「コンテンツビジネス・デジタルシフト」(NTT出版)、「コンテンツが拓く地域の可能性」(同文館・大谷尚之・山村高淑との共著)など。

【初出:コミスン 2019.02.26】

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